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 日本フォーム印刷工業連合会役員研修会にて
  世界不況こそ変革のチャンス
     
栄光は闇の奥深く潜む「ニッチポイントを探せ」と題して
       株式会社 一光社プロ 代表取締役 長山 伸作 氏が講演
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  時代の革命児はいつも若かった。失敗を恐れない。確かに過去の歴史をたどってみると、だいたいリーダーシップを取っているのは若いころが多かったのではないか。この世界不況だといわれる今の時代に、30代くらいの若い人、中間管理者を今育てないと、将来の担い手が育たない。
皆さん家庭をみていてもそうですが、私もうちのかみさんには子育ての時代によく「あまり子どもの手助けをするな。子どもに手をかけたら、手をかけた分、子どもが育たないだろう」といいました。
娘一人しかできなかったものですから、小さいときから

「かわいい子には旅をさせろ」ではないですが、ハラハラしながらでも一人で大阪の姉のところまで旅させたことがありました。小学校 3年のときです。それを覚えたら今度娘が一人で出ていくようになってしまいまして、中学校時代、高校時代と海外などに一人で出ていました。でも、親はいつも心配していますが、そういう体験をさせないかぎりは若い子は育たない。  
よく二代目さんが私のところに来ます。そうすると二代目さんはよく「先生のところでいろいろアイデア練って、社長のところに持っていってもほとんど蹴られる。どうやっておやじをくどけばいいのかな」というのです。おやじさんは、自分の長年の経験、それこそオイルショックをくぐり抜け、バブル崩壊もくぐり抜けてきた。三つも四つも山あり谷ありの人生を歩んできたから経験は豊富ですから、「そんなことやってうまくいくはずないだろう」といいたいのですが、それが企業にとって大した損失にもならない、体験させてやるには手頃ではないかという判断をするのだったら、私はやらせてやらなければいけないのではないかと思います。失敗したことは必ず人生の流れのなかにおいてはいい経験であり、そうやって人は育っていくのではないかと思います。  
トライ・アンド・エラーというのは、エラーが会社の存亡に関わるようなことではいけないですが、実際に小さな計画のなかにおいての行動であれば、やらせてやることのほうが後継者が育っていくのではないかとよく思います。
 

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  PMマトリクスに移ります。  
PMマトリクスというのは何かというと、今、お話ししていたのは、既存市場と既存製品が現在のビジネス領域。皆さんたちが今戦っている商圏、市場、顧客のマーケットのなかに自分のところで扱っている製品とか技術、サービスなどがありますが、既存市場、既存製品を一つのフレームとします。私は、この現在のビジネス領域はレッドオーシャンだと思っています。


この既存市場から新市場(その他の市場)。
これを「フロンティア領域」と私は名付けています。いってみれば、自分のところの今扱っている商品などが、今のお客さまではなく、ほかのお客さま、ほかの商圏へ広げていこうというのは皆さん努力されていると思いますが、そういうものも含めて、ないしはもっと全然違う業界で、今皆さんが売り物としているものは紙媒体だけなのか、いや、いや、うちは技術も売れるよ、たとえていえば、紙でなくてもITのシステムであってもいいわけです。そうなってくると、またほかの市場に広がるのではないか。そういう転移をしたり、代替品としてほかの市場で成り立つものがあるのではないか。これが新市場です。これを一つのフレームとします。  
下のほうのフレームでいくと、今度は既存製品から新製品。これはコアコンピタンス領域です。要は、製品の選択・差別化・集中。これを「3S」といいます。新製品というのはこういうものから生まれてくる。要するに新たな機能が追加される。そんな感じです。  
 
それからもう一つ、そのコアコンピタンス領域を探る下の方向と新市場を求める右へいく方向、この延長線上にブルーオーシャンがあるだろう。そういう潜在のニッチ領域です。  
この四つのフレームで考えるのが、PMマトリクスです。
 
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  今、現在のビジネス領域で何が行われるだろうかというと、内なる守りの戦略です。いつもトヨタさんを例に出してしまいますが、トヨタさんは完璧に内なる守りの戦略に入っています。人材というのは一番早い。売上が減少すれば、損益分岐点はどこに持ってくるか。売上高を損益分岐点にするためには人材カットが一番早い。あとは固定給の削減等で、今、10%の固定給削減を図っておられるようですが、これをやるのはものすごく早い。またたく間にやっています。これはスピード感のあるほうが絶対的に勝ちます。ライバルがいる場合、どこよりも早く、売上予想が3

