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  「ラベルエキスポ2007」視察リポート
−欧州から世界へ ラベル業界の潮流を探る−
  ラベル新聞社 経営企画室 編集統括ゼネラルマネージャー
鈴木 由紀子 氏
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 4.「ラベルエキスポヨーロッパ07」のトレンド (画像をクリックしてPDFを表示します)
ラベルエキスポシリーズというのはもうご存じの方も多いと思いますが、開催国がヨーロッパ、アメリカ、アジア(中国)の3拠点で行われています。ヨーロッパとアジア(中国・上海)で行われる年と、アメリカで行われる年とに分けて開催されています。ヨーロッパ展では、各メーカーともに、これからのラベル業界を占うようなプロトタイプ機が発表され、その翌年のアメリカでほぼ実機として出てくるというような傾向が強くなっています。
展示会の名前は「ラベルエキスポ」というタイトルになっていますが、最近は3回ほど前からナローウェブ・コンバー
ティング・エキスポといった形態になっておりまして、ナローからミドルウェブまでを網羅した展示会に転換しています。
今回の展示会での出展トレンドを何点か挙げてみますと、「プリプレス」では、ラベル業界は普通のオフ輪の業界と比べてデジタル化が遅れており、前回、前々回くらいから、デジタルワークフローとして、CTP・レーザー彫刻機、CTP版などが盛り上がってきています。  
日本市場でも、最近CTPの導入が進みつつあり、今年は複数台がラベル印刷会社にも導入されました。欧州市場では、フレキソ印刷機がかなりの台数入っていますから「フレキソCTP」の導入率自体は多いのですが、ラベル印刷会社が自社設備として導入するというよりは、製版会社
が導入するケースが多いようです。日本市場では、フレキソCTPがレタープレスCTPとしても活用できるということで、そちらの分野で注目が高まっています。
「印刷」に関しましては、コンビネーション機、デジタル印刷機、インクジェットが展示会のトレンドとなりました。
コンビネーション機は、先ほど説明したように、オフやUVフレキソをベースにして、ホットホイルやコールド箔、フレキソニス、シルクスクリーンなどいろんな印刷ユニットを搭載し、ワンパスで高付加価値なラベルを印刷する機種です。以前にもコンビネーション機は第1次盛り上がりを見せていたのですが、前回はUVフレキソが大量生産機として注目を集めていました。そして今回は、また高付加価値に流れが戻ってきた。そのような業界のトレンドが、またその時に必要としている内容が、複数年の展示会を見ると分かってきます。  
デジタル印刷機のほうは、HPインディゴとパンチグラフィックスのザイコンが二大勢力ということになり、欧州、北米市場ではかなりの台数が入っています。今回のラベルエキスポヨーロッパでは、来年(2008年)にdrupaがあるということで、新機種は見られませんでしたが、後加工で豊富なラインアップが展開され、いよいよ生産機としての地位を確立したといった状況になっていました。  
デジタル印刷で、また展示会全体を通しても業界トレンドとして挙げられるのは、「インクジェットプリントシステム」に尽きると思います。
先ほど申し上げた可変情報ラベルですが、それにまさに対応する機種として、インクジェットプリントシステムでUV対応のもの、水性タイプのもの、顔料系のものなどさまざまな機種が発表されました、かなり高品質なラベルが高速で生産できるようなシステムが出展されていました。
後加工分野については、ラベル印刷機は、最終加工の抜き加工からダイカット装置などを搭載し、印刷から加工までワンパスでできるのが最大の特徴になるのですが、この分野の機材についても加工形態別にいろいろなタイプが発表されていました。また、検査装置を搭載することで、目視検品ではなく自動検品できるようになるため、この部分の充実もみてとれました。  
あと注目されるところでは、RFIDのコンバーティングマシンが実機として欧州のほうですでに使用され始めていることを受け、これまでアナログの印刷機を製造していた印刷機メーカーもRFIDコンバーティングマシンを開発、出品していました。欧州や中国、ロシアなどではカードタイプのRFIDの需要が見込まれており、現在使われているケースも多いので、そういったものの出品増加につながっているのだと思います。  
