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“明治150年”記念展示 「日本の印刷の歴史」 ―江戸から明治期における日本の印刷技術―



2018年は明治元年(1868年)から満150年の年に当たります。IGAS2018において一般社団法人日本印刷産業機械工業会(JPMA)は “明治150年”記念展示 「日本の印刷の歴史」 ―江戸から明治期における日本の印刷技術― というテーマでの展示を行いました。
日本印刷産業機械工業会様のご厚意で、この展示の内容を「ぷりんとぴあ」の「印刷の歴史」に掲載させていただきます。近代印刷の歩みであるこの150年間に日本の印刷技術がどのように進化していったかを是非ご覧ください。


“明治150年”記念展示 「日本の印刷の歴史」
―江戸から明治期における日本の印刷技術―

本年は明治元年(1868年)から満150年の年に当たります。明治以降、近代国民国家への第一歩を踏み出した日本は、明治期において多岐にわたる近代化への取組を行い、国の基本的な形を築き上げていきました。
 内閣制度の導入、大日本帝国憲法の制定、立憲政治・議会政治の導入、鉄道の開業や郵便制度の施行など技術革新と産業化の推進、義務教育の導入などの取り組みが進められ、また、若者や女性等が海外に留学して知識を吸収し、外国人から学んだ知識を活かしつつ、単なる西洋の真似ではない、日本の良さや伝統を活かした技術や文化も生み出されました。
 政府では、この「明治150年」の節目に当たり、改めて明治期を振り返り、将来につなげていくための諸施策を行っておりますが、この政府施策の一環として、このコーナーでは、日本の印刷の歴史、特に、江戸から明治期における日本の印刷技術に焦点を当てたパネル展示を実施中です。


<明治は日本の近代印刷技術の黎明期>

 平成30年(2018年)は、明治元年(1868年)から起算して、満150年に当たります。これを記念して、日本の印刷の歴史と、江戸から明治期における日本の印刷技術がどのような状況であったのかをまとめてみました。
 このIGAS会場に出展されている様々な先進的印刷産業機械の源泉となり、近代日本の印刷技術の土台を築いた先人達の偉業に思いを馳せてください。


1.「百万塔陀羅尼経」現存する世界最古の印刷物!

2.江戸時代の文化と栄華を支えた木版印刷   仮名草子・浮世草子・引札・かわら版などは当時の出版物

3. 
錦絵は色彩豊かなカラー刷りの美術作品

4. 
日本における近代印刷の始まり   約450年前にはヨーロッパの近代印刷技法が日本に渡来していた

5. 
その250年後の幕末、日本における近代印刷がスタートを切った

6. 
日本の近代印刷術の祖 本木昌造

7. 
築地活版製造所、谷口印刷所などが続々と誕生

8. 
明治時代の初頭には新聞、雑誌、書物が続々と発刊、日本の近代化と文明開化の流れを、印刷が一段と促した!

9. 
明治期の印刷技術   明治時代の印刷方式はどうだったのでしょうか

10. 
日本の印刷機械産業の源泉  明治時代に始まった!

11.
明治の後期、成長へのスタートが切られた!




「印刷の歴史」トップ

印刷の歴史のコンテンツ一覧
前史
紙は中国で発明され、世界へ広まっていった
第1話
木版印刷の始まりは中国での“摺仏”から
第2話
世界最古の印刷物として有名な「百万塔陀羅尼経」
9.明治期の印刷技術   明治時代の印刷方式はどうだったのでしょうか?

明治初めには木版法の他に、銅凹版法、石版法などがありました。

第3話
世界で初めてつくられた金属製の朝鮮活字
第4話
グーテンベルクが発明した活版印刷術
第5話
ヨーロッパで一時期を築いた木版と銅版
第6話
日本にも伝来していた金属活字による印刷術
第7話
石版印刷の発明が導いたオフセット印刷
第8話
江戸時代の文化と栄華を支えた木版印刷
第9話
日本における近代印刷は本木昌造で始まった
第10話
印刷の技術と役割を大きく変えた「写真」
“明治150年”記念展示 「日本の印刷の歴史」 ―江戸から明治期における日本の印刷技術―

2018年は明治元年(1868年)から満150年の年にあたります。近代印刷の歩みであるこの150年間に日本の印刷技術がどのように進化していったかをご紹介いたします。

1.「百万塔陀羅尼経」現存する世界最古の印刷物!

日本の奈良時代(8世紀中葉)につくられた「百万塔陀羅尼経」は、開版年代が判明していて、しかも現存する印刷物としては世界最古のものです。

2.江戸時代の文化と栄華を支えた木版印刷

 元禄期(17世紀末~18世紀冒頭)、文化・文政期(18世紀末~19世紀冒頭)に象徴される江戸の文化を根底から支えたのが、木版印刷による出版物でした。

3.錦絵は色彩豊かなカラー刷りの美術作品

この頃の木版印刷といえば、多色刷りの「錦絵」(浮世絵)を忘れることはできません。浮世絵は江戸初期の元禄時代に墨刷り1色の版画で始まっていますが、1760年代に、鈴木春信が木版を使った多色刷り版画の手法を確立したのを機に、完成度を高め錦絵と称されるまでになったのです。

4.日本における近代印刷の始まり

種子島に鉄砲が伝えられたのは1540年代のことでした。このとき当然、ヨーロッパの文化やキリスト教も人ってきたのですが、天正遣欧使節団を通じて伝えられた知識に、金属活字による印刷術がありました。

5.その250年後の幕末、日本における近代印刷がスタートを切った

江戸時代が始まる直前に日本にきたヨーロッパの金属活字印刷術が、幕府のキリシタン禁制令によって突然、その姿を消してから250年後、くしくも江戸時代が終わろうとする幕末に、再びヨーロッパから活字印刷の技術がやってきました。

7.築地活版製造所、谷口印刷所などが続々と誕生

その後、本木昌造の門弟であった平野冨二が東京で築地活版製造所、谷口黙次が大阪で谷口印刷所(大阪活版所)をそれぞれ設立するところとなり、本木昌造を起点にして日本の近代活版印刷は裾野を拡げていきました。

6.日本の近代印刷術の祖 本木昌造

オランダから船で持ち込まれた活字と印刷機を設備に、長崎奉行所が1856年に活字判摺立所を開設したとき、本木昌造は取扱掛に任命されて、実際に、和蘭書や蘭和辞典の印刷刊行に取り組んでいました。

8.明治時代の初頭には新聞、雑誌、書物が続々と発刊、日本の近代化と文明開化の流れを、印刷が一段と促した!

このような活版印刷は、明治時代の初頭から日本の社会に急速に浸透し、新聞、雑誌、書物の分野で存分に力を発揮していきました。

10.日本の印刷機械産業の源泉  明治時代に始まった!

本木昌造門下の平野冨二(現株式会社IHI創立者)は、東京に平野活版所を設け活字類の鋳造、印刷機械類の製作販売を開始しました。

11.明治の後期、成長へのスタートが切られた!

 明治時代後期には、当時の社会情勢に応じて印刷需要も好調となりました。カラー印刷技術が進歩し、製版工程にて分色技法による三色版を製作し、凸版方式によりカラー印刷する“原色版印刷"が普及し始めました。