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  平成23年度第2回講演会(平成23年8月25日開催)
「自分を経営する」
 (6) 
       ―「創造性経営する」「エッジをきかせるためには」―
       講演  早稲田大学大学院 教授
            早稲田大学社会連携研究所 所長
            友成真一 氏
つぶやき返し
さて、残ったのが「つぶやき返し」ということで、私がつぶやいたことについて何か「つぶやき返し」をしてください。質問でもなんでも、何かあったらつぶやいていただけますか。
他人の夢を支援する
●受講者
先生のお話を聞いたのは2回目で、以前立教大学のときに聞かせていただいたんですが、きょう先生にお伺いしたいのは、人間の存在の本質は変化していないということをおっしゃって、人との関係性とかコミュニケーションだとおっしゃっていたんですけれど、それを突破するために、先生は、人間一人ひとりが、どこからどう変化することで1対1のコミュニケーションであったり、人と人とわかりあえない問題が突破できると思われているのか、お伺いしたいのですが。
●友成教授  
とても難しい問いを発していただきありがとうございました。わたしがお願いした「さくら」の方ではありませんよね(笑)  
なかなか難しいですね。人類の歴史の中でそんなことを試みた方が何人もいらっしゃったのだと思います。私は何の宗教も持っていませんが、一番に思い浮かぶのはイエスという人です。ご異論のある方もいらっしゃると思いますが、ここではイエスを一人の人間の例としてお話します。イエスは、あの時代の非常に「タコつぼ」化された社会状況の中で人間の本質的なものと対峙したわけです。この本質的なものというのが、いまご質問をいただいた点ではないかと思うのです。イエスは「タコつぼ」的な宗教をつくろうとしたのではなく、目の前の人間をただ救おうとしただけではなかったのかと。その結果捕らえられ、政治犯として十字架にかけられて亡くなった。  
他にも、歴史上いろいろな方が様々な試みをやってきました。そして一様に目指したものは、「素ダコ」的な連帯の世界ではなかったのかと勝手に妄想しているわけです。  
私が細々とやっていることは何かというと、ここに「YouME(ゆめ)シート」というものがあります。「You」と「ME」から成っておりまして、西日本方面に住んでいらっしゃる方はわかると思いますが、この「ゆめ」というのは「ゆめタウン」というスーパーからちょっとお借りしました。  
ここで「ゆめ」というのは「あなたの夢が私の夢である」ということなんです。逆にすると「私の夢があなたの夢である」ということになって、これは闘争社会になります。上司が部下に対して「俺の夢をかなえるのは部下であるお前の責務だ」といって自分の夢を相手の事情を無視して投げつけるんです。そうすると、これはぶつかり合いになります。  
例えば菅さんが、「総理としてのわたしの夢を実現するために、官僚のあなたたちはしっかり働け」とか、「国民のみなさん、わたしの夢を実現するんですよ」と投げつけると、世の中は闘争になるんです。なげつけられたほうにしてみると「あなたの夢なんて知るもんか」という話です。  
そうではなくて、「あなたの夢は私の夢である」ということです。実は「自分経営ゼミ」というものを展開してもう8年になります。「自分経営ゼミ」の年度初めの講義で私は受講生たちにこのように説明しています。
この「自分経営ゼミ」というのは、「自分を経営する」、さらに定義すると「自分の夢を経営するゼミ」、「自分の夢を腑に落とすためのゼミ」です。でも、皆さん勘違いしないでください。このゼミは、皆さんひとり一人の「自分の夢を経営する」ゼミではありません。このゼミは「他人の夢を経営する」ゼミです、と。  
「他人の夢」に自分がどこまで迫れるか。その人の夢の実現のために自分がどこまで深く考え、貢献できるか。そんなことを強制的にやらせているのが「自分経営ゼミ」です。ちょっと立ち止まって考えていただきたいのですが、この世の中では「他人の夢を経営する」ことはほとんど成立していません。社内で「他人の夢」を一生懸命聞いて、その人の夢の実現のために何かをやりましょうなんていうことは基本的には成立しないのです。みんな、「自分の夢」のことを考え、それだけで十分忙しいのです。「他人の夢」なんてどうでもいいんです。  
ここで飲み会のことを考えてみましょう。4人で飲んでいます。あるひとりの人が、「俺はこんな夢持っているんだぜ」としゃべり始めます。本来であればその人の夢のことを他の3人がちゃんと聞いてあげればいいんですが、しゃべった瞬間に誰かが、「実は俺も同じ夢を持っているんだ。この前、こんなことがあった。おい、聞いてくれよ」という話になる。飲み会の中で語られることをつぶさに見てください。全員が自分のことを考え、自分のことを語りたがっています。自分のことを受け取ってほしい。おれの夢のことをみんな受け取れと思っています。飲み会という、インフォーマルな、どちらかというと人間的な集まりでもそうなのです。これは結局闘争モデルにしかならない。「俺はみんなに意見をもらいたかったのに、結局俺のことを聞いてくれる人は誰もいなかった」という話になります。その結果誰も本質的なことをしゃべらなくなります。
こんな状況をつくりかえるために、YouME方式という試みを、一つの手段としてやりつづけているわけです。  