そのほか、生産の自動化によるコスト低減という観点では、日本ではこれから進んでいく部分ですが、欧州ではスプライサーや、エアーで自動的にラベルの抜きカス吸い上げていく自動カス上げ装置などの自動化・省力機器が多数出品されるなど、全体をじっくり見ていったら4日あっても足りないくらいといったような充実した内容になっていました。
<原紙素材>  
ここからラベル製造の部門別に動向を見ていきたいと思います。  
まずラベル原紙。印刷用粘着紙、タック紙とも言われていますが、紙もしくはフィルム素材に粘着剤が塗工してあり、その下に剥離紙が付いているといったものですが、そちらの出展動向です。  
もともとラベルエキスポでは、原紙サプライヤーはブースが業界人の交流の場になっており、大口ユーザーなどがそこに集まり、商談や交流を深めるといったような様相になっています。
世界のラベル市場としましても、紙系は依然として6〜7割占めていますが、昨今はフィルム系基材が伸長傾向にあり、世界市場ではいわゆる“ノーラベルルック”という、ラベルが貼付対象物に貼られているが、ぱっと見た目にはラベルが貼ってあるように見えない、というラベルが多く、その分野で透明ラベルのフィルム素材が依然伸長傾向にあります。  
そのほか、環境問題やコストの問題、最近タック紙も値段が上がっておりますので、フィルムやラベルの厚さを薄くするために、粘着剤の上に貼る紙やフィルムなどのベース基材はより薄くなる傾向が強くなっていました。  
エイブリィデニソン(米)、UPMラフラタック(フィンランド)、エクソンモービル(米)など、大手ラベル原紙メーカーの動向についてですが、エイブリィデニソンは、世界のラベル市場ではトップグループのラベル原紙メーカーで、同社では、フィルム厚が薄いラベル原紙についてPRし、紙厚が全体的に薄くなることでラベルロール1巻が30%ほど長くなるというプレゼンを行っていました。30%ロールが長くなるということは、印刷加工も30%長く続けられるということであり、スプライサーを入れていない企業などかなり多くの来場者に歓迎されていました。  
UPMラフラタックは、UPMキュンメネを母体とするフィンランドの紙メーカーのグループ企業です。同社は、南西ポーランドに物流のハブとなる新工場を設立するというニュースを発表し、設備投資額は9,000 万ユーロで、2基の高速コーターを導入するとPRしていました。欧州では東欧地域が活況しており、日本でもシュリンクラベルのトップメーカーのフジシールがポーランドに新工場を建てています。同社は、そこを物流拠点とし、西欧から東欧への物流に力をいれていくようです。  
ちなみにこの写真にあるUPMラフラタックブースでは、床材についてすべて剥離紙を原材料に作らっており、環境関連のPRも大々的に行っていました。ラベル業界は、どうしてもラベリングしたのち剥離紙がゴミとして出るということで、ゴミも売っている業界だと言われてしまうケースも時にあります。そこで、業界では、基材はもちろん剥離紙をいかに効率良く熱燃料化したり、固形燃料化したりするか、というところも大きな課題になっております。
<プリプレス>  
次にプレプレスです。「欧州では、フレキソCTPの導入台数はかなり増えていると思います。まだまだ日本ではCTP版がアナログ版よりも高いものになっていますが、企業視察時に聞いたところ、同市場でもそれほどCTP版は安くなっていないようでした。そのため、高精細なラベルを印刷した場合にフレキソCTPを使うといったようなお話をされていました。  
フレキソCTPのメーカーは、ここ(スイスフレキソテクノロジーズ、ストークプリント、エスコアートワーク、マクダーミ
ッド、フレキソレーザー)にあるように、企業数としては多くなっています。ダイレクト彫刻機(スイスフレキソテクノロジーズ)についても、さらに高精細なものができるということで注目がかなり集まっていました。
ラベル市場でシェアトップは、エスコアートワーク社です。最近エスコグラフィックスがアートワーク社を買収してエスコアートワークとなったのですが、同社からは、ナローウェブ向けCTP「CDI2120」などを中心に出品されました。欧州のプリプレス部門では、エスコのプリプレスワークフローの導入率が高く、評価も高いため、その出力システムとして必然的に同社のCTPを入れるといった傾向もより強まっているようです。
<ラベル印刷機>  
次にラベル印刷機のトレンドに移りたいと思います。  
出展トレンドとしましては、前回同様ナローウェブを中心に、ミッドウェブまでを網羅した展示となっていました。前回や前々回のUVフレキソがメインだったころから比べると、輪転機や間欠輪転機、凸版間欠機の出品も多く見られ、日本のメーカーも複数出展していました。各社ともに、ワインラベルなどでかなり高品質なものが印刷できるということで商談が進んだようです。オフセットのコンビネーション機やUVフレキソなど、大ロット生産に向いたもの
