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  平成22年 新春特別企画セミナー (平成22年1月28日 開催)
「ブレイクスルーへの挑戦」
 
―迎える2010年は“パラダイムシフト元年”の年に― 
       講演 富士株式会社 代表取締役
           アニス株式会社 取締役    眞柄 泰利 氏            ←セミナートップ
これは何かわかりますよね。  
世界地図を逆にしたものです。実は、これがまさに我々が持っている固定観念をひっくり返してみようという話のスライドになります。  
これはどういうことかというと、私が2002年にマイクロソフトの中でワールドワイドのリーダーシップ・トレーニングに出まして、そのときに使われた最初のスライドです。これをまず見せられました。当時、シェアも高い、ただし満足度が悪いとか、いろいろな他社の動きによってどうなるんだろうと思っていたときに、リーダー教育で最初に見せられたのがこのスライドでした。  
これは何をいいたかったというと、とにかく今、自分たちが持っていることがすべてではないし、ひっくり返してみようよ、そういう発想をきちんと持とうよ、と。当時のマイクロソフトは5万人くらいの会社で、大企業病が出てきたころです。その中で次のリーダーを育成するプログラムで、あえて こういったスライドから始めたトレーニングが非常に印象的でした。今回もまさに私としては、世界地図を逆に見ているような感じがしています。  
そのときに、教材として使ったのが、ルイス・ガースナーというIBMの元会長が書いた「巨象も踊る」で、それを1週間で読まされてディスカッションさせられるわけです。これはベストセラーになっていると思います。これもIBMが大企業病になって、ハードウエアからサービスにシフトする、というようなビジネスモデルの変換の原点になったような本です。  
こんなことが一つひとつある中で、いろいろ私自身の中ではブレイクスルーが何度か起きているのかなと思います。    
ブレイクスルーとは何なのかということを申し上げてみたいと思います。  
今、日本というのは成熟していると思います。成熟市場というのはどんな思考が優位かということをここにあげています。  
論理的な思考がないと、こういった状況の中では無駄も省けないし、なかなか対応できないのではないかと思います。したがって、今後の成長や明日どうするのかというよりも、きょうどうやって維持しようかということで、私がマイクロソフトにいた最後の4年間くらい、ここだけでした。すべてをモデル化しよう、効率化するにはどうしたらいいか、最適化しようではないか、と。意思決定のプロセスをどうするのか。なおかつコンプライアンス、これはきちっと会社の中で導入してやらなければいけない。  
どういうことかといいますと、モデル化というのは、マイクロソフトというのは、グローバル企業で世界のほとんどすべての国に支店があるのですが、民族、人種、宗教、言語、バラバラの人たちをどうやって一元管理するか、大問題です。そこをいちいちローカルに任せたらコストとして上がってしまうわけです。  
マイクロソフトも、日本も、倍々ゲームで伸びていったような90年代だったら、そこにコストをかけて十分収支が合うのですが、低成長になってしまいますと、そこのわがままは許さない。そうするとどういうことが起きるかというと、組織図を一緒にしなさいという議論になります。  
組織図を一緒にしたあとは、ジョブ・ディスクリプションを一緒にしなさいという話になりました。要は、この組織にはどういうトップがいて、その下にはどういう役職がいて、全て定義をして、その人に対するペイメント、給料まで統一したグローバルなモデルを導入しようということで、本社から見たら、その日どうなっているか、マネージャーが何人いて、どんな給与をもって、なおかつどんなトレーニングを受けたか、マイクロソフトでは全部一元で見られるようになっています。  
したがって、いつ、どこで、だれが代わっても常に最適な状態で事業が継続できるわけです。  
それを各国同じモデルにしよう、と。そういう意味でいうと、最先端です。すべてモデル化して、効率よくして、最適化しようという大企業に、もとはベンチャーであったマイクロソフトも成り果てたというところだと思います。  
その中からは一切、次の成長を語るというような話は出てまいりません。いかにしてさらに効率よくするか、というところにマネジメント層の優先的な思考はいってしまうわけです。  
