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 11月28日 技術・環境委員会、国際委員会合同セミナー開催報告
  第1部 「フォーム業界が取組むべき環境経営」
     
〜環境に対する経営課題と技術的アプローチ〜」
  株式会社ヴェリア・ラボラトリーズ
代表取締役社長 筒見憲三 氏
 

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私どもの会社の名前は大変わかりにくい社名でございます。「ヴェリア」というのは、イタリア語で、「不寝番」、寝ずに番をするという意味がございます。エネルギーなりCO2 の排出を寝ないで番をしようという心意気でつくった会社でございます。よろしくお願いいたします。
きょう、私のほうからお伝えしたいことは、たった1点でございます。このセミナーの終了時に、ぜひとも皆さまがご自分の会社の中で温暖化対策、要はCO2 の削減を積極的に進めようと思っていただければいいかなと思います。それが私のお伝えしたいことでございます。もうすでにそんなことはやっているよという企業様であれば、もっともっと推進していただくということを感じていただきたいと思います。
きょうは、国の動き、東京都の背景等についてお話しいたしますが、そういう規制がこれからますます厳しくなってまいります。ただ、規制に対しては、何か規制というのは大変だなということで、横目でいろいろ他社を見ながら、どうしよう、どうしよう、何かペナルティあるのかな、ないのか、なんていう後ろ向きな対応ではなくて、ぜひとも前向きに、その規制をうまく逆に活用して自分たちの企業体力を強くしていこうという発想になっていただきたいなと思います。
つまり、規制が強くなるときというのは、必ず政策的にもアメとムチでございまして、必ずアメがございます。うまく利用すれば、非常においしいアメを食べることもできるわけでございます。
そういった意味で、積極的な温暖化対策、CO2 の排出削減対策をやっていただきたいというのがきょうの結論メッセージでございますので、どうかよろしくお願いいたします。
*画像をクリックするとPDF表示します。
 国と東京都における再診の温暖化対応政策
まず、国と都ということで政策的なお話をさせていただきます。  
 
 「脱石油」から「脱化石」へ
皆さんご承知のように、オイルショックのときに、日本の国はとにかく脱石油ということを掲げて政策的にやってきたのですが、これはまさに今年9月に発表されたことですが、これからは「脱化石」をエネルギー政策の基本にしていこうということが大きな流れであります。とにかく日本は資源がない国でありますのですべて輸入に頼っているということでありますが、石油のみならず天然ガス、電気も、化石燃料でつくった電気はなるべく少なくしていこうという大きな流れがあります。そういった流れをぜひ把握いただいた上でいろ  
いろ皆さんの今後の事業活動に反映していっていただければいいかなと思います。
そういう意味で、石油業界、ガス業界、電力業界、皆さんそれぞれに戦々恐々とした状況でございます。ただ、国は、世界的な非常に大きな圧力の中でこういう方向に向かっております。これは2050年、あるいは2100年というようなスパンでとられる方策だと思います。  
一説には、今、皆さん、金融危機でいろいろ大変なことで、不況だ、不況だということになっておりますが、こういう危機は恐らく一過性だと思います。せいぜい長くて10年。ですけれども、この地球環境問題につきましては50年、100年の計で続く問題でありますので、間違いなくこちらのほうが重要であると思っていただいていいのではないかと思います。
 
 省エネ法改正は企業経営に大きな影響あり
そういうなかで、今、一番皆さま方に直接の経営的影響がある問題に、この省エネ法という法律の改正があります。これは来年4月から施行されます。  
この改正の大きなポイントがあります。いままでは、それぞれの工場、事業所単位で規制がかかっておりました。ですから、ある規模以上の工場、あるいは事務所でなければ全くこういう法律のことは気にしなくてよかったのです。それが事業者単位という形でその企業全体に規制をかけていこうということになります。
 
一番いい例は、コンビニエンスストアのように一つひとつが非常に小さな施設、いままでは法規制の網をくぐり抜けていたわけですが、全体からすれば大変大きな消費をするわけで、こういうような多拠点型というところが対象になっております。とはいえ、皆さま方の企業も恐らく工場が二つ三つあるということであれば、その三つを全部足せばその対象に入ってくるのではないかと思います。  
そういう意味で、企業全体としてこれから省エネ法に対応していかなければいけないという時代になりました。  
したがって、会社として役員クラスのエネルギーの統括責任者というものを設置してくださいということです。もちろん社長でもいいのですが、そういった、いわゆる経営者がまさにエネルギーの問題、CO2 の問題を経営課題としてとらえてください、ということがこの法律の一番の趣旨かと思います。
 
 東京都の気候変動対策/CO2 排出総量削減義務と排出量取引制度
それと同様に、東京都では大変厳しい規制をかけることが決定されました。皆さんの事業所は東京都にもたくさんおありになると思いますが、東京都は、石原都知事のリーダーシップですが、特徴は、CO2 の排出量に対して総量規制ということを初めてうたったのです。  
いままでは、経団連も、ほかの産業界も、基本的には総量では規制しないで、原単位で規制する。この違いはおわかりになると思いますが、要は、どんどん事業が成長していけば、分母に生産量や売上を持っていきますと、エネルギ
 