も欧州では導入が進んでおり、1社で複数台同時に導入といったケースも多いようですが、やはり導入コストは1億円超から3億円、安くても8,000 万円と高価になるため、そういう機種と比較するとコンパクトで高品質なものができるということで、常連の日本を含めアジア圏からの出展企業が増えていました。
欧州のラベル市場における印刷機導入のトレンドについては、今まで導入していた印刷機に加え、間欠輪転機や前々回トレンドになっていたUVフレキソ印刷機で大ロット生産を行う一方、オフセット/コンビネーションで、高付加価値ラベルを製造し、特殊性でユーザーを多く取り込みさらにラベル単価で勝負をしていくというような動向が感じられました。  
欧州の大手印刷機メーカーのニルペーターは、オフセットユニットは全生産量の約20%で、2年以内には30%近くになるだろう、と発表し、今後オフセットラベル印刷機のシェア拡大を示唆していました。究極にはフレキソかオフセットか、というようなことになるのですが、双方のいいところをとって市場を伸ばしていこうという戦略になっているようです。  
これは、印刷方式別に見た新技術の動向を図式にしたものです。何回も繰り返しお話ししてくどいのですが、コンビネーション機はより効率化を狙ったものであり、スリーブ交換方式については、今回初めてニルペーターから発表されました。また、これまであったカセット方式は、印刷ユニットをカセットタイプにして印刷技術を交換するタイプですが、これらによって生産効率を向上させています。
インクジェットプリントシステムについてですが、小ロット化の波の中にあって、同システムは極小ロット狙うわけですが、そのインクジェットも今までとは違い、高精細、高速、UV硬化この3つをクリアしないとラベル業界ではなかなか認められないため、これをクリアしつつあるプロトタイプ機が今回発表されました。  
インクジェットの方向性としては、モノクロとフルカラーに分かれるのですが、モノクロシステムでは、インラインまたはオフラインで主に可変情報、バリアブルデータを印字し、フルカラーシステムでは、多色商品ラベルをそのまま
インクジェットで印刷していくものとして提案されています。
デジタル印刷機は、従来のアナログ式印刷機に替わる生産機として考えられているため、欧州では小ロットというよりは中ロットの方向性に向かっています。懸案となっていた後加工機も充実してきているほか、問題となっていたラベル原紙もラインアップが増えてきたことで、先行して導入したラベル印刷会社は、ビジネスモデルをどんどん提案し成功を収めています。そのような経緯で、導入企業は、1社に複数台導入されるような形態になってきています。
<リーディングサプライヤーーのメーン出展機>  
こちらにリーディングラベル印刷機メーカーのメーン出展機を羅列したのですが、ニルペーター(デンマーク)は、会期中に30台ほど商談が成立したようですが、「MO4」という第4世代機(オフセット/コンビネーション機)を中心に注目が集まっていました。同機には、先ほど説明した「スリーブシステム」を投入したことで、交換だけを時間にすると1分しかかからない、というプレゼンテーションで多くの業界人の注目を集めていました。
ガルス(スイス)という歴史あるラベル印刷機メーカーも、
「ICS−430」という原紙幅の広いものを出してきました。会場では、ウェットグルーの飲料ラベルの製造デモなど行い、ラベル印刷機であっても粘着だけでなくウェットグルー、UVフレキソだとシュリンクなど、いろんな技術のラベルを製造できるといった部分をPRしていました。ちなみに、展示されたデモ機は今回ツアーで視察に行ったラコ社に導入されています。
最近、販売台数を伸ばしているオランダのMPSは、オフセット/コンビネーション機「EO」シリーズを出品し、オフセットユニットについてワイドオフセットメーカーのドレントゴーベルのユニットを使い、ナローからミドルのほうに向かって動いています。  
マーカンディーは、アメリカの老舗ラベル印刷機メーカーですが、コムコ「C2」という、従来のラベル印刷機とは思えないようなデザインのミッドウェブのフレキソ印刷機を出してきました。これはアメリカの市場にターゲットを合わせていることもあって、シュリンクフィルム、紙器、ラベルの生産すべて小から中、大ロットまでできるということをプレゼンテーションしていました。
<リーディングメーカーのメーン出展機(フォトリポート)>