それに対して、いろいろな評価方法がありますので、やはりKPI(重要業績評価指標)を導入したり、人事評価の中でコミットメントしなさい、と。コミットメントのいくつか具体的な数値目標を掲げて、それが達成したか、しなかったか、業績によってボーナスが変わってくるということで、当初は、全体の給与に対するインセンティブボーナスの比率は非常に少なかったのですが、日本もアメリカの動きに合わせて基本給は低めに、業績で評価する部分を多めにというふうにどんどん変わっていきました。  
いずれにしましても、いつどこで何が起きているかを同じ指標で、同じ角度で見れるということで、本社は安心するというようなことに、この数年間でなってきたかなと思います。  
これに対して、では、新たな市場をつくるときにはどうなのか、あるいはどうだったのか。私の拙いIT業界の中でどうなったのかというと、もちろん論理的思考がないとハチャメチャになってしまうので、そこは重要だと思いますが、それプラス、ブレイクスルーさせるための何かが必要だと思います。プラスアルファです。そのプラスアルファは何なのかちょっと考えてみました。  
低成長とか縮小均衡が優位な時代には、戦略はなかなか描けない。縮小均衡したなかである程度わかってしまっていますから、これからどう爆発させるのか、どんなふうにでかくするんだという骨太の企業としての戦略はなかなか描きにくいと思います。したがって、議論としては戦術論です。今どうするか、どういう方法をとるかというところにいってしまうのですね。  
ですから、そこに対して完璧な、皆さん、部門ごとに完璧、あるいはそのグループで完璧、組織として完璧、ただし全体として、大きくなるだけの戦略を持っているかというと、やはりそこには合成の誤謬が起きてしまう。これはマイクロソフトでもそうでしたが、完璧でした。各部門が出してくるプランは完璧に辻褄があって、論理的ですばらしいプランですが、全体として爆発するのかなというと、マイクロソフト以外のところで大きく成長している分野、例えば広告・検索部門、そういったところに対して何かアイデアがあるのか、それに絡めて何か大きくできるのかという議論に対しては、なかなか何も出てこない。  
ということで、個々には完璧ですが、全体の市場をとらえたときに我々の立ち位置は何だろうという議論にはなかなかなりにくい状況だと思います。  
無駄がなく、理詰めなものですから、そこに対して議論をしても、完璧でしょう、で終わってしまうというケースもありました。  
したがって、リスクテークをどこかでしなければいけないし、クリエイティビティを持っていかなければならないし、コンセンサスではなくて、どこかでだれかがディシジョンメイクして突っ走る、ぶっ壊すというところもたぶん必要なのかなと思います。  
この辺のことは当たり前のことしか書いていないのですが、とはいえ、私の感じでいいますと、マイクロソフトが大企業になりまして、この中では90年代のように、じゃ、おれがやってやるわ、といって進められるようなところではなく、各部門とのコンセンサスがないかぎり動けないというような状況なのかなと思います。  
したがって、こういったことをどういうふうに対処するかというのが一つ大きなポイントなのかと思います。  では、これに対して事例があるのかといわれると、なかなか見いだせないので、申しわけないのですが、私が今何をやっているかということを事例として一つご説明しようかなと思います。  
私の仮説ですが、私が接していた層というのは必ずしも幅広い人ではないですが、中国のIT業界におられるマネジメント層になります。その方たちに、日本の安心・安全・高付加価値のライフスタイルというのをもって、東アジアで一つの大きな新しいビジネスの面ができるだろう。日本が発信する情報に基づいてみんなが動き始めるだろう、というふうに仮定をしています。  
では、そうはいっても、中国というのはあまりいいうわさを聞かない。金払いが悪いとか、モノを納めたのに支払いしてくれないとか、逃げられたとか、もあります。それも中国人からみると、「だまされたから悪い」と一蹴されてしまう。それに対していろいろご意見もあるし、いろいろな経験をされている方がここにもいらっしゃると思うので、それはそれとして事実として認めた上で、では、ほかの国で、あるいはほかの会社で何が起きているのかというのを若干例を示して話します。  
昨年、グローバルIT企業の社長をお招きしてちょっと講演していただいたあとに、ディスカッションをさせていただきました。私の仮定は「人事を見ればそのグローバル企業がどこの地域、領域にフォーカスしているかわかると思いますが、どうでしょうか」という質問をいたしました。  
これは、4、5年前から、あるいは10年前くらいから、マイクロソフトでは、中華系、インド系、南米系、ロシア系を、とりわけインド、中国人の優秀な技術者とか、マネジメントレベルの人をどんどん本社に持っていっています。これはなぜかというと、その地域に対するフォーカスが見て取れます。 「御社はどうですか」とお尋ねをしたら、やはり同じようなことをおっしゃっていました。  
