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  「平成25年新春講演会」講演録 (平成25年1月24日開催)
「ファシリティ・マネジメントによる企業経営」
(1)
"世界基準に遅れをとっている日本のファシリティ・マネジメント"
       講師 (株)エフエム・パートナーズ・ジャパン クレイグ・カックス氏
こんにちは。クレイグです。よろしくお願いいたします。
今ご紹介にありましたように、日本生まれの日本育ちで、軽井沢で生まれたというのは、たまたま夏の終わり前なので軽井沢なんですが、実家は四国の香川県です。讃岐うどんを長く細く食べるとこうなるとか、というのはウソですけど(笑)、本当に私はうどんが大好きです。最近は東京でもおいしいうどんが食べられるようにチェーン店がいくつか出てきましたので、朝はちゃんと今も讃岐うどんを食べるようにしております。
うどんというのは、昼食べるもので、夜ではないんですね。ご存じの方は多いかと思いますが、昼に讃岐
クレイグ・カックス氏
うどんを食べてください。東京でおいしいのが食べられるようになりました。
私は、先ほどご紹介にありましたように、親が宣教師で日本に来たものですから、跡を継げといわれて、継いでみたら無理だったので、転職して富士通に入りまして、それ以降ずっとビジネスマンとしてやってきました。アメリカでほぼ20年間。アメリカで仕事ができたためにファシリティ・マネジメント(Facility Management)に出会えたというのが事実であります。その後、富士通からリストラされまして、いろいろ職を探していました。当時アメリカは不景気で仕事がなかなかなくてどうしようと思ったときに、じゃ、日本に何かないかといって日本であたってみたら、シティバンクで採用されました。シティバンクの日本のファシリティ・マネジメントをしたあとに、ジョンソンコントロールズという会社に引き抜かれて、そこでは今度初めてFM商売のほうを見てくれということで、ジョンソンコントロールズが日本でFM事業を拡大しようとしたときに呼ばれて、それを数年間拡大していきました。  
その後、またリストラされましてどうしようかと思ったときに、日本で総務業務、ファシリティ・マネジメントを広げていかなければいけないということがわかっていましたので、そのためには自分の会社を持ったほうがいいのではないかということで、4年前に自分の会社を持ちました。  
今では、まだほとんどコンサルタント事業をやっていますが、多くの会社とおつきあいがありまして、きょうも会社のほうから伊藤と荒井が来ておりますので、紹介だけさせてください。
これだけのお客様の数になりますと、あとで終わってからみんな話したがるんですね。そうすると、私一人ですと対応しきれないところがありますので、この先についてもっと知りたいとか、何とかというのがあればぜひこの二人にも話をしてください。ここで十分に対応できないものはメールとか後日のミーティングなどで対応させていただきます。  
皆さんの印刷業界とは、私も注文する側としては長年おつきあいがあるんですけれども、サプライヤー側で仕事したことはありません。でも、それなりに注文が来て、富士通時代から総務の責任者ですからおつきあいたくさんさせていただきました。皆さんのお客さまの多くが総務系の人が多いかと思います。  
ファシリティ・マネジメントは総務業務です。「ファシリティ・マネジメント=総務」と考えてください。タイトル的には「FM」というのはあまりいい言葉ではないのです。ファシリティ・マネジメントは、直訳しますと、ファシリティは「施設」ですから、施設マネジメント、「施設管理」ということですが、あまり適切な言葉ではない。世界でも「ファシリティ・マネジメント」という言葉はあまり使われなくなってきました。外資に入っていくと、Corporate Real Estate and Services (CRES)と呼ぶ部署もあれば、Corporate Service という会社もあれば、もう名前のつけ方はいろいろで、「ファシリティ・マネジメント部」なんて呼んでいるところは少なくなりました。 でも、いまだに世界では、International Facility Management Association(IFMA)といって、ファシリティ・マネジメントの名前がほとんどついてしまっていますから、なかなか変えることはできないと思いますが、あまり名前にこだわる必要はない。なぜかというと、「ファシリティ・マネジメント=総務」イコール、本当に定義がつけられないのです。日本の総務もそうですが、雑務ではないかというくらい、いろいろなことをさせられるところです。  
簡単に定義をしますと、フィジビリティ・マネジメントの部署というのは、会社の中にはバックオフィス部署がいくつかあって、大体五つあると思ってください。会社のバックオフィス事業は、経理、人事、IT、購買、法務などがあります。では、総務とかファシリティ・マネジメントは何でしょう。この五つに入らないものを、残りを全部FMというのです。本当に雑務に近い。株主総会から、会社のTシャツをつくるからTシャツをつくれといって、経理もやらなければいけない。契約もしなければいけない。  
ファシリティ・マネジメントがアメリカで一つのプロフェッショナルになったときは、ちょうど私がアメリカにいたころの1960年代から70年代からですが、当時はメンテナンス部署といっていた。ただ、機械をメンテナンスとか清掃する部署が、不動産もしなければいけない、建物もつくらなければいけない、いろいろなことをしなければいけないのだけれども、会社の経営に全然直結していない。ただ働く人。ファシリティ・マネージャーという人は社内でいちばん幅の広い仕事をするのですが、便所掃除もしなければいけないし、役員会議で発表もしなければいけないというように、仕事の領域の非常に広い業務ですね。  
