日本フォーム工連について
トピックス&ニュース
委員会情報
セミナー・イベント
各種データ
出版物案内
会員企業の紹介
会員企業掲載お申し込みはこちら
お問い合わせ
セミナー・イベント
   

  平成22年度夏季講演会(平成22年8月26日開催)
「映画『降りてゆく生き方』人をつなげる映画製作の軌跡」
 
       講師 森田 貴英 氏
           弁護士・映画プロデューサー
           BDJ法律会計事務所パートナー                 ←講演会トップ
特にこっちが誘ったわけではなく、給料あげるよといったわけでもないのですが、企業にいたような若者であるとか、様々な若い人たちが、自然とやってきて、私たちに関わってくれたわけです。
そんなことで、いろんな人たちが自然と寄ってくるような形になりまして、開始以降1年以上の長きにわたりまして上映が続けられているということです。
これは映画としては非常に異例なことでございまして、例えば世界ナンバーワンの『アバター』という映画がございますが、あれだけヒットしても映画館にかかってスクリーンで見られるのは大体2カ月半です。それは宮崎駿さんの作品も同様で、あとはDVDということになって、テレビになってということでのプロダクトアウトになってくるわけですが、私たちの映画は幸いにして1年以上、1年4カ月、相変わらず上映は続けられているわけです。
そういうことをやっていけるというのは、いろいろあるのかもしれませんが、どこかこのプロジェクトを進めていく尺度が"お金"というところの尺度から"人間"という"命"の尺度に大きく移ったということが、大きいのではないかと私は思っております。
そもそもはお金のためのプロジェクトだったんですが、いろいろな人たちとの出会いがあり、会話の中での経験から、仮に100万人、200万人が動員され、それによって自分のところに何億円か入ってきたと仮にしても、これは全然ウキウキワクワクしないなと思ったんですね。そして、儲けが出なかったとき、またその次に何かやってつくろうという、その繰り返しの中に自分としては喜びを見出せないだろうか、という予測がどこか身についてしまったわけです。
そもそも映画は、今、早いものだと本当にサークル・ウィークエンドで勝負が決まってしまいます。まともに映画館でかかっている期間は非常に短いんですが、そうやって映画がどんどん消費されていく状況をつくることで、誰が本当に喜ばしい状況になるかというと、非常に疑問です。映画の質は今どんどん低下しています。それで映画を当てなくてはいけないので、手堅く、手堅くになるんです。
この前、私のクライアントでもありますT局の映画部門の責任者の人たちと話をしておりましたら、「森田さん、映画なんてコンビニと同じだよ。コンビニの棚をいかに取れるかというだけの話であって、売れ筋になるかどうかだけなんだ」ということを言っていました。
売れ筋、要するに「死に筋を排除する」というコンビニエンスストアの論理がシネマコンプレックスというものにも通常になったわけで、映画というものが日本人の心を豊かにするようになったのかなというと、非常に正直疑問を覚えるわけです。
それで結局、今、日本映画界は非常に行き詰まっていて、儲かっている人はほとんどいないのが現状です。だから、確実にいこう、安全にいこうと思えば思うほど、どんどんビジネスはシュリンクしていくわけです。テレビも同様にそういう状況にあるということも聞いています。どんな作品があたるのか、視聴率が取れるのか、全くわからない現状で非常に困ってしまっている状況にあると、この前もちょっと小耳にはさんだわけです。
言ってみれば、私たちとしてはそういう世界から"降りた"ところで、こういう映画の展開をやっているわけです。ですから、"映画"といいますけれども、いわゆる映画ビジネスとは一線を画しています。
 
