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   「フォーム業界から見たdrupa2008」 リポート
 5.「企業訪問から見た成功事例」
  日本ユニシス・サプライ株式会社   増田 明一 氏
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ただいまご紹介にあずかりました日本ユニシス・サプライ(株)の増田でございます。よろしくお願い致します。私のほうからは、企業訪問を幾つかして参りましたので、こちらに対するご報告、それからその企業は成功しているという事でありますので、それらの成功事例の共通点をいくつかまとめてきました。最後にまとめと所感という順で報告させていただきたいと思います。
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<企業視察〜ドイツ〜>  
まず1社目は msp社(msp drunk & meiden)。ドイツ連邦共和国にありますムーダスバッハという町にあります。ドイツ人の方は笑わないなどと言いますが、結構説明してくれた人は爆笑していました。この会社の特徴としましては、だいたい年商16億。社員が100 名、パートが150 名という内訳でスタッフがいます。  
生産体制は、プリプレスは2交代、印刷は3交代、勤務時間6:00〜22:00 でやっております。設備に関しては、カラーデジタルプリンタ、モノクロデジタルプリンタ、光沢加工機。光沢加
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工機は、カラーで刷ったものに対してデコボコをつけたり、きれいに見せるためにコーティングをしたりするものです。それからオフセット印刷機、製本機、型抜き機等の設備をしています。  
ユーロ圏なので当然輸出が30%という割合であるそうです。国内70%。お得意様は、アメックス、コダック、ハイデルベルグ、この他に約750 社くらいの取引先があるという事で、この企業直取引の割合と広告代理店との割合が半々くらいで占めているそうです。
事例1:会社の受注事例、アメックス社の1支店にあります半径500 mの顧客住所へ近隣のアメックスの加盟店情報を可変印字したDMを送りました。  
これはどう云う事かと言いますと、いわゆるデータベースマーケティングとエリアマーケティングを合体しまして、アメックスのカードを使って買えるお店の広告を出しました。これを1支店だけではなくパリ全部のお店でやったところ、18%の上昇効果が得られました。ほかに同じようなことを航空会社、その他約8社のクライアントでデータサービスを提供しているという事例です。  
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事例2:オンデマンド印刷の成功事例です。アメックスという会社に必要な書類をすべてWeb受注し、オンデマンド印刷をしてアメックスの各国の会社に送付しています。当然ヨーロッパですから言語がたくさんありますが、6ヵ国語に対応していて、中身は違いますが、その他の製本等の事後処理は共通なものでこのモデルが成功したと言っていました。  
事例3:木工製造会社、家具屋さんで2万種類もの商品を取り扱うカタログが400 ページの構成でありました。各取扱店は、2万種類すべてのものを取り扱っている訳ではありませんので、各取扱店に合わせたカタログが必要とされていました。そこで、それぞれの取扱店が必要な製品のみを印刷して送付し、こういったモデルが成功したという事です。  
事例4:旅行会社のツアーの参加者向けに「写真集」をプレゼントするという企画をしました。当然ツアーの申込者数が非常に増え、これまでに50万人参加してくれました。当然、旅行会社も儲かり、この会社も儲かるということで、WIN×2という形が成立したという事です。
そのmsp 社の戦略を三つほど聞いてまいりました。  
一つは国際化です。ドイツ国内の大手企業は、日本同様、印刷物をどんどん削減していく傾向にあります。このため国外へ進出していかなければならないわけです。
二つ目は、印刷物のみを提供するのでは無く、あらゆるサービスを提供するということで付加価値を付けると言う事。たとえば先ほどの事例で出てきたデータベースの構築、ダイレクトメールの効果測定、コールセンター業務をそのまま請け負ってしまう等々、あらゆる業務をワンストップで提供することを一つ戦略としてあげています。 三つ目が「顧客の近くに」とい
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うことです。これは顧客のシステムにより近いものを提案するという意味に捉えました。たとえば、アメックスのコールセンター業務を代行して顧客の人件費の削減に繋げる。客先をコアビジネスに集中させるような提案を行うというような事だと私は理解しました。
では、営業活動はどんな事をやってこういう結果を出しているのかという事については、殆んど日本と変わりません。1企業に対して1担当者制です。4人くらいのチームを編成して、それぞれ意見を交換し合っています。通常は対面セールスもきちんとやっています。時間があけば、DMを打ったり訪問活動したりする。日本の中国製品と同じように、東ヨーロッパ製品は若干低価格、低水準という物もあるので、これらに対応していかなければいけないのが悩みだそうです。そういう事をおっしゃっていました。