では、何がファシリティ・マネジメントですか。そこで働くプロフェッショナルというのは何なんですかということで、それがここ20年、30年、アメリカ世界では広がって、会社の中でそれが大きく活用されたんですね。  
一例でいいますと、HSBCという世界でもいちばん大きい銀行が去年、入札をかけたのです。世界のHSBCのファシリティ・コスト、これは、家賃、光熱費、清掃費、施設費、メンテナンス費、全部含めて一社に任せるという入札をしたのです。  
これは、入札をかけたときのロンドンの新聞に載った数字ですが、HSBCのグローバル・ファシリティ・コストというのはいくらだと思いますか。  
370億円と発表されました。そうすると、今回の入札によって40億円下がると思っているといいます。グローバルの入札ですから、プロフェッショナルのファシリティ・マネジメント会社一社にまとめてお願いすると、いろいろなところでコストは下がるのですが、40億円下がる。  
ファシリティ・コストから40億円下がるということは、HSBCという銀行の利益に対するインパクトはいくらだと思いますか。ファシリティ・コストが40億円下がると、会社の利益はどうなりますか。上がるのです。間接経費ですから、経費を40億円下げれば、利益は40億円出るのです。  
でも、HSBCは、40億円の利益をこれで突然生んだだけでなくて、身軽になったのです。40億円という経費を捨てたのです。会社としてのコスト・パフォーマンスがよくなって、今度商品にそのコストを反映できるのです。  
では、みずほさんがグローバルでHSBCに対してある商品で競争しなければいけないのですが、みずほさんはファシリティ・マネジメントを使って、バックオフィスのコストを下げていると思いますか。答えは全然やっていません。  
だとすると、同じように考えると、40億円を抱えたまま商売しなければいけない。競争しなければいけない。日本の会社は、今後世界で競争相手はファシリティ・マネジメントを使って自分を身軽にした競争相手に対して、まったくそれをしていないまま競争を続けることは今後あり得ないと思います。他のところは進んでいるのです。人事も変わりました。今では中途採用するようになりましたし、人の評価も制度もグローバル的になってきました。経理もグローバル・スタンダードに合わせて発表しなければいけないようなガバナンスも入ってきました。ITも世界基準で、今は皆さんパソコンを持ち歩いて世界的に――私の時代はまだ皆さんと違って30年前ですが、覚えていますか。OAで、ワープロを入れて、それもシマごとに1台だけこっちに置いて共通で使うとかということで、私の工場長、絶対一人に1台なんて与えないよとかと、パソコンキーを取り付けた時代もありましたが、今はそうではないですね。本当にIT化が進んでグローバル基準に合っています。  
でも総務系のコストは、いまだに戦略総務的な発想がない。ほかの世界では管理総務が戦略総務になり、メンテナンスが会社の中で貢献するFMになり、大きなパフォーマンスを出した。日本はこれからそれをしなければならない。そうしないかぎり競争力がないのです。  
でも、日本の総務は期待されていない。そういうことをしてもらえるとも思ってもいないし、そこにプロフェッショナルがいないために、期待しても出てくるものがまだまだです。それが実態です。
ですから私は、日本の総務をこれから変えていくためにJFMというファシリティ・マネジメントの組織がありますが、個人のファシリティ・マネージャーを育てる段階がないし、総務に入った人が参加する業界がない。総務業界がない。皆さん、業界があると同じように、大体どの仕事も業界がある。ITもあれば、人事もあれば、経理もある。皆さんにはちゃんとした自分の業界がある。総務業界はないのです。やっぱりレベルが低いのです。
入ったら、どこに学びにいけばいいかというと、
学ばなくていいのです。前の人がやっていたとおりやっていればいいというのが大体皆さんの総務の人のメンタリティです。だったら伸びないではないですか。先がないです。外を知らない。
普通の日本の会社の総務の人は、隣のビルの総務の人を知らない。名前も知らない。連絡を取ろうと思っても取れない。「お宅でウイルスの問題、どうやって対応していますか」「今度の避難訓練、どうやっていますか」と聞こうと思っても聞く相手がいないくらい、本当に自分の会社だけの昔のやり方でやっていればいい。こういう世界です。  
これが皆さんのお客さまなのです。印刷業界のお客さまなんです。私が勝手に思っているかもしれませんが、そういうことだということでちょっと今日は聞いてください。  
その人たちが今後育っていくためには、多くの人がそれをサポートしなければいけない。もちろん私たちもサポートします。でも、皆さんもいろいろな提案ができるはずです。「総務が今後戦略的総務になっていくために」ということで、一番上の名刺のところに「管理総務から戦略総務」と書いてありますが、本当に日本の総務が変わっていくことがこれからの時代の急務です。それを指導し手伝えるところには仕事が来るはずです。自分ではできない。  
ということで、ファシリティ・マネジメントとは何か。名前はよく聞くが、実際にそれを説明しろといわれたらできない人が多い中で、きょうは時間があまりないので簡単に紹介だけさせてください。
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