日本はすでに低成長で、投資を各国にしますが、例えば私の存じあげている多くのIT外資企業ではこの数年は日本は非投資対象地域とされています。ほかの業界のことは私はよく知りませんが、少なくともITに関して日本は非投資対象になっている。  
では、今後彼らはどこに向けてシフトしているのか、舵を切るのかといわれれば、恐らくインドであり、中国であり、ロシアであり、ブラジルだというのは、人事を見ればわかります。  ましてや、年に何回か行くビジネス・ミーティングでも、インド人、中国人、ロシア人の意見、声の大きさは、この数年、本当にすごいです。こうしろ、ああしろ、これだけ投資してくれ、という本社に対しての非常にアグレッシブな要求です。
\ですから、ここを見ているとわかるのですが、民間だけかというと、実はオバマ政権で何が起きているかというのは、ご存じの方はおられますか。  
商務長官は中華系です。エネルギー長官も中華系です。民間の人事を見てどうなるかと今申し上げましたが、今、アメリカは中国に対してどうしようかという観点からみたら、この人事はどうなのでしょう。  
日本で、今の政権が中国系の帰化された日本人に、外務省なり、経済産業省なり、大臣といわず、政務官なり、できるか。なかなかここまでは踏み込めないと思います。  
オバマは日本のことをいろいろ言っていますが、自分のところでどうなのかと言われれば、実際に中華系のアメリカ人をこうやって登用している。ちなみに、このエネルギー長官というのはノーベル物理学賞を取った方です。  
こんなような流れはあると思います。この人材の登用自体が、ではどうなのかというと、直接関係ないかもしれないですが、私の仮定としては、恐らく中国の膨張する、あるいは成熟していく過程の中で、すでにマルチナショナルの企業はそういうふうに投資しているし、アメリカ政府も、交渉のためこういう人材を登用し始めているということの事実は、ひとつおもしろいなと思います。  
果たして日本はどうなのだろうか。日本は、チャイナ・オポチュニティというよりチャイナ・リスクといわれている部分が多いと思います。確かに製造工場としての位置づけの中で非常に怪我をされた方も多いです。実際、私の友人も、ジュエリーを高円寺でバブルのときにやっていまして、その当時、上海に出先を出して、当初は送金もあったようですが、3カ月くらいして送金がなかったので、連絡しても連絡とれない。行ってみたら上海のお店自体がなかった。  
こういうような人たちに対してどうするの?ということに関して、リスクとしての報道が多いですし、なかなか成功したということを聞かない。  
そんな中でどうするのかというところですが、大きな企業だと、ここに踏み込むのはまだまだ危険であるという判断になろうかと思いますし、なかなか難しいのかなと思います。  
ただ、私の場合には非常に身軽です。今、非常に自由にやらせてもらっているので、私の仮説のもとにどんどん進めればいいというところで、昔のように何百人もの社員に対して責任を持つものから、個人のリスクでやらせてみていますので、この部分に関してはリスクだとは一切現時点では思っていないのです。
私が常々思っていたことですが、新しいものを起こすときは、やはり極めてしまうと、この中は本当によくわかっていて、本当に深いところまで理解できるのですが、一歩引いてみることがなかなかできなくなります。  
何か新しいことが起きるときは、必ず普通の人からするとミスマッチの感じで、融合したときにはじけるという可能性が高いのかな、と常々思っています。  
今回、「富士」という会社をつくったときのきっかけも、実は私が中国はおもしろそうだから実際にやってみようという判断のもとで、“やってみよう”のところで何が起きたかというと、常々思っているそのミスマッチが起きたのです。これはひょっとすると、私がこれまでつき合っていなかった人だな、と。その人と私が持っているいろいろな経験を合体させて爆発させたらおもしろそうだなというのがきっかけです。  
それは何かというと、私はITをやっていました。富士のファウンダーで取締役の渡邊というのは、映像とかフィルムコンテンツ、あと観光の専門家です。まったく私のいた業界ではないです。この渡邊と私がなぜ一緒になったかというと、私は、マイクロソフトのとき、最後の数年間、CSRの担当もしていました。そこで徳島県の上勝町というところで、シニアの方々が「つま」のビジネスをされているのをご存じですか。柿の葉っぱとか紅葉の葉っぱを料亭によってビジネスをしているという村があるのです。  
マイクロソフトは、そこのシニアの方々のパソコン講習を無料でCSRの一環でやっていたのです。

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