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  平成23年度第1回講演会(平成23年6月16日開催)
「知的障害者に導かれた企業経営と私の人生」
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       講師 日本理化学工業株式会社 取締役会長
            大山 泰弘 氏
ただいまご丁寧にご紹介いただきました、日本理化学工業の会長の大山でございます。 このような素晴らしい会場に、またそれぞれに実績も成果も数多く持っておられる皆さまの前で、たかがちっぽけなチョークの会社のことをお話しするなんて大変おこがましいことですが、私はたまたま知的障害者と長く一緒に働いていたことから、むしろ一般の社会の中で、また学校でも気づけなかった貴重な「気づき」を数多くもらいました。それを皆さま方にお伝えしたく参りましたので、お許しください。
ご講演:大山講師
当社は、炭酸カルシウムの粉をもとに作ったチョークメーカーで、全従業員74人のうち55人が知的障害者でございます。それも、チョークメーカーの中では最後にできましたが、現在 国内のチョークの32%ぐらいのシェアを占めて、おかげさまで国内のトップメーカーになっております。
それは、国内の小さな業界でありますが、知的障害者が一生懸命働いてくれているからこそ、ナンバーワンになれたのだと思います。
会社創業は昭和12年です。学校の先生たちの体の害にならない、少しでもいいチョークを作ろうということで、栄養剤に使うカルシウムの粉をもとに作ったチョークです。たまたまアメリカにそういうチョークがございまして、是非それを国内で私どもの学校に持ってきてと、輸入を勧められたのがそもそものきっかけでした。おかげさまで何とか国産化に成功し、昭和12年に設立いたしました。
知的障害者との関わりは、昭和34年(1959年)です。当社は、障害者とはまったく縁がなかったのですが、当時、東京大田区に工場がありまして、そのお隣の世田谷区には「青い鳥」と書いた青鳥養護学校という知的障害者を教育する学校がありました。その学校の先生が飛び込みで当社に来られたのが最初のきっかけでした。
私は昭和31年に大学を出ましたが、社長の父が、心臓弁膜症で倒れ、兄弟が多いということもあって、上の私がやらざるを得なくなってしまいました。
私はもっと違う道を歩むつもりでいたところ、チョーク屋になるということは、思いとは全く違う「逆境」と思っていました。しかし、兄弟の面倒も見なければいけないことから、あえて逆境を甘んじて受けて、その中で最大限に自分の人生を生かそうと、そんなことを心に決めてチョーク屋に入ったのです。その3年後に、その青鳥養護学校の先生が飛び込みで日本理化学に就職依頼に来られたのです。  
当時は、今でこそ「知的障害者」といいますが、「精神薄弱児」と先生はおっしゃっていました。高等部がないころでしたから、「15歳で卒業する生徒の就職をお願いできませんか」といわれました。  
でも、私は福祉のことは全く知りませんでした。その上、「精神薄弱児」と先生がおっしゃったものですから、「先生、そんな人たちにチョークを作らせたら、会社が大変になるから、とんでもないです」と。今、こんなところで偉そうに話していますが、正直、そういう私でした。  
先生は、私が頑として「ノー」といったのでその時はお帰りになりましたが、それが再度先生が来られまして、「よその会社はどこも取り合ってくれないんです。教室を見渡せば一番簡単にできそうなのがチョークなので、もう一遍頼んでみようとまた来ました。」
「先生、よその会社でだめな人を、日本理化学でというほど簡単ではありません。このチョークは石膏チョークと違って、ひとりでに固まらない粉、まして溶剤に使う粉をもとに作った日本で初めてのチョークで、そんなに簡単にできるものではないんですよ」といって断ったのです。  
ですが、3回目に来られたときの先生の言葉に、何かお手伝いしなければいけない思いにさせられたのです。 その先生がおっしゃったのは、「今日はもう就職のお願いに来たのではありません。この子たちは、来年15歳で卒業して、就職できないと施設に入らなければいけないんです。それも、東京は施設が少ないから、地方の遠い施設に15歳で親元を離れて入ることになってしまうんです。一旦施設に入ると、一生働くことを知らずにこの世を終わってしまうことになります。一生に一回、働く経験をさせて、卒業させてやりたいのです」と、先生に言われました。  
「一生に一回の働く経験を卒業までに」と言われてしまったものですから、そこまで言われてはということで、2週間の実習をお受けしたのが、工場に知的障害者の人たちが入ったきっかけでした。  
