認証制度と環境マーク - 印刷産業の環境対応早わかりNo.10

各方面から環境対応策を証明しています



印刷産業には、日本印刷産業連合会が制定し発行している「グリーンプリンティング(GP)マーク」の他に、数多くの認証制度があります。それぞれ独自の「環境マーク」を発行して、さまざまな角度から業界レベルでの環境保護を推進しています。主なものをご紹介すると、以下のようになっています。

・環境ISO(ISO14001)

国際標準化機構が定めた、企業が取り組むべき環境管理に関するマネジメントシステムの国際規格です。企業はビジネス活動、製品・サービスの提供が環境に及ぼす影響を自ら評価するとともに、環境負荷の低減を可能にする有益なプログラムを作成し、かつ継続的に実行する必要があります。その過程で、環境に配慮した生産の方法、工程、管理の仕組みについての標準化が求められます。

環境ISOの認証を取得するということは、会社ぐるみで適切に環境対応していることの証明となるわけですが、数多くの印刷会社がこの環境ISOに認証登録し、社内体制の整備をはかりながら、目標達成に向けて計画の策定と実行に取り組んでいるのです。

・クリオネマーク

環境にやさしい生産活動に取り組む印刷業界のシンボルとして、環境保護印刷推進協議会が発行している環境マークです。印刷物をつくるうえで中核となる刷版-印刷の本工程に焦点を当て、環境経営に即した印刷ビジネスを推進するよう促しています。

環境保護の具体的な方策として、①大気汚染防止のために揮発性有機化合物の排出を規制する(Non-VOC)、②水質汚濁防止のために廃液・排水を出さない(Non-DRAIN)——を、自己適合宣言しているのが特徴です。当事者である印刷会社はもちろん、印刷物を制作するのに必要な技術や設備を提供する関連業界の協力を得ながら、工程ごと、使用資機材ごとに厳しい認証基準を設け、それらを印刷プロセスに組み込むことによって、理念とする「Clean Air/Clear Water」の実現をめざしています。

同協議会が定める認証制度としては、オフセット印刷、デジタル印刷の両部門に、総合的な改善活動を評価するCO2削減貢献度を加えた3バージョンが用意されています。

・バタフライマーク

廃液などによって地球環境を破壊することのない「水なし印刷」を対象に、日本水なし印刷協会が制定している証明マークです。水なし平版を使用することを基本に、環境保護に積極的に取り組んでいる印刷会社だけに使用が許されています。

・GPNマーク

グリーン購入ネットワークが、「オフセット印刷サービス発注ガイドライン」に基づいて印刷サービスのグリーン購入に取り組んでいる企業、行政機関、各種法人・団体に使用を認めている印刷サービスシンボルマークです。需要者サイドでのグリーン調達が浸透すれば、それだけ環境配慮型の製品マーケットが拡大し、企業に対して環境負荷の小さい製品の開発を支援できるという考え方に立って運用されています。印刷業界においても供給サイドの立場から「グリーン基準」を設け、こうした動きに応えています。

・印刷用紙に関する環境マーク

印刷するうえで欠くことのできない最大の材料「紙」に関しても、数多くの環境マークが制定されています。印刷業界ではこれらのマークを参考に印刷用紙を手当てし、環境対応に万全を期しているのです。

主な環境マークをご紹介すると、①古紙パルプの配合率がひと目でわかる「再生紙使用マーク」、②古紙を原料とする製品であることが識別できる「グリーンマーク」、③適正に森林管理されている木材の使用を証明する「FSC森林認証マーク」/「PEFC森林認証マーク」、④ケナフ、竹、バガス、麻などを素材としていることを示す「非木材グリーンマーク」/「ツリーフリーマーク」、⑤間伐材を用いた製品に表示することができる「間伐材マーク」——などがあります。
 

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