<企業視察〜ベルギー〜>  
続きまして、ベルギー(リエージュ)に企業訪問してまいりました。ベルギーは、日本と比較して人口が非常に少ない。約1,000 万人で、しかも中で使われている言語が、オランダ語、フランス語と分かれています。こういう国では本が5万冊、10万冊売れたらベストセラーのようです。そういう背景を踏まえまして話をさせていただきます。  
SNEL Graficsという会社は、約32億円の年商、従業員80名で2交代制でやっています。設備としては、デジタルプリンタ、オフセット印刷機は持っておりますが、先ほどの会社と決定
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的に違う点は、書籍出版を中心にしていると言う所です。  
「More Than a Printer 」(印刷以上のものを提供する)という事をスローガンとして、プリプレスから印刷、加工までを一貫したサービスを提供しています。
先ほど前の方がご説明いただきましたが、ワークフローソリューションの導入によって生産工程全体の最適化、効率化を図っており、そういうところが見習うべき点ではないかと思います。
それから3,400 uの倉庫に大量の在庫がありました。一見、在庫を多く抱えるということはロスに思えるのですが、これによって超短の納期を実現可能にしている。日本でちょっと考えにくいかなというところでしたが、「これがこの会社のメリットです」とおっしゃっていました。
また、生産工程のタイムロスを防ぐような工場設計にしております。これは当たり前と思いますが、建物は2年ほど前にできたようで、経営の方がこの建物を非常に気に入っているというような説明を付け加えていらっしゃいました。
事例としては、書籍印刷の少数増刷や表紙印刷にデジタルプリンタを活用しています。営業活動としては、代理店経由の受注が大半を占めて、営業的には販売促進活動は特別なことはやっていません。Webに乗せていれば仕事は勝手に入ってきますし、どちらかというと、クライアントと言っても、すでに取引があるお客さまに対して電子校正、Web入稿方法のやり方、効率化に徹底的に時間を割いています。ほとんど印刷に徹しているという姿勢が非常に強くみえました。
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ベルギーでもう一社です。カンペンハウトという町の中にあるArtoos Communications Group 。年商が36億円強。従業員が156 名程度。  
設備は、デジタルプリンタからモノクロデジタルプリンタ、特に目立ちましたのが、多色機を非常に多く持っているという事です。印刷で表現するのは4色、4色の8色で十分かなと思いきや、10色機、それ以上のものをたくさん持っている。その理由を聞きますと、当然カラーで表現して、プラスコーポレートカラーや特別な色を出さなければいけない。そういったニーズの高いお客さまには印刷機で提供し、そうでもないお客さ
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まにはデジタルプリンタで提供するというように、中身を使い分けているということです。  
それから販売構成は、制作が25%、オフセット印刷が65%。デジタル印刷が10%。デジタル印刷が全体の売上の中の10%ですから3〜4億円程度ということでしょうか。なんだそんなに多くないなというところが正直な印象でした。
事例としては、ファイナンス会社と提携し、Web to Print サービスを展開しています。どういうことかと言いますと、恐らくB to Cです。フォーム会社といえば、恐らく販売先は法人。当然ですが、このような印刷会社であると、販売先が、たとえば結婚写真を何枚というような商売をずっとやっているのでしょう。そういうところに少し展開し始めています。これによってプラス効果が出ているという事です。  
ただし、このようなWeb to Print のシステムは、メーカーでパッケージを販売していますが、drupa で展示しておりましたようなものは、「買っただけでは使えませんよ。カスタマイズに
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カスタマイズを重ねて使い勝手のいいようにするまでには少し時間はかかります」ということをおっしゃっていました。  
この会社の特徴は、単なる印刷物の提供ではなく、B to Bマーケティングのサポートをやっているというところです。  
2名の世代の異なるスタッフ(営業の方)がパートナーを組んでクライアントのマーケティング戦略に参加する。こういった付加価値、アイデアを提供する事によって印刷物を受注しているという事です。  
それからオフセット印刷、デジタル印刷後の加工処理などすべて自社で一貫して製造しています。品質とスピードを保証をしている。そういうところが特徴です。  
「品質」「信頼性」「効率性」と言ったモットーを持っています。特に先ほどの生産工程の自動化。どういう物をどの工程で作るか。一般的にフォーム会社であれば、営業が受注端末から入れたものを受注の人が見て、これを、じゃ、こっちの機械、あっちの機械と振り分けているものに対して完全に自動化するというところが省力化に繋がり、スピード化にも繋がっています。こういった説明を受けました。
