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 日本フォーム印刷工業連合会 業務委員会主催
       平成21年度第1回講演会 
     
「日本でいちばん大切にしたい会社」
       法政大学大学院教授 坂本光司 氏

 きょう私がいった会社は、57人の会社で10人程度とっているところに2万人といったのです。これは極端ですが。この会社の自慢は、新規学卒で9年間で辞めた社員は一人もいないということです。離職率が高い会社は問題が多すぎます。私たちは、入るときにもっと多くのカネと時間をかけるべきです。入ってからかけてもだめなのです。人事評価で人間が変わるとは思いません。
 
 浜松にこういう会社があります。従業員60人の会社です。毎年4人採用しています。その会社に、願書を持ってくる方が4,000 人おります。最終的に4人が入ります。その結果どうなったかというと、今いる60人のうちの35人は東京大学の工学部。東京大学の大学院、その方が35人で圧倒的多数で、その次に多いのが京都大学です。その次が東工大です。私学では残念ながら、早稲田の理工と慶応の工学部です。両方とも筆頭学部です。ここしか入れない。全世界から募集していますから、海外は、アジアでいうと、清華大学。中国で一番です。あるいはロシアでモスクワ大学。これも一番です。ここから入っている学生がいます。
 優秀な男です。北海道のその本の中に書いてある「柳月」という会社があります。お菓子屋さんです。帯広は人口が18万人です。ですから、学生だって想像がつきます。いまだ地平線が見える場所です。村があると思ったら、飛行機でいって、また村があるというまるでオーストラリアの空から見た感じです。そこで学生を毎年40人とっています。好況、不況関係なく40人とっています。
 皆さん方、不況で人財をとるのをやめて好況でとるというのはだめです。好況を持続させることができる唯一のものは人材です。不況を克服することのできる唯一のものは人材です。
 人材がいないから、不況になったのに、人材がいなくまた下げているのです。このことに気がつくのは時間がかかるかもしれません。だまされたと思ってやっていただきたい。私にだまされて、うまくいかなかった会社は存在しない。間違いないからです。
 「柳月」さんという会社は、40人毎年採用しています。結果的に今、600人になりました。この会社を訪れる人は、楽に1,000人超えています。
 ほとんど北海道じゅうから集まってくるのではないですか。辞めた社員なんか一人もいません。過去20年間の社員が全員新卒です。中途採用は基本的に入れません。創業して10年間は中途採用はしょうがありません。急に大きなプロジェクトが出た場合、中途採用はしょうがありません。
 中途採用は即戦力です。新規学卒は即戦力になりません。では、中途採用がいいではないかということですが、違います。会社でいちばん大切なのは「継続」です。会社でいちばん大切なのは人を伸ばすことです。中途採用を10年も20年もベースにしているかぎりだめです。
 人を伸ばすということは、一つの仕事を通じて、もう一つは、先輩を通じてなのです。最高の教育は、教える教員ではないのです。教えさせる教育なのです。教わるためにはきょうの1時間半でいいのですが、教えるためには15時間くらい勉強しないと教えられないのです。
 いろいろ話をしたいと思いましたが、私の時計を見たら講演時間いっぱいです。
 本の中では1社、日本理化学工業の話をいたしました。あと、中村さんとか杉山フルーツさんとか、そんな会社が書いてあります。
 私が見ていますと、私たちはいちばん大切なことを大切にしていないという感じです。いちばん大切にすべきことをいちばん大切にするのが企業経営の極意です。技術ではない。取引先ではないです。社員と社員の家族の幸せを念ずるのが正しいのです。
 おかしな会社は、私物化したり、虫けら扱いです。社員の首を切るのだったら、その前に己の腹を切れというのが豊田哲学です。松下哲学です。
 先日、大阪の会社にいきました。松下電器の元資材部長をやった方です。早期退職で57歳で辞めた方です。抵抗して辞めたのです。残れたのですが、辞めたのです。なぜ辞めたか。57歳で辞めたほうがたくさん退職金があるから辞めたのではないのです。これは違うと思ったからだそうです。
 松下幸之助だったら、全員を集めて2割給料を下げてくれと頼むところが、「申しわけないけれども、2割に相当する55歳以上の人、辞めてくれ」といわれたそうです。これに頭にきて、辞めるといって人事部に辞表を持っていったそうです。彼の最後のポストは、総括資材部長だったそうです。
 彼が辞めるという噂を聞いたら、全国の32社から「社長、副社長になってくれ」とお呼びがかかったそうです。その彼はすべてを断って、いちばん関係のない、まったく関係のない、いちばん苦しい会社にいきました。
 1年でその会社はよくなりました。その代償は大きくて、1年で彼は胃の全摘手術をしました。彼が病院で明日手術というとき、当時いた従業員30人の方が、奥様もご主人も、社員も、おじいさんも、おばあさんも、その子どもも、その社長のために千羽鶴を折り、その裏にすべて「治ってほしい」という手紙を書いたそうです。
 彼が資材部長であったときの仕事は、「どんな人がきても親切丁寧に対処してあげなさい。せめて椅子に座っていただいて、コーヒーくらい出してあげなさい。仕事があるない、できる、できないは、その次の問題である」といって、全資材部長を集めて檄を飛ばしたそうです。
 そのことで救われた下請けさんが恐らく32社、この方に社長になってくれ、副社長になってくれと馳せ参じたといいます。
 その方がやった経営です。その会社に私はいってきました。この会社は燃えているんだなと思いました。会社は家族愛に満ち満ちたように、社員がレクリエーションなどで楽しんでいるニコニコ顔の写真がいっぱいありました。増収増益を繰り返しています。扱っている商品はまったく変えていません。変わったのは社長だけです。変わったのは、社長の経営のやり方、社員への思いが変わっただけなのです。会社というのは実に単純だと思います。社員は実に単純だと思います。

 十分なお話ができずに、きょうのきっかけをつくってくださったのは経済産業省の親しい出沼さんという方であります。経済産業省で数少ない尊敬できる親しい仲間であります。彼は心底、皆さま方業界の発展を期待している数少ない男の一人だと思います。
 かめばかむほど味が出てくる男であります。皆さま方を一生懸命知ろうということで私をここに呼んでくれたのではないかと私は思います。彼にいわれたら、たとえどこでもということで、きょうも来ました。恐らく話が中途半端で、まだ各論のところまでいっておらないのではないかと思います。また何かご用があるようでしたら、気軽に声をかけてくださればと思います。個別の話でも、大学のほうにきてくださるということであれば、市ヶ谷と飯田橋の中間の大学院におります。何か皆さま方の問題の一つや二つにはいとも簡単に解決できることもあるのではないかと思います。ぜひこれをご縁に気さくに声をかけていただきたいと思います。
 久方ぶりに非常に熱心にご聴講をいただくいい団体の方々にめぐり会ったなという思いであります。だからこそ、最後に「お手伝いします」といったわけであります。
 ご清聴ありがとうございました。

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