日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー
デジタル印刷が拓く新たなビジネス
 「One to Oneを実現するツールの紹介/事例紹介」

講師 浮 田 英 治 氏
その2
富士フィルムシンプルプロダクツ株式会社
営業部マネージャー
 
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<サーバサイドパブリッシングとは>
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 こういったOne to One、バリアブルを実現するにあたり、DTPのソフトで作るというわけにいきません。自動化、無人化が求められるわけです。そこで、私どもが提唱している概念で「サーバーサイドパブリッシング」というものがあります。これは文字どおりですが、クライアントPCで行うデスクトップパブリッシングに対して、Webとか、社内のサーバー上で行う自動組版の仕組みをサーバーサイドパブリッシングと呼んでおります。
  これは、当然DTPと違って作業者や編集者がいません。サーバーですから当然人が坐っていないわけです。故に 高度な自動組版が求められるということだと思います。
  こういう仕組みを使うと、印刷発注者が即時に画面で校正ができて、印刷
会社側の校正負担を軽減できるというメリットがあったり、あるいは印刷会社の営業コスト削減とか短納期化などに貢献したり、受注拡大や新規ビジネス領域獲得を推進すると考えます。
  ※で書いてありますが、やはり個人情報保護法の観点からもサーバー上の一括処理というのは今後より求められてくるのではないかと思います。

<運用イメージ>
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 運用はこんなイメージです。真ん中に印刷会社のサーバーがありまして、そこに対してお客様が直接アクセスしてくる。そこからそのサーバーにできたデータを印刷会社さんはダウンロードして、あとは印刷するだけ。校正がいらない。校正は画面上で済ませているということです。

<製品コンセプト>
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 「営業コストゼロをめざす」「校正コストゼロをめざす」「圧倒的な短納期をめざす」。幾つかありますが、トータルして言うならば、「お客様囲い込み型」のビジネスモデルです。お客様に非常に使いやすい画面、データの入力しやすい画面、選択のしやすい画面、そういうものをご提供して、発注側の手間も削減するということがこのビジネスの成功 につながるのではないかと考えております。

<PODのワークフローがこれほど変わる>
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 プリントオンデマンドのワークフローがこれほど変わります。大きくは三つです。
  一番上は小ロット印刷です。手書き原稿が入ってきて、マックでこしらえて、校正をして、プリンタに出すということで、通常の印刷の工程とあまり変わりません。
  ところが、これがバリアブル印刷になりますと、1,000 人分とか5,000 人分とかの可変データを扱いますので、当然一つひとつ校正なんかしていられない。ということで、矢印が一つ減りました。データ支給があって、自動レイアウトがあって、プリンタのアウトプットということになります。
  そして、サーバーサイドパブリッシングになりますと、入力や校正、発注の
行為すべてエンドユーザーが行いますので、「印刷サイドがリスク激減」ということで、さらに矢印が減りました。
  フルオートでプリンタまで出しているお客様は少ないですが、やろうと思えば、お客様が発注ボタンを押せば、名刺やはがきが、必要な分だけ出てくるとかという仕組みも十分構築が可能です。

<一般印刷もこれほど変わる>
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 必ずしもオンデマンドだけでなく、一般印刷も、こういう仕組みを使えばこのくらいワークフローが変わります。
  これは求人情報誌の例です。皆様求人情報を出された方もおられるかと思いますが、過去の掲載情報を求人会社の営業マンが持ってきます。そして 今度は時給をいくらにするとか、条件に赤を入れて、それを持ってまた製作会社でマックで作る。校正して、ページに集版して、印刷をするという工程です。
  これが、先ほど説明したサーバーサイドパブリッシングを使うと、PCを使って前回の掲載情報をどんな紙面に載せたかというのを画面に呼んできて、前回と比べて条件をよくしてたくさん集まるようにしようとか、出版社の営
業、または顧客が直接入力して、即座に画面で校正する、というようなことです。ここでも大きく矢印が減っているのがご覧いただけるかと思います。
  ここでも従来の求人情報誌の紙面の体裁を実現できるだけの組版機能を備えているからこそ、ここまでの自動化、無人化、工程のスリム化ができるのであろうと思います。

<導入効果1>
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 幾つか実際のお客様の例であげております。
  ゼロックスさんのCDT60Vユーザーさん。こういった仕組みを入れる前は、通常の小ロット印刷しかやっておられなくて、月間1万4,000 カウントくらい。ところが、こういうサーバーサイドパブリッシングの仕組みなどを取り入れることで、従来あまりやっていなかった名刺の仕事などが急増して、一気にカウントがアップした。カウントがアップしてゼロックスさんは大喜びということですが、こういう効果がみられました。
  また地方のお客様におかれても、別売の遠隔プリントツールを使って、仕組みは自社で作る。そして近隣のお客様を囲い込みますが、たとえば出力は東京のプリントセンターのどこかで出します、そこでも受け取れますという
 ようなことをされて、地理的な不利をカバーする。これもサーバーサイドの処理のいい事例だと思います。
  また都内の結構大規模なお客様で、1万人規模のお客様に対してこういうサービスを提供して、30〜100 箱/日の数で名刺のコンスタントな受注をあげているというものです。
  また、一般企業さんがこういうプリンタと仕組みを入れてしまって、社内でこういうものを作ってしまわれるというケースが出ています。

<導入効果2>
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 サーバーサイドパブリッシングの導入効果ということで名刺の事例ですが、従来は、バラバラに注文がきたり、だれかが注文をまとめたりということで非常に煩雑で、発注側も手書きでFAXを送ったりということで非常に面倒だった。さらに 名刺やはがきも組版が難しいので、なかなか人手、時間の削減ができなくてコストが下げられませんでした。
  ところが、サーバーサイドパブリッシングを使うことで、発注者本人がイメージをWeb上で確認して発注できるので、校正リスクはなくなる。
  発注者本人が頼むことで、お客様サイドの総務担当者とか、取りまとめる方の負担もなくなったりする。そういうお客様にとっての効果もあげられます。
  こういった無人化、自動化をすることで、従来一箱いくらだったものがこのくらいまで下げられますということです。そういう価格によってお客様を誘導して、新しい仕組みを使っていただくというのが一つかと思います。
  こういう仕組みをご提案しても、「パソコン苦手だからあまりそういうことはやりたくない」とか、必ず抵抗があります。そういうときは価格でうまく誘導できるのではないかと考えております。

<こんな機能が求められる>
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 こういう仕組みで求められるのはお客様ごとに要求が大きく違います。入力画面や、用途でも違いますので、そういうものを自在に印刷会社が設計して提供できるということがまず重要であろう、と思います。
  その他にも、こういう仕組みを使えばWeb上で作業の進捗状況がわかりますので、お客様の営業の問い合わせが入って、営業から製作に問い合わせが入って、みんなの手が止まるというようなことは避けられると思っています。
  また、発注履歴情報というものが真ん中にありますので、前回頼んだものと全く同じ内容で再発注とか、ちょっとだけ変えて発注とか、そういうことがお客様側の発注の利便性もご提供できるのではないかと思っております。
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