これが先ほど説明したニルペーターの「MO−4」です。ここのところのシリンダーを交換するとジョブチェンジができるということです。それが「新技術のシリンダーチェンジシステム」になります。  
隣は、ジ・ドウェというイタリアの会社ですが、これもコンビネーション機で、こちらの交換は、棒につり下げてユニットを取り、そして交換するというすごくユニークなデモンストレーションを行っていました。  
ラベルエキスポでは恒例となるのですが、このようにサン
プルロールが必ず置いてありまして、例えばこの印刷機で刷ったものをスタンドにつらし、来場者がカットして自由に持っていけるのです。ルーペで見当精度を見たり、実際にこんな印刷ができるのか、ということを確認している様子はどこのブースでも見られている風景です。
<IJプリントシステム>
次にインクジェットプリントシステムの台頭ということです。
同技術は、ラベル向けの印刷システムとしての実用化が、今年のラベルエキスポヨーロッパ07の最大のトレンドになりました。主な出展数だけを見てもこれだけあります。相当トレンドになったのだということをおわかりいただけるかと思うのですが、ニルペーターの「キャスロン」というのは上位機種で、フルカラーUVインクジェットでインライン、オフライン両方できる仕様になっています。
エプソンのインクジェットラベル印刷機は、日本の「IGAS」
でも出展されて注目されていたのですが、エプソンヨーロッパからフルカラーの顔料系のインクジェットとして出ていました。
EFIは「Jetrion4000」を出品。こちらもラベルエキスポアメリカ、前年の展示会で、プロトタイプで出ていたものがほぼ実機としてフルカラーUVインクジェットとして紹介されました。  
あとは、サンケミカル、インピカ、アトランティックツァイサー、日本のコニカミノルタさん、こちらも単色UVインクジェットユニットとしては高速性能でかなり注目を集めていました。  
ドミノのKシリーズは、ラベル印刷機にユニットを搭載することでQRコードやバーコード、可変情報、可変データすべて打っていけるもので、これは単色UVなのですが、スポットカラーも加えられますので、黒だけではなく、ユニットを追加搭載すれば色数は増えていくという可変情報印刷を自由にできるというものが注目を集めていました。
<efi(米)−「ジェットリオン」シリーズ>
少しメーカー別に傾向をお話ししたいと思います。  
アメリカのefiは、「ジェットリオン」シリーズを発表しました。「ジェットリオン3000」は、先ほど言ったようにモノクロ、スポットカラーインクジェットシステムで既に200 台くらいの販売実績があるのですが、いろんなメディアに可変情報を高速で印刷できるもので、日本でもこの「ジェットリオン3000」シリーズの導入がこれから見込まれるのではないかと予測しています。  
こちらの「ジェットリオン4000」は、人に隠れて全然見えな
いのですが、これは当社のツアー専門にプレゼンの時間を用意していただき、じっくりと説明していただいたスタンドアローンのフルカラーUVインクジェットシステムです。
同機には、検品機をインライン化して展示してありましたので、ラベルを印刷して検品し、そのまま出荷できるというようなシステムに仕上げてきていました。スピードがかなり特徴になっていまして、毎分最高で30.5m出てしまうという、インラインの検品がかなり重要なポイントになるかと思います。  
アメリカの会社ですが、欧州市場ではスパルタニクスと販売のパートナーシップを結ぶ方向で、このインクジェットプリンターにレーザーカット機を連結させることで、先ほどのHPやザイコンのデジタル印刷機と同等の生産システムをつくっていこうという展望があるようです。
<インピカ(フランス)>
これはインピカ、フランスの会社ですが、金と銀のインクを使用したインクジェットラベルサンプルを発表していました。視察ツアーの参加の中でも評判になっていたものですが、金や銀がそのままインクジェットで打てるということで、これはかなり使えるのではないか、使いたい、というようなお話が出ていました。もちろんこういった基盤、RFIDアンテナの印刷などにも応用できますので、こっそりと出品されていたようなのですが、皆さん見つけられて話題になっていました。
実機としましては「Impika 600」というインクジェットのシステムが出ていました。こちらのほうは水性インクを使用したインクジェットシステムです。印刷幅は474 mmで長尺印刷できるため、通常の300 mm幅を超えたラベル幅で長尺もできるということで注目の商品だと思います。スピードも毎分75m出ていますし、ユニークなのがUVフレキソや乾燥、ラミネーター、ホット/コールド箔などのユニットのインライン化が可能というプレゼンでしたので、後加工の充実ということで、そこまで取り組んでいくぞという姿勢が見えていました。
