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  平成23年度第2回講演会(平成23年8月25日開催)
「自分を経営する」
 (5) 
       ―「創造性経営する」「エッジをきかせるためには」―
       講演  早稲田大学大学院 教授
            早稲田大学社会連携研究所 所長
            友成真一 氏
印刷を読み解く 
さて、中身方向の世界に踏みこんでいくことは、本質的には1対1のコミュニケーションの問題になります。ちょっと論理が飛躍しすぎたでしょうか。  
これは某フォーム印刷報告書の中から拾ったキーワードです。
売り上げ・受注数量拡大」しなければいけません。「顧客のニーズ」をうまくとらえていますか。「価格競争」にも勝っていますか。そのために「新事業の開拓」、「アウトソーシング」しなければいけない。さらに
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ちょっと断っておきますが、人間は「タコつぼ」と「素ダコ」でできていますので、この両者をうまくバランスとらなきゃいけないわけです。問題は、「素ダコ」的な方向が考えられていないことです。「タコつぼ」的なことだけにとらわれていると単に「マクロ」な「タコつぼ」社会の闘争モデルの中に突入して、ひたすら闘争を繰り返す、ただそれだけのことになるわけです。  
じゃ、「目的」は何ですかと。「目的」はこっちです。まさに3.11で損壊した「個と個の関係性」をどう修復するんですかということと同じ命題が、われわれに課されていると思います。  
「手段」と「目的」の両方考えることで、ちゃんと「タコつぼ」と「素ダコ」の存在である人間が一体的に扱われるわけです。  
「タコつぼ」方向の圧力だけでやっているとどんどん干からびてきます。「俺は何で生きているんだろう。あいつと闘争するだけのために生きているんじゃない。俺の幸せどうしてくれるんだ。生きている実感がない」みたいなことになるわけです。  
これは「素ダコ」の叫びなんです。「素ダコ」がちゃんと満ち足りていないと、自分は生きている実感がない。ひたすら「タコつぼ」闘争を繰り返すだけの世界中では、「素ダコ」がどんどん干からびて干物のようになる。「素ダコ」を水にもどして潤沢にしてこそはじめて一人の豊かな人間としてわれわれは成立する。「素ダコ」が潤沢であり、なおかつ「タコつぼ」もできている。
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創造性を経営する
つぎは「創造性」の話です。エッジをどうやってきかせるか。エッジというのは「刃」とか「かど」です。「きみの提案はエッジがきいてるね」というのは、非常に鋭く尖っているから、ものごとがスバッと切れるというか、「お前の提案はすごい、鋭い」というときに、「エッジがきいている」といいます。エッジをきかせるためにどうするか。これが「創造性」の問題です。
われわれは岩盤で分けられた二つの世界で暮らしています。上の世界は、「マクロ」な既成概念にとらわれた領域です。
これは「タコつぼ」的な「マクロ」の世界の話です。
こちらの世界の中でわれわれは必死になってもがいて、ソリューションを見出そうとします。「創造力」を絞りだそうとしますが「マクロな罠」にはまってしまうんです。  
それは、「全ての人にとって」素晴らしいことを考えようとするからです。すべての消費者にとって素晴らしいと思ってもらえる商品やサービスを提供しようとするんですね。ここでわれわれのエネルギーのベクトルを考えると、「全ての人」に向けられたベクトルは、このように非常にでかいものになります。大きいのはいいのですが、エネルギーの量は限られていますので、拡散して弱々しいものになるわけです。  
この二つの世界を隔てている岩盤がここにあると思ってください。岩盤をぶち破ってこっちのマクロな世界から、むこうの創造力の源泉がある世界に行きたいと思うときに、「全ての人」と考えることは、非常にでかいが弱々しいスポンジのようなハンマーを振りかざして岩盤をぶち破ろうとすることと同じです。
ところが、こんなでかい弱々しいハンマーを振りかざしても岩盤は微動だにしない。ぶち破れないんです。これが、創造性が出ないとか、新しい事業が形成されないとかいうことで呻吟している状態です。高度成長期だったら、岩盤を破って創造性をひきださなくてもよかったんです。高度成長期には、モノをつくったらその片端からどんどん売れてしまったわけです。ところが今はそんな時代ではなくなってしまいました。 
一点突破理論
さて、それではどのようにして岩盤を突きぬければいいのか。それは実は簡単な話です。図の下側が「知恵の源泉のありか」であり、「真実はミクロに生息する」。下側が「ミクロ」な現場で上側が「マクロ」です。解決策は「ミクロ」に突き抜ける。「マクロ」に考えないで「ミクロ」に突き抜ける。「全ての人」のためにと考えるのではなくて、「この人」のためにと考えるんです。そうするとエネルギーのベクトルがこういうふうに非常に鋭くとがってきます。この非常に鋭利な先端に皆さんのエネルギーが集中するんです。そうすることによって岩盤を突き破ることができる。岩盤を突き破ったら泉が湧くんです。この泉が知恵の泉というわけでして。これが一点突破です。  