割なら3割減るのだったら、3割減った売上で損益分岐点になるような人材と固定給をどこで節減していくかということですが、もうとっくにトヨタさんはやっています。それが内なる守りの戦略です。品質、コスト、納期、損益分岐点を考える。まずはそれだと思います。
ただし、戦略というのは、単一的な戦略ではないと思います。先ほど言った現在のビジネス領域で内なる守りの「戦略」とはいわない。一般的には「戦術」のレベルです。戦術のレベルですが、やはり戦略としてとらえたほうがいい。ですから、まずは内なる守りの戦略というのは、中期の戦略ではありません。これは四半期ごとくらいで改革できてきますから、これを短期の戦略ととらえていけば、並行して動かさなければいけない。  
ですから、皆さんたちも考えなければいけないのは、いかに損益分岐点に合う社内体制をつくるかということです。これを考えるのが一番大切で、これはスピード感をもってやらなければいけない。今それをやるんだよといったら、もう来月か再来月はその体制で動かす。動かしたら、ちゃんと四半期ごとにその目標管理をしていく。これをやるのが最初です。これはあくまでも短期の戦略です。  
中期は、やはりBのフロンティア領域で、そういうところを見つけていかなければいけない。企業経営している限り、売上は右上がりを望まない限りはビジョンはあり得ない。夢ではあり得ない。ありたい姿ではあり得ない。ですから、礎となる攻めの存在というのは、これはひとえに営業力の強化でしょう。営業力、営業の再構築です。営業力の強化です。いかにほかの市場に殴り込みをかけるか。ないしはライバルに勝つか。これしかないわけです。  
あと、Cの新製品のほうは、ウオンツを求める努力。差別化というのは深耕しなければいけない。自分のところはいろいろな製品をつくっているが、将来的にはどの製品がいいのだろう、そこに集中させます。何を選択するか。選択したものに自分のところの経営資源を集中させていく。そして深耕する。これで差別化していく。すべてで自分のところが強くなるというのは難しい時代になりましたから、自分の会社の性質、環境からすると将来的にはこういう製品に集中させていこうと考える。ですから、逆にいうと、多角経営からある程度絞り込んでいくというやり方が一般的な中小企業には合っているのではないか。  
大企業というのは多角経営してもいい。それだけの資金力もあるし規模を持っています。でも、中小企業はあくまでも絞り込みをしていく方向性に今はあるのではないかと思います。絞り込んだ中で大企業と戦っていく。大企業が手の届かない、かゆいところまで手の届く自分たちのコアな技術で守っていく。Bの方向とCの方向を常に模索し、努力、苦労していると、潜在の道筋が見えてくる。つかめる。そのチャンスです。  
 
ニッチ戦略はオンリーワン戦略です。オンリーワン戦略は、ランチェスターの法則ではないですが、シェアというのは42%とったもの勝ちということがあります。42%を取るとだいたい市場が自分の思うようになる。早めに42%を奪取したら、大手でも入ってこれないようになる。  
市場競争というのは、一般的に日本には500 万の事業体が存在します。日本が500 兆円のGDPだとすると、1企業当たりの売上は1億円です。そうすると、1ロット1億円という事業を考えていけばいいわけです。ですから、新しいことをやろうとするときに、1ユニットの市場規模は1億円くらいでみていれば一番いい。1億円が10個集まって10億円だよという考え方をすると一番わかりやすいかと思います。この10億円が100 億円になるとだいたい大手が相当商圏を荒らしてきます。その辺のことを皆さんよくお考えになられたらいいと思います。  
大手の広告代理店さんがそうです。電通さんとか博報堂さんとか、今、アサツー・ディ・ケイさんはよく一緒にボランティア活動のプランを立てましたが、アサツー・ディ・ケイさんもそうですが、「今度、ぼくの友達がこういうことをやりたいというけど、手伝ってやってくれへん?」というと、「いいよ、いつでも会うよ」といって会うと、「ところで、1 年でどれくらいの売上になる? 」という。「1年で2,000 万円? そんならやめておきましょう」という。  
紙媒体というのは苦労する割には1月に100 万円程度の売上にしかならないから、やらないです。営業を出すのはもったいない。そんな紙媒体で1カ月で200 万円の仕事を取って、自分のところが2割、3割ピンハネしても、電化媒体だったら10分の1の力も入れなくて取れてしまいます。ですから、紙媒体というのは意外と広告代理店さん一つだけでは動かない。そんなことがあるのではないかと思います。
 