<ザール(英国)>
ザールという会社(イギリス)です。このインクジェットユニットというのが今回キーになるわけですが、各社のインクジェットシステムのヘッドとして採用されていました。同社がヘッドのリーディングカンパニーとなるのか、複数社にOEM供給もしくはライセンシー供給ということで、いろんな会社のヘッドとして搭載されていました。  
展示ユニットとしては「Xaar1001」で、特徴としてインクがヘッド内を循環する仕組みで、目詰まりが少ないためメンテナンスが長時間必要ないということです。さらに特徴とし
ては粘度の高いインキのオペレーションに優れている。ウェブの印刷においても、高精細やテキストの小さいもの、階調性も滑らかに出るということで評価され、いろんなメーカーのインクジェットシステムに採用されているようです。
<複数製品に搭載された「ザール」のヘッド>
これが「ザール」のヘッドの採用例です。先ほどお話したニルペーターの「キャスロン」「Jetrion 4000」、PAT「Rotoworx」「サンケミカル」のインクジェットヘッドにも採用されていました。
<IJプリントシステムによるラベル印刷の展望>
ラベルエキスポヨーロッパ、アメリカも含めて、インクジェットシステムがここまで多く出品されたことはこれまでになく、これは今後ラベル業界において「可変情報」をキーワードにインクジェットのシステムを活用して1つの市場を築いていくことの表れになるかと思います。  
モノクロのインクジェットは、先ほども言いましたように、印刷機にヘッドを搭載してインライン化させることでバリアブルデータを印刷できる。  
フルカラーのIJシステムは、印刷品質や生産性によります
けれども、装置価格帯のリサーチでは2,000 〜3,000 万円から1億円強までかなり幅広いものが出ています。これからの展望を取材すると、後加工も充実させていくというお話が各社から出ていましたので、オフライン、インラインと選択肢がありますが、フルカラーのインクジェットに関してはオフラインで単独に後加工までを行う。モノクロIJはインライン化して、どんどん効率よく小ロットの可変情報ラベルを製造していくというような方向性になるのではないかと思います。
<デジタル印刷機>
デジタル印刷機のほうは、今回新型は出ていませんでしたので、drupaに期待ということになるのですが、市場動向としては、欧州では導入企業がかなり増えています。そして1台導入した会社が2台、3台とビジネスモデルを先行して作り成功のあかつきに複数台を導入していく。ジョブ変更の時の効率化やスキルレスということを考えますと、UVフレキソやオフセットの分岐点を考え、小ロットのものは極力デジタルに移していくというような傾向があるように見受けられます。  
生産機としての開発は一段落つき、後加工のバリエーションや、デジタル印刷機でいろんな商品ラベルが作れる環境になっていますので、いかにビジネスモデルとして積み上げていくか。ラベル単価もアナログ機で作るのとはやはり違うでしょうし、小ロットで即納、短納期対応といったところで付加価値をつけられることもあります。あとはスキルレスからくる生産コストの低コスト化ということもありますので、これからはデジタル印刷市場は必ずマーケットが拡大していくというように感じました。  
エキスポでは、入口すぐの場所にザイコンのブースとHPインディゴのブースがありまして、双方で後加工までをインライン化させたもの、オフラインで置いたものなどが出品され注目を集めていました。
<RFID加工機>
続きましてRFID加工機の出展トレンドについてお話ししたいと思います。  
今回、ドイツのリーディングラベルコンバーターを回らせていただいたのですが、RFIDコンバーティングを行っている部分というのは、視察レベルだと見せてもらえないということで、取材で行けばもしかして見せてもらえるのかなというところなのですが、当社のツアーが50人を超えてしまっていますので、いつもですが、そういう極秘の部分までは入れないという状況ではありました。特に企業視察2社目の
ルーマー社ではやはりRFIDのコンバーティングを行っていて、そのラベルは市場に流れているということをお話しされていましたので、欧州のラベル市場におきましては、ラベルコンバーターのほうにRFIDラベルの仕事が降りてきて既に発注されている状況をうかがうことができました。
