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  「ラベルエキスポ2007」視察リポート
−欧州から世界へ ラベル業界の潮流を探る−
  ラベル新聞社 経営企画室 編集統括ゼネラルマネージャー
鈴木 由紀子 氏
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皆さんこんにちは。私はシール・ラベル印刷業界の専門紙を発行しておりますラベル新聞社の鈴木と申します。今日は、日本フォーム工業連合会の技術セミナーの場におきまして、このような講演の機会をいただきましたことをお礼申し上げます。  
本日は、9月に開催された「ラベルエキスポヨーロッパ07」のトレンドに加え、シール・ラベル業界の市場データなどを交えながらお話しをさせていただきたいと思います。皆さんの貴重なお時間をいただき、お役立ちできるか分かりませんが、よろしくお願いします。
弊社では、アメリカ、中国、ヨーロッパの3地域で行われているラベル業界最大の展示会「ラベルエキスポ」シリーズにつきまして、毎年、視察ツアーを行っております。
今回は、2007年9月に開催された「ラベルエキスポヨーロッパ07」の展示会視察に加え、企業視察も行っておりますので、その視察リポートとしまして、「欧州から世界へ ラベル業界の潮流を探る」というテーマでお話しをさせていただきたいと思います。  
講演に先立ち、弊社につきましてご存じない方もいらっしゃると思いますので、まず、弊社の概要について紹介し
たのち、日本のラベル市場について、続いて、「ラベルエキスポヨーロッパ07」の視察ツアー実施概要、そこで見られましたトレンド、ラベル原紙の素材、プリプレス、印刷機、RFIDの4分野に分けてご紹介したいと思います。これらを踏まえまして、日本市場と「欧州〜世界」のラベル市場の比較および展望などをお話しさせていただきたいと思います。

 1.ラベル新聞社の概要 (画像をクリックしてPDFを表示します)
弊社は、1969年にシール・ラベル業界の専門紙として発刊しました。『ラベル新聞』は、ブランケット版で月2回発行しております。発行日は1日と15日で、発行部数は1万8,750 部となっています。  
購読者のカバー地域としましては、日本全国に加え、海外では、韓国や中国、シンガポールなどで日本語を読める方がいらっしゃるため、アジア地域の読者も多くなっています。
ラベル市場は、日本市場同様世界各国に団体があり、欧米、アジアの団体とも連携して、日本はもちろんのこと世
界市場の動向についても追っています。それらは、紙面の海外ページや、当社発刊の「日本の粘着ラベル市場」などへフィードバックしております。
また、ラベルエキスポシリーズを運営しておりますターサス社とは、緊密な連携体制を取っており各種イベントや視察ツアーなど、いろいろな面でサポートしております。
近年、ラベル業界のグローバル化は急速に進み、実際に大手のラベルプリンター、コンバーターを中心に、海外動向などをリサーチする傾向が強まっています。それに伴いまして、私どもでも新聞だけの展開ではなく、さまざまなイベントや市場調査など、ユーザーニーズに応じた事業を複合的に増加させています。
昨年は、日本初のラベル業界最大のイベントとして、ターサス社主催の「ラベルサミットジャパン06」を開催しました。当社は、協賛企業、また日本事務局として実質業務を行い展開したのですが、同イベントには、国内はもちろ
ん世界各国から約500人が集まり、2日間にわたってコンファレンスとテーブルトップショーを展開して盛況のうちに閉幕しました。同イベントについては、主な内容を収録したDVDを発行しております。
また、今年4月1日には、ラベル業界のデータ本として『日本の粘着ラベル市場07』を発刊し、ご好評をいただいております。これも日本のラベル業界としては初めてのもので、弊社がこれまで培ってきた取材をもとにデータをまとめ、分析とともに発表しております。
 2.日本のラベル市場 (画像をクリックしてPDFを表示します)