私は2週間の実習が終わったら、そのあとに「ご苦労さま。学校で一生懸命勉強して卒業するんだよ」と言ってさよならすればいいと正直思っていたんです。そして 2週間経った最終日に、5、6人ぞろぞろと社員たちが事務所に入ってきました。「専務さん。頼まれた実習生は今日で終わるんですね。でも、専務さん、2人の女の子は一生懸命やってくれたんですよ。昼のベルが鳴っても手を休めようとしないので、初日は私たちがそばに行って肩をたたいて、『ほら、このベルは昼のお弁当を食べる時間だよ。みんなでお弁当を食べましょう』と慌てて声をかけました。それが2日目も、『昨日教えたことをもう忘れちゃったの?』といって、食堂に連れて行ったのです。それが3日目、4日目、最終日の今日まで、私たちがそばに行って肩をたたくまで一生懸命やっている2人だったんです。」当時は中年の人たちが多かったものですから、「15歳で、うちの娘みたいな年齢の子が親元を離れて地方に行って、一生そこで生活するなんていったら、かわいそうだ」というんです。「たった2人なんだから、専務さんに頼んで、あんなに一生懸命にやるんだから、私たちも面倒見るから、来年卒業と同時に就職できるようにお願いしましょうよと、みんなで話し合ってきたんです」と、社員たちが頼むんです。  
私は、大学を出て3年ちょっとのまだ若造の専務でしたし、みんながこんなに一生懸命頼んできたのに、彼らに「ノー」という勇気もなかったですし、むしろ彼らの言うことを、「よし、じゃ、そうしよう」と言って男を上げたほうがいいのかなくらいのつもりで、たった2人なんだから、「そうだね、みんながそこまで言ってくれるなら、そうしようか」と。そうして翌年の4月に2人の女の子を就職させたのです。  
でも、それは、あくまでも「かわいそうだから」という同情でした。それが、今、74人のうち55人の障害者を雇用するなんて、全く考えていませんでした。  
雇用してから3〜4年たってのことでした。実は毎年1人、2人とさらに数が増えてしまったわけです。先生から、「最初の2人は、やさしい仕事といわれた仕事から、今はほかに移っていますね。そのポストが空いているんだから、来年卒業する子を1人入れてくれませんか」と言われるうちに、いつのまにか4、5人になってしまいました。  
そんなときに業界での法事が禅のお寺であり、私は父の代わりで出たんです。私もちょっと仕事があった関係で遅れて行ったものですから、日本間で、遅れていけば大体中央に近い席が空いているのが普通です。頭を下げて席に着いたのはいいんですが、しばらくたって業を終えて入ってきた住職さんが、ああ、あそこが空いていると座られたのが私の隣の席だったのです。  
法事といったら1時間とか2時間ぐらい会食をします。ご住職に口もきかずにいたのでは申しわけない、何をしゃべったらいいのかなと、お坊さんと話したことなんて今までなかったものですから、本当に戸惑った瞬間でしたが、私の口から日ごろずっと思っていたことが出たんです。  
「住職さん、うちの会社はチョークを作っている会社なんですが、実は字も読めない、数もちゃんとできない、人たちが何人か働いてくれているんです。私から見たら、そういう人は施設で大事に面倒を見てもらったほうがずっと幸せと思うのに、なぜ朝早く起きて満員電車でギューギュー詰めになりながら、毎日遅刻もせずに会社に来るのかわからないんです。本当に不思議なんです。」  
すると、今までにこやかな顔をされていたご住職が、いきなり顔を上げてキリッとされて、逆に私に質問されたのです。「人間というのは大事に面倒を見られることが幸せだと、大山さんは思っているんですか。
人間の究極の幸せは4つです。1つは『愛されること』、2つ目は『褒められること』、3つ目は『人の役に立つこと』、4つ目は『人に必要とされること』です。施設にいて、褒められたり、役に立ったり、必要だという言葉をかけてもらえますか。会社であればこそ、『大雨の中、今日は休まずによく来てくれたね』『昨日より今日はたくさんできたね。がんばったね。ありがとう。助かったよ』と、こういう言葉をかける。それが人間の幸せなんですよ。大事にケアしてくれる福祉施設が人間を幸せにするのではありません。働いて役に立つ企業が人間を幸せにするんですよ」と言われたんですね。  
ご住職のおっしゃるのは私が思っていることとまるきり正反対だったものですから、えっ、人間の幸せってそういうものなのかと気づかされました。どうせやるなら、チョークの会社といっても大きな会社になれるわけではないですし、せめてそういう人たちを一人でも多く雇用する会社にするように頑張ってみようと決意したことが現在の障害者多数雇用の大きなきっかけになったのです。  
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