日本市場は、まだラベル印刷会社がRFIDのコンバーティングを行うというレベルには達していないのですが、欧州ではそのような状況にあるようです。いずれにしても、大量生産・流通するには、粘着ラベル化が最も低コストでできるわけですから、来年以降は、確実にラベルコンバーターにこのような仕事が流れていくと予測しています。  
コンバーティングマシンの傾向につきましても、ラベル業界では多層ラベルというラベル層が2枚、3枚になったものがあるのですが、そういった多層ラベルのコンバーティング機にホットメルトでRFID加工をしていくといったような印刷機が各社から出ていまして、今までラベル印刷機をつくっていたところがRFIDコンバーティングマシンまで幅を広げているという傾向が見てとれました。  
主なリーディングメーカーですが、ほかにもいっぱいあったわけです。これが前回、前々回となると、ビエロマティック、メルツァー、スピルカーくらいだったのが、今回は、まだ知られてなくあまりメジャーではない会社も多く出ていましたので、RFIDコンバーティングマシンをつくる会社はどんどん増えているという状況になっています。  
ビエロマティックはこの後にご紹介しますが、RFIDのラベルコンバーティングマシンと100 %の検証機などを出していましたし、メルツァーもバゲージタグ加工機をメーンに出していました。そのほかスピルカー、ショーバー、エダール、これはラベル印刷機のメーカーなのですが、「Lambda RFID」という印刷機を出しまして、カードタイプのRFIDを可変で出していくというようなものをプレゼンしていました。
<ビィエロマティック(ドイツ) 1>  
今回 新しく紹介されたものに「RF-Roop Tag」がありました。まだ ラベル新聞でも発表していないニュースで、新年号に載せる内容ですが、NXPと共同開発したUHF帯のスマートラベルで、これの新しいところはICチップがロールタイプの粘着ラベル状に加工されている点です。これにより、ラベルコンバーター、またパッケージ関連企業は、ロールラベル化されたチップモジュールをアンテナにシンプルな方式でラミネーティングし、高速で安定したUHF帯RFIDラベルを低コストで製造できるようになるとい
う、非常に画期的な商品になっています。 またビィエロの加工機で製造が可能なアンテナは、銅やアルミエッチングではなく、アルミ箔を使用してロータリーダイやマグネットシリンダーなどでアルミを打ち抜き加工することが可能になっています。
<ピエロマティック(ドイツ) 2>
こちらは検証装置として出品されていたものですが、今まではRFIDラベルに検証して、不良品があったところにはインクジェットなどでマーカーをつけていたというレベルだったのですが、「Quatlifier T100/165」は、工程中、不良品ラベルをバキュームで吸い取り、ライン上でラベルが欠品している部分に検査済みで良品のロールラベルからラベリングし、最終的に100%良品のみのRFIDラベルを製造するシステムとして、かなりの注目を集めていました。
<代表的なRFID加工機……メルツァー>
同じくドイツに本社を置くメルツァー社というメーカーがあります。こちらのバゲージタグモジュールのRFID加工機なのですが、中国やロシアのほうへの導入が進んでおりまして、ロシアなどでは地下鉄やバスのRFIDカードに使われているほか、北京のオリンピックのチケットに使われるというニーズのもと既に複数台が納品されたなど、いろんな情報が飛び交っていました。  
同機では、インラインでインレットを全品チェックするとともに、不良を強制的に排除し、100%良品のインレットを基
材へ継続的に貼り込む「インレットセレクションシステム」を搭載し、1台でインレットの検証から最終加工までを実現する装置となっています。
欧州、中国、ロシア等のRFIDの現状として、地下鉄やバスなど公共機関へ紙ベースのRFIDタグの導入がかなり進んでいるようで、日本のスマートカードとは市場性が異なっているようです。それらのニーズで大ロット発注があるために、このような生産機が今回各メーカーからたくさん出てきたのではないかということが予測されました。
かなりRFID関連メーカーのブースは情報規制が厳しく、プレス関係者でもなかなか写真を撮るのが厳しい状況で、印刷機を撮ろうとすると“ノー”ということで、こういう全景しかなかなか撮れないのですけれども、RFIDコンバーティングマシンの充実がラベルエキスポでは見られました。
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