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  平成23年度第2回講演会(平成23年8月25日開催)
「自分を経営する」
 (3) 
       ―「創造性経営する」「エッジをきかせるためには」―
       講演  早稲田大学大学院 教授
            早稲田大学社会連携研究所 所長
            友成真一 氏
3.11議論のマクロ化
「思考」の「マクロ化」と「ミクロ化」はなぜ起こるのか?という問題があります――どんどん哲学的になってきます。難し過ぎて笑っていただいても結構です。ヤジを飛ばしていただいても結構です。そうするとちょっと方向転換をしますので。
さて、「3.11議論のマクロ化」ということを一回整理します。復興構想会議が「復興への提言(復興構想7原則)」というものを6月25日に発表しました。この記事を読まれた方はいらっしゃいますか――あまり関
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心持たれていないようです。7つを「ミクロ」のほうから勝手に並べてみました。
「地域・コミュニティ主体の復興」、これは何となくわかります。これは地域の話です。次に「原発事故の早期収束」です。だんだん「マクロ」になってきます。原発問題ということになってきます。
次に、「自然エネルギー活用型地域の建設」。これは自然エネルギーという、原発よりもうちょっと大きな世界のことになってきます。
次が、「震災復興と日本経済再生の同時進行」という、日本経済のことまで出てきて、もっと大きな発想になります。
次に、「来るべき時代をリードする可能性追求」。もっと大きな将来の話になります。さらに、「鎮魂の森、モニュメント、教訓の伝承と発信」。これは形而上学的な一種の思想の領域に入っていく。これはもっと「マクロ」な話です。そのあとに「国民全体の連帯と分かち合い」です。国民全体が連帯し分かち合う。この発想は、「税金とか国債のカタチで資金を調達しますので、皆さんお金出してね」、という魂胆が隠されていると推測できます。国民全体ということを「マクロ」に規定して、連帯という言葉を「マクロ」なお金というカタチで表現しようとしているのではないかと。
では、「ミクロ」方向はどうなっているか。目の前で妻子が流された方がいらっしゃるわけです。手をつないでいたのに、津波が来て奥さんが流されて、あとわからなくなった。この夫の心の痛みや苦しみや悔恨というのを一体どうするんですか、という「ミクロ」な一人の方の心の奥底の話です。
さらには被災したこの人とあの人の連帯です。「ミクロ」なひとりとひとりの連帯構造です。同じ小学校で、こどもを亡くしたこの母親と、こどもが助かったこの母親の連帯はどうするんですかと、こういう話なんです。これが「ミクロ」方向のお話です。
「1番から7番というのはどういう順序なんですか」という質問あり
そこで突っ込みを入れていただきまして本当にありがとうございます。  
1番から7番というのは、「復興構想7原則」が1番から7番まで並んでおりまして、その番号です。たぶん重要な項目から並んでいると思うのですが、並べ方に何か規則性があるかというと、あまりないというような気もします。ご質問ありがとうございました。
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「タコ理論」とは
 「タコ理論」にいきます。「タコ理論」というのは一つの道具です。こんなことを考えました。  
「タコつぼ」というのがあります。この中に「タコ」が入っていまして、これを「素ダコ」ちゃんといいます。
ここでちょっと皆さんにお聞きしたいんですけれども、皆さんが今まで生きてきた中で、組織の硬直性のことを「それはタコつぼだろう」などと会話の中で使ったことのある方は手をあげていただけますか。――ほとんどいらっしゃらないですね。
日本社会においてもうほとんど死語になっているんですが、実は「タコつぼ」という言葉は霞が関では普通に使われています。この前霞が関にいったら、みなさん使っていました。「それはタコつぼだろう」と。組織が隣のことを何も考えずに自分たちのことだけを考えている、組織が硬直化している、というときに使うのですが、今は使われなくなってしまいました。  
じゃ、「タコつぼ」とは何か、中の「素ダコ」ちゃんとは何かという話になります。「タコつぼ」と「素ダコ」は両方がそろってはじめて人間だと思ってください。人間存在を「タコつぼ」と「素ダコ」と二つに分けた。ただそれだけの話です。  
