日本フォーム工連について
トピックス&ニュース
委員会情報
セミナー・イベント
各種データ
出版物案内
会員企業の紹介
会員企業掲載お申し込みはこちら
お問い合わせ
セミナー・イベント
   

 日本フォーム印刷工業連合会 業務委員会主催
       平成21年度 第3回講演会 (平成21年8月27日開催)
     
「感動を呼ぶサービスの真髄」  
       CS.ホスピタリテイ総合プロデューサー 
       株式会社HAYASHIDA-CS総研 代表取締役 林田 正光 氏

 彼はこうやって指導してくれたのです。「麻生様、本日は、この夜更けの時間にようこそ私どものバーにお立ち寄りくださいましてありがとうございます。私どものバーのほうは、本来でしたらラストオーダーも過ぎ、そろそろ閉店の時間も迎えるのでございますが、せっかくこの時間にお楽しみにお見えくださいましたので、私どもはかまいません、よろしかったら、おビール一杯だけでも召し上がってお帰りくださいませ」
 「ありがとうね。こんな遅い時間に申しわけない。しかし、部下もせっかく楽しみに来ているので、ビール一杯だけでも呼ばれて帰ろうか」。1〜2杯飲まれて、20〜30分もしないうちに、「従業員の皆さん、遅くまで申しわけなかった。また早いうちに来るよ」、心から感謝の念でお帰りになるでしょう。
 閉店の時間は12時に決まっています。しかし、私たちは、常にそうやってお客さまの目線、お客さまの心情を理解して対応する。お客さまがお帰りになった時間が閉店なんです。閉店時間と閉店は違うのです。そういうふうにして限りなくお客さまを中心とした発想をする。そしてサービスをする。気くばりをする。その集団になってみてください。日本一になるのは当たり前ではないでしょうか。
 私はきょう、こうやって一つのホテルの成功事例をお話しさせていただいています。ホテルと皆さま方の業界が違うのは百もわかっています。しかし、製造業であっても、印刷業であっても、ホテルであっても、レストランであっても、百貨店であっても、お客さまのいない企業がありますでしょうか。
 お客さまを大切にする心は、ホテルであっても、皆さま方の業界でも一緒ではないでしょうか。ただ、サービスの方法論が違うだけなのです。
 そうやって彼は熱く語ってくれたのです。
 そしていよいよCSを高める、ホスピタリティを高める、すばらしいホテルに影響を与えてきました。ホテルの企業価値ができ始めました。
 そして企業価値ができましたら、次は、ホテルはブランドになりました。まさに離職率が低くなりました。いい人材が集まってくるようになりました。そして感動サービスを提供し、口コミが広がる。口コミを戦略化する。いいサービスをする。リピーターが増えてくる。ブランドができてくる。
 ロビーラウンジで飲む一杯のコーヒー、原価30円、40円ですが1,200円。サービス料は13%です。ホテル業界で初めてです。普通は10%です。3%余分ということは、100億売ったら3億です。3億の純利益を上げようと思うと、30〜40億余分に売らなければだめなのです。
 そういうふうにして、CSを高めることによって、高単価を維持する。値引き競争に巻き込まれない。リピーターをつくる。まさに販売戦略じゃないですか。
 そういうふうにして私たちは徹底して「クオリティを上げてください。サービスのクオリティをあげてください」、そういってどんどんリピーターをつくる。これがリピーター戦略です。
 先ほども申しましたように、ほかの高級ホテルとは甲乙つけがたいのです。料理だって、材料は一緒、設備は整っています。社員もそれなりの教育をされています。紙一重です。その紙一重が、お客さまから見たら「あそこのホテルは違う」といわれる。何が違うか。
 それは 笑顔が違います。気くばり、心くばりが違います。フレンドリーに対応します。会話を重ねます。自らお客さまに寄って、何かお手伝いできないだろうか、心くばりをします。たったそれだけです。
 特別なことは何もやっていません。それが一番難しいのは、全社員600人、ムラのないようにすることが難しいのです。あの人はすばらしいサービス、この人はもう一つやな、この人は笑顔がない。
 ある日、ゼネラルマネジャーに私はまた呼ばれました。「ミスター・ハヤシダ、君の部下でA君というのがいる。笑顔が足りないように見受けるけれども、君はどう思うか」「私もそう思いますが、努力してくれといっているのですが、なかなか」「そうだろう。3カ月間余裕をあげるから、もう一度原点に帰って指導してあげてくれないか。日本一のホテルマンに育ててやってくれないか」
 私は、3カ月間猶予をもらいまして、マンツーマンで彼と会話をしながら笑顔をする習慣をつけさせる。徹底して彼と会話をするようにしました。笑顔だよ、笑顔だよ、笑顔で会話しよう、会釈のときの笑顔、あいさつのときの笑顔。徹底して、あいさつの後には「ウイスキー」といいなさい。「ウイスキー」といいますと、だいたい口が広がりますから、笑顔に見えるのです。
 そうやって徹底してやりました。しかし、3カ月、4カ月、そこまでかかるんです。そこまでまた徹底しないと、日本一にならないということを肌で体験しました。
 そうやって「CS」が高まり、そういうことによって従業員満足度が高まり、憧れのホテルになってきます。本当にいい人材が集まってきます。履歴書を出して「あいたら、ぜひ入れてください」という状況です。
 そういうような状況のなかで、まさに「CS」を高めることは、「ES」を高める。そして販売戦略になる。企業防衛になる。まさにブランドをつくる。高単価を維持する。もう一事が万事、このCSを高めることによって一つの繁栄があったことを肌でリッツ・カールトン・ホテルで体験してきました。