ー消費が増えても原単位としては下がっていく、あるいは横ばいであるということでよかったのですが、あくまでも総量で規制するといっているわけですから、事業が成長するのは勝手ですが、それでも総量はちゃんと押さえてくださいという厳しい規制をかけたというのが一つあります。
それと同時に、排出量の取引も、国に先駆けて東京都の中で事業所間でこの取引も推奨するよということがまさに2010年から、5年スパンごとに始まります。罰則規定は、罰金がたった50万円です。50万円くらい払ったほうがいいというような方がいらっしゃるとすれば、そういう発想は正しくないと思うのです。やはり社名を公表されるという企業イメージのほうがよほど大きなマイナスになるのではないでしょうか。  
そういう意味で、東京都でこういう国よりもさらに厳しい規制が今まさに始まっておるということであります。恐らくほかの自治体もこれと、同じとは思いませんが、似たような規制をかけてくると思いますので、そういうこともご注目いただきたいと思います。
 
 低炭素社会において企業をどう変えるべきか?
今、いろいろな温対法、その他の規制もますますCO2 削減を企業にやっていただくような方向に向かっていますが、そういうなかで企業経営をどういうふうに変えなければいけないか、あるいはどういうふうに変わってくるだろうかということを申し上げます。  
先ほど申しましたように、いままでは、どちらかというと、事業所の単位、いわゆる工場長レベルでこういうエネルギーの問題、環境の問題がとらえられたものが、会社全体、事業者全体でとらえなければいけないということになってきたということなのです。
 

ということは、社長なり経営幹部が気にするのは売上と利益だと思うのです。それと同じように、このCO2 排出量は去年うちはどれだけだったのか、来年どこまで削減するのか、10年後にはどうするんだということを社長なり経営トップが気にしなければいけないようになってきたのではないかと思います。まさにエネルギーデータの経営指標化ということが進んでくるということになると思います。
そうなりますと、ROE、ROAというのが経営の財務指標ですが、ROCというような指標が今後出てくるだろうと思います。これは、Return on Carbonです。要するに、1トン当たりCO2 を排出してどれだけ利益を出したのかということで、特に同業者において比較されるわけです。A社とB社において、じゃ、このROCはどちらが高いのか低いのかということで、当然低いほうが環境にやさしいわけです。同じ利益上げるとすれば、それだけ少ないCO2 でこういうような指標が出てきて、いろいろな意味で公表されて評価されるという時代が来るわけです。
ですから、まさに環境経営そのものが非常に定量的にこれから評価されていくだろう。いままでは、どこかで木を植えていますとか、こういうバイオ燃料のインクを使っていますとか、そんなようなことで、何となく漠然とした、曖昧な形の「環境にやさしい企業です」ということでよかったのですが、今後はこういう意味で定量的に、「ROC、どれだけ?」みたいな形で比較されるような時代がまさに来ているということであります。
そういう意味で、積極的にやられたほうが、企業イメージもよくなる。かつ企業そのものが強くなるということで、先ほどちょっと言いましたように、ぜひ受け身的対応ではなく能動的に、積極的に「こういう方針でうちはいこう」ということをやっていっていただく必要があるのではないかなと思います。

 
 環境経営に必須のカーボンマネジメント
そういう意味で、環境経営に必須のカーボンマネジメントというか、エネルギーマネジメントといいますか、まさにCO2 をこれから管理していかなければいけないわけです。そのことについてちょっと触れたいと思います。  
 
 CO2 削減のためのカーボンマネジメントとは?
では、カーボンマネジメントとはいったい何をやるんだということですが、特に大きな要素はエネルギーの問題になります。だいたい9割方は通常エネルギーだといわれます。業態によっては物流とか原料などのところのほうが大きいかもしれませんが、エネルギーの問題は一番大きくなってまいります。  
そういう意味で、カーボンマネジメントの方法には大きく三つエネルギー分野であります。  まず、省エネルギーです。これは、エネルギーの消費を減らすという一番の根本
 
です。あるいはエネルギーの効率を高めるというのもあります。同じ100 のエネルギーでどれだけ仕事をするか、より多くの仕事をさせるということで、効率を上げるという方法があります。  いずれにしましても省エネルギーが非常に重要になってくるということでありますが、省エネルギーにも三つの段階があります。一つは、運用・運転を改善していくというレベルです。これは投資がいらないで削減していくというものです。省エネチューニングと申します。  
一番簡単なことをいえば、無駄な電気は消すとか、設定温度を夏でしたら28℃にするとか、そういう非常に原始的なやり方、人間に依存したやり方もあります。もう少し高度な空調機の設定を春夏秋冬で小まめに変えるということもやれば、かなり大きな省エネが期待できます。これは投資がいりません。まずこれをやるべきだと思います。その上で部分的な設備の省エネの回収をしていく。あるいは、もう古いものはトップランナー機器に思い切ってこの際換える。そんなようなことで、改善・改修・更新(3K)というもので省エネを進めるという方法がまず基本だと思います。  
それともう一つが新エネルギー。新しい非化石燃料によってできるエネルギーです。電気ということになりましょうが、例えば自前で太陽光発電、あるいは風力を入れるという方法もあります。実際そういった事業者から直接電気を買うことも今の規制緩和の中ではできるようになっています。そういうものをやる。  
最後に、それでも目標に追いつかない場合は、経済原理的なソリューション。ファイナンシャル・ソリューションとして、例えばグリーン電力証書というものがあります。これを話すと長くなりますが、どこかで発電したもののグリーン電力、風力発電の電力を証書の形で買うことも可能です。また、これが今一番にぎわっておりますが、CO2 排出量取引を利用するというような方法もあります。これは日本は今やっと始まったばかりです。ただ、東京都もいっておりますが、基本は省エネをやって、まず自分の消費を減らして、そのあと新エネを自分で入れる努力をして、それでも足らない場合は、こういった排出量取引とかグリーン電力証書を使ってくださいということをいっております。補完的手段です。  
いずれにしましても、こういったカーボンマネジメントという戦略がこれから求められてくると思います。
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