日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー[T]
「フォーム印刷業界におけるCTP化への取組み」

講師 平林利文氏・嶋野正紀氏
第1部
株式会社メディアテクノロジージャパン
 
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平林 皆さん、こんにちは。
  きょうは、貴重な時間をいただきまして、「フォーム印刷業界におけるCTP化への取組み」という題目でお話しさせていただきます。
  きょうは、たくさんの参加の方がいらっしゃると事前にお聞きしておりましたので、一人では心もとないと思いまして、私どもの嶋野と二人でやらせていただきたいと思います。
  まず、日本の印刷の市場、そしてフォームの印刷の市場がどれくらいか。このへんは皆さまのほうが、統計資料をお持ちと思いますが、共通認識を
 
嶋野正紀氏
  持つという意味で、調べてきたものを最初にご説明させていただきたいと思います。


工業統計「印刷産業の事業所数/従業員数/出荷額」
工業統計から見てみたいと思います。この統計は皆さまもよくご覧になっているものではないかと思います。日本の印刷産業は、昔、左端にあるように出荷額8兆9,300 億あったものが、今、速報で出ている2004年の数値は7兆2,100 億円になっています。印刷業全体で従業員数が38万人、事業所数は3万8,800 社。大体こうした数字が出ています。
日印産連での印刷市場規模予測(PF21)修正
  では、印刷業全体ではなくて、フォーム関連は実際どれくらいなのか、あるいは将来的な予測としてどうなるのか。日印産連(日本印刷産業連合会)からこうした本(「予測」)が1ヵ月くらい前に出ました。非常に示唆に富んだいろいろな予測、あるいは現状把握がされております。それを一部借用してご説明させていただきたいと思います。
  市場規模を考える場合、2000年がスタートで、最初に「Printing Frontier 21」などで出ていたものは9兆4,700 億になっていますが、工業統計では8兆1,300 億で、かなりの乖離がある。ここを一度見直さなければいけないと
 
  いうことで見直したのが、右側(8兆6,900 億)です。
 全体というよりもフォーム印刷業界ではどうなんだろうということでビジネスフォーム業界のところを見ていただきますと、「事務用印刷」で、予測では8,970 億、実際に見直したものでは1兆500 億という数値が出ています。
 

2005年・2010年・2015年

  さらに、2010年、2015年でどのくらいになるか予測したのがこの本のポイントになっています。その数値がこの表です。
  左端の分類にいろいろ出ていますが、正直いうと、成長産業、あるいは数字が伸びてきている分野が結構少ない事がわかります。「事務用印刷」の分類でこのビジネスフォームの部分を見ていただくと、数字が伸びているのがわかります。ただし、事務用印刷というジャンルで分けた場合には、横ばいの形になっています。

 
 
 
成長が予測される分野(強気 予測 弱気) 
これは、ジャンル別に注目分野の概観したものです。
ビジネスフォームのところをみると、日印産連で出している予測でいくと、真ん中が最終的な予測のラインです。若干楽観的な予測が上のライン、少しシビアに見たのが下のラインです。ここで見ても、右肩上がりになっていることが分かります。

事務用印刷の分野でも……
  事務用印刷という分野に注目してみると、こんな具合になっています。
  左が「ビジネスフォーム」というセグメントで分けた場合で、それに対していろいろなコメントが書いてありますが、私のほうでまとめさせていただきました。ここに書いてあること自身は、ご納得いただけるような感じではないかと思います。
  「従来の伝票はIT技術の導入でだんだん下がってくる」「市場規模は2010年に上がっていって安定する」「2010〜2015年は、新たなネットビジネスで新需要ができてくる」。『ウェブ進化論』(梅田望夫著)などをお読みになられた方もいらっしゃるかと思いますが、世間では今、あちら側の世界の話題が非常に活発にされています。要するにあちら側で新しいビジネスができるのではないかということです。
 
 
 
    それと、後半FFGSさんの話に関連してくるのではないかと思いますが、この予測のなかでも唯一2桁台の成長率が望めるのは、DPS、IPSといわれるようなインフォメーションプリント、あるいはデータプリントという分野だけだということです。それが反映したのが、この2015年までのグラフということになると思います。
  そして、事務用印刷そのものがどうなるかというのが、右側の図です。これについては、「印刷会社にアウトソーシングされる」「ノート、手帳、封筒、案内状などは、10年、15年となっていく間にだんだんダウンしてくるでしょう」。さらに、いままで印刷物にしてくること自体が重要であった印刷物の非印刷化というものは、どれがというのは難しいかもしれませんが、「印刷物としてはダウンしてくるでしょう」。そういう予測のグラフになっています。
 