 そういうふうにして、いよいよ次は「ロイヤル・カスタマー戦略」をつくりました。ロイヤル・カスタマーというのは、限りなく、忠誠心のあるお客さまを育てる。俗な言葉でいえば、「君のためだったら協力してあげるよ」「君のためだったらPRしてあげるよ」「君のためだったら、お客さまを紹介してあげるよ」「自ら利用させてもらうよ」、まさに社外セールスマンです。
 社外セールスマンを育てていこう。お客さまに大使になってもらおう。言葉は丁寧です。「お客さまに大使になってもらう」。俗な言葉でいえば「社外セールスマン」。そうやってお客さまから紹介を受ける。営業マンを増やすのと一緒です。
 全社員600人います。平均して一人が一人でいいから、そのロイヤル・カスタマーを育てていこう。極論をいえば、600人の社外セールスマンが育ったらどうでしょう。年に1件だけ結婚式を紹介なさっただけで500万円です。宴会を紹介してくださる。そんな難しいことではないです。1件くらいですから。
 それが効を奏してそれだけの売上が上がっていくのです。皆さん、どうでしょうか、社外セールスマンは。
 そのためには、一人ひとりの社員が紳士・淑女の要件をまず整えて、だれが見ても、外見面も、内面も、気くばり、心くばりも、商品知識も、プロフェッショナルとして、「あの人は好感度ナンバーワン」といわれる。そこに心の営業が必要です。心の接客が必要です。
 どうでしょうか。商品知識を知っているのは、どこのホテルマンも知っています。一通りのことは毎日繰り返しやっていますから、そんなことはどこでも当たり前です。営業のテクニックも大切です。私たちは、リピーターをつくる、生涯の顧客をつくる。そこまで育てるためには、そこには心の営業、心の接客、まさに誠実な心で、「ありがとうございます」と心から感謝の心で、思いやりの心が必要です。自分たちの都合ではありません。いつも控えめに、謙虚に、素直な心で、愛の心で。愛の心というのは、家族の一員という思いです。自分のおやじやおふくろの年齢だったら、お父さん、お母さんに接するくらいの愛の心をもって接する。今、それが必要ではないでしょうか。
 心が失われている。そういうふうな心をもってお客さまに接したら、お客さまは信頼します。そしてそれが仕事でのプロフェッショナルです。そして心ができてきますと、人間力が高まってきます。魅力のある価値ある人間ができてきます。
 そして自分ブランドができてきます。自分ブランドというのは本物です。一流です。信頼の証です。そんな社員には当然ファンができるのが当たり前ではないでしょうか。商売まさにファンづくりではないでしょうか。
 そうやって一人ひとりの社員がファンをつくる。
 私はよく言うのです。「年賀状、あなたは何通きますか」「暑中見舞い何通きますか」と。逆に「今どきはそんな儀礼的なこと」と思われるかもしれません。しかし、丁寧なひと言ふた言が書いてある人から来たとき、皆さん、どんな気持ちですか。まあ、なかには合理的に考えて「こんなのはいらんわい」とおっしゃる方もおられるかもしれません。確かに印刷だけだったらあまり価値ないです。しかし、1行、2行でもいいから書いて、心を相手に伝える。ファンをつくるためには、やっぱりそういうふうな小さな努力が必要です。