ラベルエキスポ07」の視察リポートに移る前に、まず日本のシール・ラベル市場について概略をお話しさせていただきたいと思います。  
日本のラベル市場は、印刷業界が非常に厳しいと言われる中でも、微増ではありますが、マイナスではなく伸長方向を示す業界として、各印刷団体から認知されています。
ラベル市場自体は、1959年から粘着のロールラベル原紙の国産化をはじめ、ラベル印刷機と言われる“ロールトゥロール”のナローウェブ印刷機に印刷用粘着紙を通して印刷加工を展開しております。
業界団体としましては61年の設立になりますが「全日本シール印刷協同組合連合会」がありまして、その傘下に全国10協組があります。
業界の基本情報については、弊社発行の『日本の粘着ラベル市場2007』にも記載しておりますが、ラベ
ル技術には、軟包装のシュリンクラベルやストレッチラベルなどから、紙がメインのグルーラベルなど多くの種類があり、弊社算定では、粘着ラベル市場の市場規模は05年ベースで5,100 億円となっております。
ラベル印刷会社の企業数は約3,100 社。専業でラベル印刷のみを行っている会社は1,000 社ほどとなっています。  先ほどの全日本シール印刷協同組合連合会の組合に加入している企業は、最近、若干減少傾向にありまして、今年7月の総会時点で739 社となっております。これに会友企業として登録している会社が111 社あります。
ラベル用粘着紙の年間出荷量につきましては弊社で算定し、毎年1月と6月の1日号に掲載しておりますが、約13億1,200 万uとなっております。  
また、ラベル印刷機の設置台数につきましては、約1万600 台となっております。なお、ラベル印刷機メーカーの年間売上高は約120 億円、前年比で2.1 %増となっています。この数字には、輸出も含んでおり、最近は、アジア圏、特に中国などへの輸出が進んでおりますので、輸出部門がけん引しているという要因もあります。
市場を構成するラベル印刷会社の概要については、全体を見ますと中小企業が圧倒的多数を占めています。先ほどの粘着データ本にも売上高20億円以上の会社を載せているのですが、数がかなり限られており、10億円以上の企業は全体で120 社ほどで4%を占める市場となっております。  
ラベル印刷を行う専業の会社などでは、売上高1億円以下の企業がやはり最も多くなっております。もともと家族経営で企業を興し、平圧機などを中心に1〜3台ほどで展開している企業が多く、特に東京地区ではその傾向が顕著となっています。  
先ほどフォーム業界にも異業種から参入、というお話がありましたが、シール・ラベルについても、最近では、企業の内製化で各種ラベルを出力されたり、パッケージ会社がラベル印刷機を入れてラベル印刷を行ったりといったケースがかなり多くなっており、当業界においても、他業種からの参入や内製化の傾向はかなり高くなっています。  
ラベル印刷の受注形態については、間接が7割、直接が3割と書かせていただいたのですが、弊社では、間接受注というのは包装資材会社などを通してシール・ラベルの注文いただく会社が約7割。直接受注は、ブランドオーナー、メーカーなどと直接取引をしている会社が3割と推算しております。直接受注よりも、包装資材の中の1つとしてシール・ラベルが認識されていることもあり、その割合がかなり高くなっています。  
平均的なロットについてですが、数字の出し方によってかなり異なってきますが、一般的なラベル印刷会社では、最近、多品種・小ロット化がかなり進んでおります。その影響を受けまして5,000 〜1万枚といったところが1ジョブの平均的なロットになっています。1ジョブは5,000 〜1万枚ですが、最近はまとめて発注する企業が少なくなっており、小口で月に1〜2回、同じジョブをリピートで出すところが多くなっております。ですから、トータルすると数ヶ月の間に同じ種類のシール・ラベルが10万枚ほど印刷しているというケースも多いのですが、1回に発注されるジョブの枚数は年々少なくなっているようです。  