もっといろいろ試している手段があり、実験することで、現実社会がすこしだけ動いていると感じる話というのもたくさんあるのですが、その話は個別にやらせていただいたほうがいいのではないかと思います。
手段と目的
●受講者  
先生のお話を聞いていましたら、「他人の夢」に一肌脱げるかと皆さんに指導しておられる。「他人の夢」に手を貸すことが「自分の夢」にもつながっているんだよというところまでは講義しておられるんですか。 
●友成教授  
ご指摘いただいたとおりです。「他人の夢」を受け入れ、「他人の夢」に貢献することが、結果的に
第2回講演会
「自分の夢」を前に進めることになるということです。だから、主客逆転するんです。
すこしむつかしい議論になるのですが、「手段」と「目的」で考えてみたいと思います。この世の中では「自分の夢」を実現するために「他人の夢」を支援するというのが行われています。「自分の夢」を実現するために「他人の夢」に手を貸してあげると、いつかは他人から自分が助けられて何かいいことがあるかもしれない、という論理です。この場合、「自分の夢」が「目的」で、「他人の夢」が「手段」となっています。  
さて、これが一つの問題なのです。「自分の夢」が「目的」だということは、エネルギーのベクトルは「タコつぼ」方向に向いていることになります。「自分の夢」のことしか考えない状態は、「素ダコ」的な連帯とは全然逆のありかたなのです。「自分の夢」の実現というのは、ある意味では自分の「タコつぼ」を立派なものにしようということと同義ですから「タコつぼ」方向なのです。ちょっと乱暴な議論ですが。  
そうではなく、「他人の夢」を支援することを「目的」とすると、「自分の夢」は「手段」となります。そして、「他人の夢」の支援が「原因」となって、「結果」的に「自分の夢」の実現につながっていくということです。
整理すると、「他人の夢」が「目的」であり「原因」であって、「自分の夢」が「手段」であり「結果」だということです。われわれが生きている社会の問題はこうなっていないところにあります。「自分の夢」が「目的」であって、「他人の夢」を「手段」として使うことで、「自分の夢」が「結果」的に実現すると。ここで、「手段の目的化」が起こっているのです。わけのわからない説明で恐縮です。
以上を要約して申し上げますと、われわれの人生の「目的」は、「自分の夢」をかなえることではなくて、「他人の夢」を支援することにあるという、実に深遠な真理に辿り着くのです。「タコ理論」的には「素ダコ」の連帯ですが、これは一種の「自他同一」という思想です。仏教的世界もだいたいそういうことに辿り着くんです。でも、そこの主客を我々は逆にしているんです。  
なぜ「他人の夢」を支援したら「結果」的に「自分の夢」が実現するかというのは10通りぐらい説明できるのですが。  簡単にひとつだけ言うと、「他人の夢」を支援するということは、「他人の世界」を自分の中に受け入れることです。「他人の夢」の世界というのは、自分が今まで経験したことがない、自分が全く考えたことのないような世界の話が多い。そのことを一生懸命になって考えるのです。そうすると、自分の中に全く違う世界ができるんです。その結果自分自身の世界が広がるんです。自分自身の世界が広がれば、自分がやろうとしていることが実現できる可能性が高くなります。例えばそんな話です。結果的にそうなるんです。    
簡単に説明できない話なので、個別に聞いていただければいくらでもお話しします。ちょっと実践してみたいとお声がけしていただければうれしいです。
「素ダコ」の連帯
 時間になりましたけれども、他にご質問はありませんか。こういうときはしゃべっておきますとすっきりします。しゃべった者勝ちです。
●受講者  
今日頂いた本の78ページあたりに、「自己」と「自分」の関係が書かれていますが。これが「タコつぼ」と「素ダコ」の関係と同じだということでしょうか。
●友成教授  
要するに、「素ダコ」的な連帯の世界というのは、他者と自分がつながっている世界ですから、「他者の夢」が自分のほうに流れ込む、「自分の夢」が他者に流れ込むということです。両者のエネルギーが隔たりなく流れわたる世界です。これはたぶん究極的な世界であろうと思われます。そのためには、究極的に流れわたることを阻止している一種の「タコつぼ」というものをどこかで突き抜けないと、エネルギーが流れわたらないんです。  
流れわたったときに、この世の中のものが音を立てて連鎖していく。そのことをたぶん経験された方は何人もいらっしゃるのではないかと思います。一つのプロジェクトを起こそう、これを何とか進めようと思ったときに、苦労しても苦労しても何も進まなかったけれども、ある一点、ある一瞬にバーンといろんなものが音を立ててつながっていって、今まで全く関係ない人がそこに入ってきて、全く想像もしていなかったようなつながりになって、ストーンとプロジェクトが進むということを経験された方は何人もいらっしゃるんじゃないかと思います。これがひとつの疑似体験ではないかと思います。  
 
全編わけのわからない怪しい話で恐縮でした。 では、YouMEシートに必ず、絵でも、線一本でもかまいませんので、何か描いていただけると非常にありがたいと思っています。(拍手)。 
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