事例研究的には、社会デザイナー高橋正美さんの仕事の現場、宮崎駿監督の闘いとか、いろいろあります。あまり説明すると長くなりますので一つだけいいますと、宮崎駿監督が作品をつくるときどうするか。「千と千尋の神隠し」はどうやってつくったかというと、10歳の女の子のためにつくっているらしいんですね。10歳の女の子という個別の設定があるんです。具体的な10歳の女の子のモデルがそこに実在するんです。宮崎監督は10歳の女の子に迫っていって、その子の気持ちになって作品をつくるわけです。「崖の上のポニョ」という話もそうです。あれは5歳の男の子でしたでしょうか。5歳の男の子のモデルが現実にそこに実在しているんです。その男の子の気持ちになって、宮崎監督はあの「ポニョ」をつくるんです。
そんなわけですから、私みたいなオヤジが喜び勇んで映画館に行って、最後に泣かしてくれるだろうと思って、ハンカチまで用意して、さあ泣くぞと構えていたら泣けないんですよ。宮崎監督何とかしてくれよと。
それは泣けるはずないですね。だって、宮崎監督が50才を超えたオヤジのためにあの「ポニョ」をつくったわけではないんです。後日ある女性から聞いたら、「うちの5歳の男の子は泣いていました」と言うんですよ。ああ、すごいなと。彼のイメージの中に明確に5歳の子がいて、その子の気持ちになって最後を盛り上げて、この子が感動するためにはどうやって持って行けばいいかということを必死になって考えて突き抜けている。その突き抜けたものを多くの人たちが受け取るんです。なぜそうなるかと言うと、その突き抜けた瞬間に少なくともその5歳の男の子は感動して、感涙にむせんでいるわけです。そういう真実があるからこそ、多くの人が受け取るわけです。これが一点突破全面展開ですね。
そしてここの尖っているところがエッジですね。尖れば尖るほど時代を切り裂けます。時代を切り裂くためには尖らせてエネルギーを集中させるんです。エネルギーを集中するためには「ミクロ」にものごとを考えて切り裂くんです。そうでないと、「マクロ」に考えていたら、でかいスポンジのハンマーで叩くだけでは岩盤はびくともしない。
ミニワークショップ
ここでミニワークショップをやってみようかと思います。
5分ばかり、付近の方をつかまえて、私が本日話したことをネタに雑談をしていただけるとありがたいんですが。そのあとに若干のやり取りをしたいと思います。
きょうの結論は、結局はコミュニケーションの問題だという話です。もしこの場で皆さんのコミュニケーションが成立しなければ、たぶんフォーム印刷の将来は危うい(笑)。要するに時代を切り裂けないということです。そういうことで、知らない人たちと雑談してください。どうぞ。
〈雑談タイム〉
皆さん、もう一度本日のお題を確認してください。「ミクロ」にどこかに突き抜けてみる実験をやってみようという魂胆だったんです。ですから、ここで重要なのは、「あなたは」です。「あなたは、あなたの一番大切な方、皆さんおひとりお一人が一番大切だと思っている方はどなたですか」ということです。これは誰でも構いません。皆さんおひとりお一人によって全然違うんです。自分の奥さんであったり、子どもであったり、隣の部下であったり、顧客のあの人でも全然構わない。ここを設定しない限りは全く前に進みません。なぜならエネルギーをガッとためて一点に絞る。この行為ができなくなります。
「マクロ」に設定してしまうと「世の中の20歳代の女性」とかなるのですが、そうではなくて、「あなたの一番大切な方」ということでガッと絞って、ひとりの人間をちゃんとイメージするということです。その方をイメージすることが入り口です。それをイメージできないと次に進みません。
イメージしたあとに、その方に紙に印刷したものを何か贈ろうということです。贈ったら、たぶんその人は喜ぶんです。さあ、どんなものを贈ったら、あなたの一番大切にされている方が喜ぶか、それを考えるというのが今回のお題です。
まさに、あなたの大切な方を一点突破するんです。皆さんの大切な方、その方に意味がある印刷物を贈れないとすると、たとえ贈ってもその人が喜ばないとすると、この業界はたぶん終わりです(笑)。
単に「顧客を相手にします」「うちの顧客のあの会社を相手にします」というのは全部「マクロ」です。そうじゃなくて、あの会社の自分の付き合いのあるあの何々課のこの人にこれを贈ったら大喜びするだろうと、そういうふうに考えてください。いろんなことが考えられます。ただ、極めて特殊です。極めて特殊であるからこそ、たぶんどこにもないものである可能性が大きい。今まで誰も考えたこともないものである可能性は非常に大きい。
もしその一点を突破したら、ひょっとすると大きな市場を獲得する可能性があるかもしれません。保証はしませんが、可能性はある。
そういうことで、必ずYouMEシートに何か書いて出してくださいね。
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