納期につきましても、最近では即日対応の傾向が強まっており、刷版制作や刃型制作などを考えるとかなり厳しいとは思いますが、注文を受けてから翌日発送というようなケースもかなりニーズとして高まっています。全体では4日以内には発送が多く、1週間を切っているというような内容が7割ほどになっている状況になっています。  
先ほどから申しましております弊社の粘着ラベル市場のデータですが、その中からビジネスフォーム業界と少し関連があるデータを1つ、2つ出してみました。
1つは、可変情報ラベルと商品ラベルの割合です。
ラベル業界では、表にこういった(ペットボトル『霧島の天然水』を手に取り)ブランドのロゴが入っていたり商品名が入っていたりするようなものを「商品ラベル」と呼んでいまして、このような商品内容の文言表示が書いてあるものを「裏ラベル」というように通称で呼んでいるのですが、これまでは、そういった商品のメーンとなるラベルが今までは主流を占めていました。それが最近では、QRコードや2次元バーコードなどの可変情報ラベルがかなり増加し、そのシェアは05年ベースで逆転しました。逆転といっても
5%くらいの違いで、可変情報のラベルが50%、このような商品ラベルが45%くらいの割合になっているという数値が、私どもの取材活動から算定されました。
一方、それらを印刷するラベル印刷機の市場についてですが、日本のラベル市場は世界のトレンドから比べると非常に独特な道を歩んでおり、現在でも凸版平圧機が67%を占めるに至っています。この数字は以前と比べると微減はしていますが、やはり粘着ラベル製造の歴史とともに歩んできた平圧機は、いまだによく稼ぐという機材として活用されています。
続いて凸版間欠輪転機が15%。ラベル業界のトレンドは、今、凸版間欠輪転機にシフトしておりまして、最近では小型機が、平圧機の代替として販売が好調で、凸版間欠機を導入して多色化に進むという傾向が見られます。
続いて凸版輪転機が12%。半輪転機はかなり昔の印刷機になりますが、まだまだ現役で動いているところがかなりあります。あとは間欠オフ(2%)。各ラベル印刷機メーカーが間欠オフの販売も展開しているほか、最近ではフォーム印刷機メーカーのミヤコシが手がけている機種も好評を博しています。  
そのほか、フレキソ印刷機には、水性タイプとUVタイプがあり、欧州ではUVフレキソが凸版からの転換でシェアを拡大していますが、日本では、HPインディゴやザイコンといったデジタル印刷機と合わせてもまだ1%にすぎないというような状況になっています。
 3.「ラベルエキスポヨーロッパ07」視察ツアー実施概要 (画像をクリックしてPDFを表示します)
続きまして「ラベルエキスポヨーロッパ07」の視察ツアーの実施概要についてお話しさせていただきたいと思います。  
弊社で毎年行っておりますラベルエキスポ視察ツアーですが、今年は9月23日〜30日までの6泊8日という少し長丁場のツアーになりました。参加人数は50人、弊社から2人、あと添乗員が1人同行しました。  
企業視察では、今年はドイツ国内にターゲットを絞り、ドイツのラベル印刷会社は、日本市場と比較してどのような展開をしているのかというテーマのもと、3社・4工場を回
りました。当社のツアーはいつもハードスケジュールで、今回も東京から九州くらいの距離を2日で走破する内容で大変ではありましたが、皆さん積極的に経営者に質問などを投げかけながらかなり有意義な企業視察になりました。  
残り2日間は、ベルギー・ブリュッセルに場所を移しまして、ラベルエキスポヨーロッパの視察をしました。 参加者の内訳としましては、ラベルプリンター、コンバーター、サプライヤーなどで、ビジネスフォーム関連の企業も毎年何人か参加していただいています。
<企業視察(ドイツ・3社4工場)>  
ラベルエキスポリポートの前に企業視察について概略をお話ししたいのですが、今回は、まず年間売上高約1,800 万ユーロの「ゲワロール」という会社を視察しました。この会社は非常にユニークな会社でして、ワインラベルに特化してラベルの生産を行っています。工場はドイツのブドウ畑の真っただ中にあり、もともとドイツでは、ワイン醸造とラベル印刷会社がリンクしている企業が多いという話は聞いていたのですが、まさにそれを実体感する企業視察になりました。
