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 中部フォーム印刷工業会主催
  平成21年度 講演会 (平成21年11月19日開催)
「ビジネスチャンスをどう見つけるか」
 
       株式会社ナビット 代表取締役 福井 泰代 様
話をもとに戻しますと、私が発明を商品にして、どうやって企業に売り込んでいったかというところをご紹介します。  
自分の発明品について、まず最初に、先願調査をします。先願調査というのは何かというと、先に願うということで、自分のアイデアが過去にあったか、なかったか、を調査します。  
私が10年くらい前のやっていたときは、インターネットもまだなかったので特許庁にいって調べていたのですが、今は、JPOという特許庁のサイトがあります。そこで調べると、無料で過去の先願情報を見ることができます。 最初に売り込んだのは、「右左を間違えない靴」というのを企業に売り込みました。これはどういったものかというと、子どもが、家の中と外を行ったり来たりして遊んでいるのですが、いつも靴を右と左が逆にはいていたのです。  
それはすごくみっともないから、ちゃんとはかせようとしたのですが、赤ちゃんで、まだ小さいからわからないのです。それで、親指と人差し指の間に、ゴムスリッパみたいなフカフカので仕切って、足の親指と人差し指の間にアロンアルファで張り付けて、右と左を間違えてはくと、足に違和感があるという靴を考えました。それを会社に売り込みました。  
どうやって売り込むかということですが、発明学会で教わったことは、まず発明品を自分で写真に撮って、企画書をつくるんです。自分はどうやってつくったか、という企画趣旨というものをつくります。私が靴屋さんに最初に売り込んだときは、帝国年鑑を見て製造業の靴というところを探して、「企画書在中」と書いて「代表取締役社長様」宛てにお送りします。  
最初に靴屋さんに売り込みました。1枚目が企画書で、写真をつけます。2枚目に返信用紙をつけまして、1番、採用したい、2番、採用したくない、3番、その他、といって四角い箱をつくって、社判を押してもらって、ファックスで返信してもらえるようなものを入れて、74社の企業に売り込みました。  
結果はどうだったかというと、惨敗です。毎日「採用したくない」というのがいっぱい返ってくるわけです。それはどうしてかというと、特許を申請するところに出したのですが、「そういうのはすでに特許を取っていますよ」というのが全国からファックスが届いていて、その理由が、外反母趾という病気があって、それを右と左にしきりが入っているのが、明治時代からあって「あなたのアイデアは特許性がありません」という返事が全国からたくさん寄せられました。  
発明学会の起業家集団の通信教育では「『特許出願中』と書いてどんどん企画書を送ってやりなさい」と教わったのですが、でも、その企画書を送る手間と、いろいろな手配などを考えて送ったら、全国から毎日「不採用」というファックスがいっぱい来るのはさすがに堪えました。  
そのとき、私は、やっぱり先願調査をしたほうがいいなと思って,先願調査を始めました。  
先願調査は、今はもう家にいてインターネットで調べられるのですが、そのころは特許庁でないと見れなかったのです。私は主婦だったので、最初に特許庁に行くというのはすごく自分の中で高いハードルで、いやだなと思ったのですが「行ったら、図書館と同じだよ」と言われて、行ったら本当に図書館と同じで、「こういうのを調べたい」というと全部教えてくれて、パソコンでも見れてタダなのです。ただ、プリントアウトするのに1枚100 円かかったりします。  
それで次の売り込みから先願調査をします。  
次に私が売り込んだのは、「アイデアトランプ」というのを売り込みました。アイデアトランプというのは何かというと、その当時、上のお姉ちゃんが3歳で、本を読んだら、記憶力を高めるには神経衰弱がいいと書いてあったのです。  
それで、子どもとトランプの神経衰弱をしたのですが、ただ小さくて字が読めないのですぐ飽きてしまうのです。それで、アンパンマン2枚とか、ドラえもんが2枚のカードがあるといいなと思って、東急ハンズとか、いろいろなところを調べて買いにいったのですが、売っていない。だったら、これからちょうど平仮名を覚えさせたいから、「あ」が2枚とか、「い」が2枚という平仮名カードをセットで売り出したらいいのではないかなと思って、それをきちんと先願調査しました。  
その先願調査をしたところ、そういうのがなかったのです。また 同じようなものの出願であったので、その資料を全部書き写してきました。また 私の商品が事業化されて商品化されたら、たぶんこの売り場に並ぶだろうというところにいって、陳列されている商品を手にとって後ろをひっくり返すと、製造元とか企画元とかと書いてあるので、それも全部写してきて、次におもちゃ屋さん、そういったチーク玩具屋さんに売り込みを始めました。  
こちらは50社ほど売り込んだのです。同じように企画書とファックスの返信用紙をつけて、今度は遊び方も考えて一緒に送りました。  
その中で3社から「ぜひ採用したい」というファックスをいただいて、それで、静岡県の青島文化教材社というところにロイヤリティ3%と、手付金が15万か20万かもらって商品化されました。  