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  先ほどの一つのフレームを細かくすると、こういうことになります。今の現在のビジネス領域は、内なる守りの戦略です。それは、私がここに書いてあるようなSWOT分析のやり方であれば、たとえていえば、社長一人だけでもSWOT分析で自社の実力はそれなりに理解できる。そんなふうに思います。  
SWOT分析をして何が一番大切かといいますと、SWOT分析をしたら、おそらく自社の事業ドメインというのは、ずれてくると思います。初めてやられるとわかります。「ちょっと待て。おれのところってこんな事業ドメインだった?
いや、違うよな。将来みると、この辺、シフトしなければいけないよな」というような事業ドメインの再構築をすることが目的です。ですから、事業ドメインを明確にする、再定義する、そういうふうに思ってください。  
そしてAの領域、現状の領域で何をやるか。さっきも言ったように、売上が減少局面にあるのだったら、その売上が損益分岐点になるような社内の再構築をしてください。そのためには何をするか。  
もう一つは、リードタイムの短縮。在庫というのは、製品在庫ではない。いろいろな意味がある。リードタイムを短縮することも在庫です。営業コストは、最近ものすごく印刷業界はかかっています。成約率が極端に落ちてきていると思います。昔であれば4〜5割くらいの成約率があったのに、今は1割です。  
この間、ある印刷会社さんは単票の仕事が百戦百敗だったと公言していましたが、それくらい取れていない業界もあります。この営業コストは、皆さん、分析するとおもしろいです。営業コストがいかにたくさんかかっているかがわかります。  
製造コストは当然です。これは、印刷業界の場合、ほとんどが設備に関わってくることが多い。でも、製造コストのほかに管理コストがあります。その管理コストは、今の時期だからできるのかなと思いますが、メーカーさんなどはそうですが、メーカーさんなどでよくやっているのは、在庫をリードタイムと考えると、コンサルはまずバックヤードからいきます。在庫がどれだけあるか。製品在庫なんかがあったら、まずここから手をつける。製品なんていうのは、在庫があったらいけないというのが彼らです。できたものはすぐにそのまま解消される。最近これが1日単位でやられています。パーツでもそうです。トヨタさんのカンバン方式のやり方も似たようなものです。  
ここでよくあるのは、管理コストがものすごく無駄になる。たとえていうと、こういうものを入れたいと思って上司の判子をもらおうと思うと、上司がいない。上司は出張していて明日まで帰ってこない。そこで2日間寝てしまう。だったら上司の判子はいるのか。責任者を下まで落としてもいいのではないか。各部門でどこまでの判子の責任を彼らの中間管理者に与えていくかということです。それが常に上のほうまでいかなければいけないとするのだったら、上が出張などでいなければ、2日も3日も判子をもらって決裁を得るのに時間がかかってしまうなんて、今そんな世の中ではない。場合によってはありますが、管理者をなくしてしまう。「あなた、何のためにこの判子を押しているんですか。あなた、判子を押す仕事しか持っていないんじゃないんですか。だったら、あなた、いらない」、こういうやり方を結構メーカーさんのコンサルでやっています。実際そうだと思います。  
それでよく営業さんであるのが、「売ったよ。請求書を送ったよ」で終わってしまうのです。回収はどうなのか。 回収は振り込まれるでしょう。振り込まれないところは、ちゃんと振り込み期日とか回収期日にできているのか。手形があるでしょう、売掛金の回収サイトが3カ月だよ、3カ月を2カ月にしたら、どれだけ浮くでしょう。こういうことをトータル的に縮めていかないと、今の世界不況にはなかなか勝てない。これが実際にルーズな業界と非常にシビアな業界があります。
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