「タコつぼ」というのは外から見えるものです。個人の「タコつぼ」は何かというと、学歴や役職、肩書、資格、お金だったりします。例えば役職という「タコつぼ」、立派な役職を持っている人の「タコつぼ」は立派です。社長とか会長、総理とか、立派な「タコつぼ」に見えます。でも、菅さんの「タコつぼ」は見えるけれども、菅さん本人そのものは一体何なのかというのは見えません。菅さんの「素ダコ」ちゃんは何なのかというのは見えない。それはなぜかというと、立派な「タコつぼ」に覆われているからです。われわれに見えるのは「タコつぼ」だけです。例えばお金持ちという「タコつぼ」があります。中に入っている「素ダコ」ちゃんが一体どんな「素ダコ」ちゃんなのか見えないんです。それが「タコつぼ」の性格です。  
その人の本質的なものというのはなんとなくあるわけです。これはその人の心とか表現されるのですけれども、社会が規定している人間存在の属性をはぎ取った先にあるものです。例えば何歳であるとか、どこどこの企業に就職しているとか、お金をどれくらい持っているとか、どんどんはぎ取っていくわけですね。そして最後に残るのは一体何なのかということです。  
結論は決まっています。はぎ取ったあとは何も残らない。何か残るかというと、何も残らない。だから「素ダコ」ちゃんはいるようでいない。だんだんわけがわからなくなってきます。
考え方の方向性
さて、この考えに何か意味があるかという話です。もし意味があるとすると、ものごとを考える方向性として2つある。「タコつぼ」方向にものごとを考えることと、「素ダコ」方向にものごとを考えることだと。  
先ほどは「マクロ」と「ミクロ」というお話をしました。これも、「マクロ」方向にものごとを考えるのか、「ミクロ」方向にものごとを考えるのかという、考え方の方向性の議論をしています。  
およそ世の中には、「タコつぼ」とか「素ダコ」とか、「マクロ」とか「ミクロ」とかの実体があるわけではなく、あるのは「考え方の方向」だけだという考え方です。「善」とか「悪」とか、「真実」とか「虚構」とか、「陰」とか「陽」とか、「正しい」とか「誤り」とか、ほとんどの対立する概念も同じようなものではないかと。
分断・差別化・衝突へ
では、「タコつぼ」方向の思考をしていくと、一体その先に何が見えてくるかという話です。これは、「分断」と「差別化」と「衝突」です。  
「分断」というのは、わたしの「タコつぼ」とあなたの「タコつぼ」は違います、私の会社とあなたの会社は違います、ということです。次に「差別化」というのは、私の会社は一部上場企業で立派でありまして、あなたの企業は中小、零細です、というように「タコつぼ」の立派さで「差別化」するわけです。
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「差別化」しあって何が起こるかというと、「衝突」が起こります。立派な「タコつぼ」が小さな「タコつぼ」にぶつかってきます。ぶつけることで自分の立派さを証明しようとするわけです。
これは、上司と部下の関係を見れば分かります。立派な「タコつぼ」を持った上司が、部下に「おまえは仕事ができないなあ」とバーンとぶつけるんですね。それで相手がふっ飛ぶ。「すみません」といって相手がふっ飛んだときに、「それみたことか、俺のほうが偉いんだ」、と。そういう関係性です。
これは、世界の政治的な紛争状況を見ても明らかです。例えばリビアのカダフィ政権と国民評議会。まず「タコつぼ」のカタチが違います。そして国民評議会のほうは、「俺たちのほうが民衆の声を代弁しているので立派だ。カダフィ大佐、あなたはもう死に体でしょう」と、こういう「差別化」が起こるわけです。
「差別化」が起こったとき「衝突」する。ぶつけて相手を武力的に叩きのめして政権を倒す。こういうことが行われる。一種の「タコつぼ」的な闘争です。リビアのケースは国内の政治的対立ですが、もっと「ミクロ」には子どもどうしの間でもこんな局面があります。「私とあなたは違います。私はお金持ち、あなたは貧乏人。あなたは貧乏だからぶっ飛ばします」。これは一種のいじめの構造です。
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連帯へ
さて、「素ダコ」的な発想でものごとを考えるとどうなるかというと、これは「連帯」構造です。「素ダコ」をどんどん究めていくとどうなるかというと、「素ダコ」どうしがこういうふうに「連帯」しているという構造になります。  
例えば仏教思想でいうと、「自他同一」という思想があります。自分と他者は同一であるということです。われわれの存在をどんどん突き詰めていった先にあるものは何かというと、自分と他者が一体化して
いる。さらには自分と宇宙が一体化しているということがある。こういう状況が見えてくる。これが「素ダコ」の「連帯」構造です。
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