それが私の生まれて初めての商品化されたものです。そのときに私が思ったのは、それまでうちの家族は、発明品を一生懸命やっているのを、大丈夫なの?というふうに見ていました。ちょうどその時期がオウム真理教の時期でして、ちょっとあやしいなというのがいっぱいある中で、「特許を取るのはお金かかるし、こんなことをやっていて大丈夫なの?というふうにすごく懐疑的で、なおかつそんな大きな会社が個人のアイデアなんて採用してくれるわけないよ」と、みんな反対の意見だったのです。  
でも、その1社に採用されて、家族もびっくりしているし私もすごくびっくりして、これはいけるかもしれないと、調子に乗ってすごくうれしかったのを覚えています。  
発明学会では、発明というのは1000に一つといわれておりまして、発明学会みたいに発明が大好きな人が集まっていても、1000に一つといわれている業界です。なかなか商品化にはなりません。その中で私は二つ目の発明品で商品化になって、大変ラッキーというか、自分自身も非常にびっくりしました。  
その次に、3つ目の発明品はだめで、4つ目の発明品が「指しゃぶりストップ手袋」というのを売り込みました。  
こちらは、ちょうど上の子が3歳検診で歯医者にいって、「すごく出っ歯になっているから、指しゃべりをやめさせなさい」と言われたのですが、なかなか指しゃぶりがやめることができなくて、それで指しゃぶりをやめさせる手袋、「指しゃぶりストップ手袋」というのを考えました。  
これも、赤ちゃん本舗とか、コンビさんとか、あまりないのですが、そういう赤ちゃんメーカーさん20社くらいに売り込みました。その中で3社から話を聞いてもいいという会社があって、そこにお話を伺いにいったのですが、ちょうどそのとき、PL法というのが日本の中に入ってきまして、日本もアメリカ並みに訴訟を起こされるリスクが生まれてきました。マクドナルドの店員が火傷を負われて、訴訟で負けて3億円補償することになったとかいう時期だったので、赤ん坊の口に入るようなものには皆さん慎重になられていて、指しゃぶり手袋のボタンをかみちぎって飲み込んだりしないようなものを探してほしい、ということでした。  
そんなことで一生懸命探しまして、東京の西日暮里に生地問屋さん街に下の子どもをベビーカーに乗せて買い物に行きました。しかし どこに問屋さん街があるかわからなくて、西日暮里の駅で、ベビーカーを押してすごく迷ったという経験から「のりかえ便利マップ」を思いついて、この「のりかえ便利マップ」が商品化になりました。  
そのころの私は発明をずっと趣味でやっていまして、「のりかえ便利マップ」のアイデアは五つ目のアイデアなのです。  
先に話した「指しゃぶりストップ手袋」はどうだったかというと、結局、商品開発にはなりませんでした。やはりPL法が厳しくて商品化していただけなかったのです。  
そんな感じで発明をずっと趣味でやっていました。  
発明について、発明学会さんから最初に習う言葉があります。それは何かというと、「いやだなと思ったら、そこにビジネスチャンスがあると思え」という言葉です。  
発明家にとって「いやだな」ということはどういうことかというと、普通の人だったら、例えば、行きがけで傘を忘れてしまったとか、携帯が見つからなかったとか、包丁がうまく切れなかったりとか、いろいろな「いやなこと」はたくさんありますよね。普通の人はそれをただ「いやだな」と思ってしまうのですが、発明家は、それがお題目なのです。「いやだな」と思ったら、それをメモにとって「自分だったらどうしよう」と考えて、つくってみて、使ってみて、よかったら特許を取って、世の中に出していく、というのが発明家のシンプルな王道です。  
ですから、発明をやっている方は「いやだな」と思ったら「ありがとう」です。とにかくメモを取って、自分だったらどうするか、考えてつくっていく。使ってみて、よければ、権利を取って世の中に出していく。  そういうふうに考えると、いろいろな方から「いろいろなことをよく考えるね」と言われますが、逆にたくさんありすぎて絞るのが大変なくらいで、発明家にとって「いやだな」と思うことは、これはお題目です。  
雨で降って洗濯物が外に出せなくて部屋干しをしていたら、部屋が臭くなってしまった。いやだなと思ったら、ある人は、干す場所を考える、ある人は、空気清浄機を考えるかもしれません。ある人は芳香剤を考える。洗剤の成分を考える人もいます。そういう形でいろいろな考え方があるのです。それがその人のオリジナリティです。それが発明のタネです。  
ですから、「いやだなと思ったら、そこにビジネスチャンスがあると思え」というのが、発明家の一番最初に習う言葉です。  
ですから、私はよく「発明家のすすめ」という講演をやっているのですが、子育て中のお母さんとか、赤ちゃんが小さくて外に出られなくて、すごく毎日が単調で、夜泣きが止まらなくて自分が夜寝られない、いや
熱心に聴講する中部会員
  だなと思ったら、普通の人は「いやだな」というのですが、発明家は「じゃ、どうしよう」と、自分だったらどうするか考えて、いろいろな工夫を始めます。  
世の中の人で、意外とこういう工夫をしている人はたくさんいて、おうちの中だけで使っておられる方がたくさんいらっしゃるのです。それを発明品として商品化していくという発想があまりないので、非常にシンプルですが、これだけでも、ちょっときょう覚えて帰っていただければと思います。
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