  私は、大学を出ていませんから18歳から50歳まで藤田観光に勤めました。32年間。しかし、残念ながら、48歳の後半に大病しまして半年入院し、休ませてもらって、役職は全部はずされました。当然です。自業自得です。
 そのとき、関西医大のベッドのなかで、退院する1カ月半前に、「リッツ・カールトン・ホテル、2年後に大阪に進出」という記事がありました。私はもう瞬間的に気持ちはそちらに飛びつきました。役職もない、もう50歳、あと10年残っている、どんな状況になるのか。
林田 正光 氏
 そして応募は、営業支配人のポストに約60人いました。50歳の男はホテルマンとして二束三文ですよ。英語もできない、学校も大学にいっていない。そして病気上がり。役職もない。そんな人間をとってくれたんですよ。
 なぜとってくれたか。それは私にはたぶん、ホテルマンとしては人脈は日本一ではないかと思いました。
3,500名が名簿化されて、そして2ヶ月に1回、DMを私の名前で出します。そうすると「林田さん、うちの娘が婚約したので、ひとつ結婚式の相談に乗ってやってくれませんか」「うちの会社で、忘年会をやるので、ちょっと予算、相談に乗ってやってくれませんか」「家族で食事したいんですが、何かおいしいものありませんか」、4〜5日は電話の鳴りっ放しです。1時間デスクを離れましたら、4〜5枚のメッセージが「電話ください、電話ください」です。とうとう32年間、転勤なし、5人の総支配人にかわいがってもらいました。しかし、最後は病気で終わりです。
 そんな状況のなかで、人脈を大切にする心をそのときから私は磨き、リッツ・カールトン・ホテルに入ったら、まったく異業種と一緒です。外資系のホテルはどれだけ厳しいか。そんななかに50歳の病気上がりの男が入って、3カ月持つかと思いました。
 しかし、ここを辞めてしまえば、もう行くところもない。二束三文になる。もう最後は根性で、朝、普通は8時45分ですが、1カ月間だけは8時に出勤しました。2カ月目からは、根性で、よし、この際、半年もたなかったら、1回やってみようということで5時半起きして、6時15分に我が家を出て、6時45分か7時までには出勤して、朝から、前日に名刺交換した人たち、また少し遠ざかっている人たちに名刺交換御礼のファックスを流し続けました。
 前日に営業をやりますから、どんなに少なくても3〜4通は毎日流します。多いときは15通くらい流します。同じ文章です。名前を変えるだけです。
 「名刺交換御礼」、手書きで書きますから、今度は相手から電話がかかったり、またお手紙をいただいたり、はがきをいただいたり、ファックスをいただいたり、「林田さん、あなたは、きのう会ったばかりなのに、こんな丁寧なファックスをいただいてありがとう。時間は7時5分と出ているけれども、あなたは何時に出勤していらっしゃるんですか」と、そういうふうにしてまた非常に信頼が増えていく。
 再会した人は、再会御礼のファックスを流します。そうやって毎日流し続けます。それを7年間続けました。毎朝、7時までに流します。月に1回くらい7時10分か15分になるときもありました。しかし、そうやってお客さまを大切にする心をそのときに学ばせていただいて、そして私のファンをつくっていく。
 ファンづくりというのは、そうやってお客さまを大切にする心と、誠意があって、常にこまめさがあって、そこが自分の強みでリッツ・カールトン・ホテルは採ってくれたような気がします。
 それはあとでわかったことです。60人のいっぱいの強者たちの履歴書を見せてもらったら、それなりの人ばかりでした。だけど、人脈がほしかったのでしょう。それによって、リッツ・カールトン・ホテルに入れて、こうやって皆さんの前でお話をする機会もできたのです。
←前のページへ 次のページへ→
   
    Copyright (C) 2007 JAPAN BUSINESS FORMS ASSOCIATION. all rights reserved.
業務委員会
資材委員会
国際委員会
市場委員会
技術委員会
環境委員会
会長あいさつ
概 要
あゆみ
事業活動
役員紹介
各地区事務局連絡先
理事会情報
規 定