   
商業印刷、シールラベル印刷との境界線が薄れてくる

  それをまとめると実際どうなるかということですが、先ほど、DPS、IPSが高い成長率を残すという予測が出ているとお話ししましたが、DPS、IPSというと、トランザクション系の請求書みたいなものから始まって、商印分野の本来のDMみたいなもの、こことの境界線がどんどん薄れてくるのではないか。ひいては、同じような印刷機を使っている、シールラベル印刷との境界線もだんだん薄れてくるのではないかということです。
  商業印刷、シールラベル印刷、フォーム印刷というように、今までは、やっている仕事の内容も違うという認識がありましたが、時代の流れとともにその境界線が薄くなってくるということが、こういうグラフから読み取れるのではないかと思います。
 
 
 
CTPの販売実績と予測(WW vs Japan)

  それでは、具体的に今日の本来のテーマであるCTPの統計的な数字を紹介します。
  これは、VSMという調査会社のものです。全世界でのCTPの台数が上のライン、日本のCTPの台数が下のラインで、2006年には年間800 台くらいで推移しています。
  私どもはCTPのベンダーですので、ある程度統計的な数字を持っていますが、このVSMという調査会社の予測とはそんなに違っていません。
  ただ、これをみますと、ワールドワイド(WW)ですと、2005〜06年をピーク
 
  にだんだん落ちてくるような感じですが、地域差が出るだろうといわれています。
  きょうのセミナーとは直接関係ないかもしれませんが、ワールドワイドでいくと、先進国のヨーロッパ、アメリカ、日本などのCTPは頭打ちで、次はBRICsだというのが、今、ベンダー間の合言葉です。つまり、BRICs諸国に対してどういうCTPを提供するのかということが、今、一番の話題になっています。
 
 
 
日本国内CTP導入実績の変化 2006.3現在

  実際の数字です。こういうものは当然オフィシャルな統計数字ではありません。あくまでも私どもメディアテクノロジージャパン調べという形ですが、今年3月末までの集計をしたところ、2006年4月で約3,200 台というのが日本の国内市場に入っているCTPの総数です。
  「8P」と書いてあるのは菊全以上、「4P」は菊半以下です。

現状の刷版のCTP化率
  これがその統計的な数字になります。あくまでメディアテクノロジージャパ
 
 
  ンで調べたものです。CTP化率の話はよく、どこが何割越えたとかと議論されますが、きょう見ていただきたかったのは、商業印刷、フォーム印刷、ビジネスフォーム印刷とは関係なく、とにかくCTP化率はどんどん高くなっているということです。
  ただ、地域差がある。やはり分母が大きい関東地域、大阪などと比べて、九州、東北などは、CTP化率が高いということをあらわしています。きょうは、全国からお出でいただいているのではないかと思いますので、地域差がある、デジタル化の波に沿ってCTP化率が高くなっている、ということでご紹介させていただきました。
 
 
 
フォーム印刷業界でのCTP設置(MTJN調べ)

  いままでは印刷業界全体が何兆円とかという大上段の話ばかりでしたが、だんだん身近な数字に落とし込んでいきたいと思います。
  私どもがわかるのは自分のところの機械がどれだけ入っているかという数字です。では、フォーム印刷業界でどれくらい入っているか。
  これはあくまでも私どものデータベースですが、私どものブランドのCTP集計でいきますと、全国合計25社27台。ただ、フォーム印刷をおやりになられているけれども、商印もおやりになられているという兼業の会社様も当然いっぱいおられますので、どこで区分けするか非常にグレーですので、ある程
 
 
  度の大雑把な数字としてとらえていただければと思います。
  そのなかで、菊半以下と菊全以上のCTP、つまり4Pと8Pでみると、4Pが23台、8Pが4台ということですから、このフォーム印刷業界全体で使われているCTPとしては、菊半以下のサイズのものがメインに設置されているということが分かります。
  それと、CTPにはドラムタイプと平面タイプがあります。のちほどドラムと平面については簡単なムービーでご説明したいと思います。
  左下の全国集計は、MTJN集計で他社のものも含めています。これでいくと、41社49台。4Pが41台、8Pが8台。ドラムが39台、平面が10台という形になります。
  ただ、全体的な傾向として、サイズ的には4Pサイズ以下(菊半以下)でドラムをお使いになられているところが多いかと思います。ただ、平面が使いづらいとかということではありません。版材とのいろいろな密接な関係もありまして、今、平面がどんどん増えているのが実態だと思います。
 
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