この映画の特徴としては、まず広告・宣伝を一切やらないことです。どうやって伝えていくのかというと、皆さんのお手元にある映画のチラシが一番大事なツールです。このチラシというものの大切さをもう一度考えたわけです。私たちは、コピーチラシはほとんどやらないです。では、チラシをどうやって使うのか。それはこの映画を、「この映画、いいよね。上映映画やるなら協力させてよ」という方々に、映画のチラシを託して、それで、会う方々にこのチラシを使って、ぜひ映画の上映会のことを教えてください、というわけです。そのときに「映画のストーリーは何なの」と、まだ見ていない人は、今のような映画を見る中で「ぜひ応援したい」という方が出てきます。そういう方々は必ず「どんなことを話せばいいかわからないんですけど」といいます。
ところが、私たちの映画のホームページを見ていただくとわかるんですが、ストーリーとなると、「ストーリーは教えられません。映画館で見てください。映画を見てからストーリーなんか知ればいいじゃないか」と書いてあるわけです。それを不親切だという人もいるんですが、別に映画のストーリーなんて、見ない人にとってはどうでもいいものなんです。何でストーリーを知ろうと思うかというと、なるべくいい買い物にしたいという消費者心理なんですね。だから私は、別に見ない人はもういいと思っているんです。
それよりも大事なことは何かというと、結局「この映画を伝えたい」という気持ちだと思っています。ですから、「映画を伝えたいけれど、ストーリーがわからないから説明できない」という人に向かって「もう説明しなくていいです。この映画を見たいと思ったんですよね。見せたいと思ったんですよね」と私は聞くわけです。「いや、すごく私自身が癒された。だからいいと思った」とか、「実はあなたたちが一生懸命なので応援してあげたいと思ったんです。だから、見ていないけど、ぜひ勧めたい」という。「その辺をそのままを話してください」と私たちはお願いするわけです。
「そんなことでいいの?」と皆さんはおっしゃるんです。それが一番大事なことです。ストーリーよりも情報として伝えなくてはいけないのは、いつ、どこで、何をやるかだけなんです。もし、自分が見たい、あるいはあなたに見せたいと思ったら、その気持ちを伝えていくという、その出会いをつくるためのツールが私たちの"チラシ"なんです。
協力してくれるお店の方が、「オッ、応援するよ」と言ってくれたら、「じゃ、こういうことだ」と説明。そうすると、「エッ? この映画、何なの?」「どこの映画館でやっているの?」「いや、これは映画館じゃなくて、これは、志のある人たちがみんな集まってやるんだ。おれも行くんだよ」といってくださる。「どんな話なの?」「話も何もわからないんだけどさ」ということで話をする。
「その映画を見たい」という気持ちを伝えるときには、これは100%間違いないんですが、それを話す人の人生が必ずオーバーラップするわけです。だから、自分が「見たい」という気持ちは、そのパッションというのは非常に主観的なものなんです。だから必然的に自分の経験が語られるわけです。それが実は人の心を動かして、人の心を開いていく。
そうすると、動かされた人は、「そうなんだ。じゃ、面白そうだね」というふうになってくると、映画を離れてそこに対話とか会話が始まるわけです。そこにつながり感があるから、「ああ、じゃ、面白いね。行ってみようよ。ところで幾らなの?」という話になる。
このことは何を描いているかというと、既に"値段が幾らか"という値段競争の世界からも僕らは"降りてしまった"ということです。
最初いろいろいわれたわけです。安くしたらいいかなとか、高くしたらいいかなとか、いろいろ試したのですが、今、映画だけの場合は、前売りが1,500円、当日2,000円と決めています、経験上。これは高いんです。「こんな高くては売れないよ」というのです。でも、「こんな高くて売れない」と言う人は、「絶対安くても売れない」というのもわかるんです。だから、値段で売れる、売れないという判断しかできない人は、幾らにしても売れません。無料にしても来させることはできないんです。これは、もう確実にわかっています。
ですから、僕らのやっていることはある種の非営利的なやり方というか、これは株式会社ということではなくて非営利法人でやっておりますが、営利ということを直接の目的にはしていないです。
しかし、この前の土曜日、200人ぐらいの小さい会場でしたが、午前、午後の会は満杯でした。そしてきょうみなさんにお配りしてあるのは、新潟市での8月17日(火)、平日の企画です。これは2,500円でやりました。これは武田さんは来ていないんですが、木村さんの講演とセットで、新潟市で平日にやって何人来たかというと、午前と午後だけで1,000人来たんですね。これは新潟市の人がずいぶん驚いていました、新潟の人間がこんなのに金を出して来るとは思わなかったと。皆さんがそう思っているだけで、本当に心を動かされるものは、求めている人が必ずいるわけです。だから、実はお金がどうこうとか、安いとか何とかという話の前に、そもそも伝えていく価値があるかどうかということが大事だということが、私たちはこの活動を通じてわかったわけです。
ですから、広告宣伝は必要ないわけです。なぜなら人が人に思いを伝えていくほど、この映画の価値を伝えるのに優れたものはないからです。テレビでスポットを打つよりも、はるかに言葉のほうが強いということです。
ですから、私たちはこのチラシだけは大量に何万枚もつくります。それを皆さんに渡していくわけです。そうするとどうなるかというと、このチラシもそれなりの値段をするし、大量のチラシを使わせていただいているわけです。それでも、そうやってみんなが苦労してやっています。「このチラシはちょっと高いから1枚10円ぐらいするんじゃないの?」と、本当はそんなにしないですが、「そのくらいかかるかもしれませんね」というと、「これは大事にやらなくちゃいけないから、100枚だけ預けていくよ」と。そして大切に100枚を配ってくれたら、そのリターンの率はすごく高いわけです。もしかしたらそのときに、都合が悪くて来られない人もいるかもしれない。でも、それはそれでいいわけです。関わった人たちの中でつながりができて、「ところで、あの映画、どうだった?」「よかったよ」ということで、そこでの関係性は必ず未来へとつながっていくわけです。そういうやり方を私たちはしているわけです。
ですので、私たちはインターネットも使っていきますが、人と人がつながるというのは、最終的なところ、チラシを使って人が人に伝えていくというアナログなところを徹底してやっています。それによって確実に成果が出てくることがわかっているわけです。
だから、今、この時代に大事なことは、やはり原点に返ること、何か目的を持っていることです。世の中でいろんなことが複雑化している中で、我々は見えなくなっているんじゃないかという気がするんです。だから、いろいろ余分なものを手放して、一番最後に残る大事なものというところを立脚点にしながらもう一度進んでいくということによって、いろいろなものが見えてくるんだろうと私は思っているわけです。
←前のページへ 次のページへ→
   
    Copyright (C) 2007 JAPAN BUSINESS FORMS ASSOCIATION. all rights reserved.
業務委員会
資材委員会
国際委員会
市場委員会
技術委員会
環境委員会
会長あいさつ
概 要
あゆみ
事業活動
役員紹介
各地区事務局連絡先
理事会情報
規 定