<企業視察〜イギリス〜>  
最後、イギリスのロンドンの下あたりにあるラインドンという都市のAnton Group Limited という会社です。年商約76億円。規模としては先ほどの会社より2倍程度大きな会社でした。3年間、売上が毎年12%で成長している非常に優秀な会社です。従業員が250名程度。当然3交代、24時間体制で印刷をしていました。先ほどの会社と同じように多色機を入れてデジタルプリンタとうまく融合させて使用しているようです。
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主な取引先は、750 店舗程度を持つスーパーマーケットのほとんどの印刷を供給しておりました。
ちょっと日本ではなかなか考えにくいのですが、ロール紙を横積みに置いています。用紙の在庫を大量に置いて、納期を短縮するという事です。  
これとは別の受注例として、イギリス全土に750 店舗スーパーの既存型画一的DM。これはどなたにもまったく同じ内容のダイレクトメールを送っている。その時のレスポンスが1.5 %だったのに対して、一つひとつ中身を替えて送った。中身を替えたと言うのは、ポスレジ何時何分どんな人が何を買っ
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たとか、これは会員カードという形で購入者を特定出来ますので、このポスレジ連動によるデータ取得によってレスポンス率が44%まで上げるようなプロモーションが成功しています。
もう一つ、受注事例ではないのですが、これは今回一番びっくりしました。印刷機を5年で減価償却して入れ替えているという事です。365 日24時間稼働しているから出来る事です。
この会社の営業活動としては、「ワンストップソリューション」をモットーとしています。おなじように口を揃えて言うことが、印刷会社の場合、「販促に費用を掛けない。仕事はパートナーが取ってきてくれるもの」。その点を皆さん口を揃えて言っています。ここは日本と違うところかなという印象を受けました。  
販促物としては、せいぜい名前入りのカレンダーを配布する程度です。もちろんWebはしっかり広告しているので、きっとヨーロッパではWebの出来不出来がかなり受注に影響できるのかなという印象を持ちました。
以上の四つの会社の共通点は、一つは、デジタルプリンタを導入しているということ。これは当たり前です。使い方としては、小ロット対応、もう一つは可変情報印刷。こういうものをオフセットの印刷とうまく組み合わせて使い分けていると言うところが共通点です。  
もう一つは、これさえあれば良いと言う事ではなくて、デジタルプリンタの前側の仕掛けとしてワークフローシステムをうまく導入して使いこなしている。たとえば生産工程の最適化などです。いい機材は買ったけれども、これを使いこなすための前側の仕掛けをうまく入れています。  
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もちろん人手をかけず、Web to Print といった受注の仕掛けによって人員削減、利便性に大きく貢献していました。日本の場合、わざわざ営業マンを付けてお客さまの所に交渉に行くと、納期の短縮ばかりでは無く、おまけに値引きまでついでに受けてきてしまう。人を介さなければそのような無駄な交渉も避けられるというようなところだと思います。  
Web広告。4社のうち1社だけいまお休み中でしたが、4社中3社がWeb広告をきちんと作って、大変訴求力がある広告でした。なかには工場の稼働している風景も見えたりして非常に前向きな姿勢がWeb広告から感じることができました。  
最後にワンストップ・サービス。その会社にお願いすれば、この印刷、もしくは印刷以上のものがすべてパッケージとしてサービスで受けられるというようなところで、顧客の囲い込みをしています。  以上が、視察してきた企業のほとんどの共通点であったように感じます。
<まとめ>  
最後にまとめとして、デジタル印刷がビジネスフォーム業界に与える影響については、企業が存続していくにあたり、「経営戦略」を立て、「商品企画・開発」し、「販売促進」をして「分析」をする。こういったPDCAを回していくという事が必須になると思われます。  
私どものフォーム業界が客先に提供しているものは、この販売促進活動に関わるほんの一部のツールというところではないでしょうか。今後我々がさらに発展する為には、こういった前後左右の工程について、あらゆるものを客先に提供してい
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くという力を身につけなければ今後の発展はないのではないかと強く感じた次第でした。
従って、デジタルプリンタの普及により、既にもちろん始まっておりますが、ビジネスフォーム業界というのは、前後左右の工程に進出等、多様化が更に促進されるのではないか。そういうところを今回の視察報告の結論とさせていただきたいと思います。以上です。
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