同社は、当初、印刷後、紙に糊をつけてボトルに貼っていくグルーラベルが主流だったのですが、ラベル素材が、高級かつ耐水性のあるフィルム系ラベルにシフトしたことで、現在では粘着ラベルが製造の主流になっています。  
同社の設備については、印刷機では、スイス・ガルス社の最新鋭オフセットのコンビネーションラベル印刷機が3台導入されており、高品質かつ特殊加工を施す内容のものを多く印刷していました。コンビネーションラベル印刷機というのは、さまざまな印刷技術を印刷ユニットの搭載によりインライン化させた機種のことで、同社では、オフセット印刷方式をベースに、ホットホイル、コールド箔、フレキソのニス引きなど、さまざまな印刷ユニットを搭載し、インラインかつ高い生産効率で高付加価値ラベルの製造を行っていました。  
2社目は「ルーマー社」を訪問しました。同社は、年間売上高が約1,200 万ユーロ、ドイツでは約8位のラベル印刷会社というお話をされていましたが、「高品質ラベル」をキーワードに、食品やコスメ、衣料品、ペットフード、本当にあらゆるラベルを印刷していました。  
印刷方式も、いろんな分野へラベルを供給しているということで、レタープレス/UVフレキソ/スクリーン/コンビネーションラベルなど、さまざまな技術を投入していました。大体がアナログ機ですが、20年〜30年前くらいの印刷機から最新鋭の印刷機まで豊富で、最新鋭のコンビネーション機に関しては設備投資コストが高いため、24時間フル稼働させるなど、生産効率を追求して経営されていました。  
最後に、翌日訪問した「ラコ社」は、年間売上高が約1億5,000 万ユーロという世界でもトップ3に入る大手のラベルコンバーターです。視察時には、ラベル印刷工場を2カ所回ったのですが、まさにこれぞ世界のラベル印刷工場といった様相で、デンマークのニルペーターのラベル印刷機を中心に、10台、20台単位で複数列並んでいるという形で、ツアー参加者も圧巻といった感じでした。  
本社工場ともう一カ所オフセット工場を見たのですが、本社工場には30台以上のラベル印刷機が導入されていました。プリプレスにはかなり力を入れていて、プリプレス部門で印刷しやすいラベルデザインのデータや版をつくると、その後スムーズにラベルの生産が進むということを話していました。
<「ラベルエキスポヨーロッパ07」の概況>  
続きまして「ラベルエキスポヨーロッパ07」の概況について講演させていただきたいと思います。  
主催は「ターサス社」という本社が英国にある会社で、ラベル業界の専門誌『Labels & Labeling』という雑誌も発行している会社です。  
今回、会期は9月26日〜29日の4日間で、ベルギリー・ブリュッセルエキスポで開催されました。  
出展社数は511 社で、うち145 社が新規出展ということで、これまではかなり大きなブースが多かったのですが、
今回はローカルサプライヤーの出展も多く、1コマ出展も多く見られました。海外企業の出展は30社ということで、前回は10社でしたのでかなり増えているのですが、この増えている部分はアジア、特にインドや中国のサプライヤーで、彼らの力も増強され、欧州での販売も狙っているといったところが見受けられました。
来場者数は2万4,752 人で、前回比7%増ですが、これは1人が何回行っても1人とカウントされるのでこの数字に落ちついています。実際はこの写真にあるように、ホール数は5ホールあり、どこも人で混雑しておりまして、ちょうど同時期に「IGAS」もありましたが、全体的な人の入り方を見ると「IGAS」よりも混んでいたのではないかという印象を受けました。  
参加国は114 カ国ということですので、ほぼ全世界から視察に来ているという状況となっています。
 
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