日本フォーム工連・技術委員会セミナー記録

 技術セミナー
「顧客感動」を呼ぶ印刷機械の予防保全

講師 川 名  茂 樹 氏
小森コーポレーション
サービス技術本部日本サービス部サービス2課課長代行
予防保全チーフアドバイザー
 
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 申し訳ございません。お時間がなくなってきまして、金羊社様をやって、あとのほうはカットさせていただきます。
 
<株式会社金羊社様>
  金羊社は、全印工連の浅野会長様が社長をやっていらっしゃる会社です。こちらの会社は、オーディオビジュアル関係で、現在は10台の機械が稼働しております。平均ロット、2,800台(件)とか730台(件)という、非常に小ロットをやっております。ですから、1日300台(件)くらいの印刷物をこなします。
その印刷物のうち、約6割がリピートもので、約4割が新しいものだそうです。その4割の新しいものは初めて刷るわけですが、そのときに、もしかしたらその印刷物は1回で終わるかもしれないそうです。ところが、もしかしたら10回かもしれない、もしかしたら20回かもしれない、30回来るかもしれない。そして、その1回から30回を全部並べまして、全部色が同じでなければならないということだそうです。
 
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 では、どういうことをしたのか。2003年、近郊から新しい工場に移転します。そのときに工場環境をきちんとします。先ほど言った、ジャパンカラーで決められているレベルです。さらに 新工場に移設するときに機械をきれいにいたしまして、すべて新品のようにして持っていきます。
 そして新台を3台入れます。これを基礎にして品質の2本柱というものを掲げて、二つのことをやります。一つは、印刷物の数値管理です。デジタルデータで管理する。もう一つは機械の安定化です。機械がきちんとしていないといけないということです。この機械の安定化のほうに私どもはお手伝いをするという話になるわけです。
 まず、5S活動を徹底しておりました。全印工連の業態変革プランというのをご存じかと思いますが、浅野会長は、「業態変革は5Sからだ。5Sは執念だ」といっております。
 実際に 浅野社長様は、本社が大田区にありますが、週1回ぐらい工場パトロールをするそうです。そのときに雑巾を持って工場パトロールをするのだそうです。
  ですから、私がいったときに、印刷課長様が私にこういいました。「社長は雑巾だろう。俺たちはモップ持つしかないよな」と。ですから非常にきれいです。それからチェックシートもつくる。いろいろなものを標準化する。Aさん、Bさん、Cさんが違うということではない。それから、パッチ印刷をする。私どもはそれをサポートする。
 

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<経過>

  2004年、これをさらに徹底しようということで、いろいろなことをやっておりますが、お客様はCTPを導入しました。CTPはこの会場の半分くらいのスペースにいま2台置かれていますが、誰もいません、まったく無人です。東京本社からLANケーブルでデータが入ります。自動的に動き全て処理されます。ここまでデジタルデータで管理しています。
それからテスト印刷はやめる。なぜか。やっぱりオペレータがちょっと構えるそうです。構えると日常と少し違う。では、やめてしまって、日常管理をしよう。
それからインキテスト。SOYインキやノンVOCなどの環境対応インキもあります。そうするとデータが変わります。それもデータ管理する。それから、湿し水も1週間に1回交換していたけれども、大変だから濾過装置を取り付けて、その濾過装置の管理をしよう。このようなことをいたしまして、私どもはそれをサポートする。プロにしかできないことがあるから、プロのプログラムを出す。それから、機械も古いので新しいものをレトロフィットしてデジタルデータに対応できるようにする。こんなことで対応させてもらったわけです。
 
<ローラー管理の写真>
  これは、ローラーの管理システムです。小森の機械の何号機の何色目のローラーが、キャスター付きでユニット毎に入っております。これをゴロゴロと持っていって新しいものと交換して、また戻す。全部の機械分があります。ですから広いスペースに全部立てかけてあります、10台分があります。
 ここに札みたいなものがついているのがご覧いただけると思いますが、この札が、小森の何号機の何色目の、何のローラーだということになっているわけです。そしてこれを交換しますと、発注棚というのがありまして、そこにかけます。そうしますと、1日2回まわってきます女性の方が、その発注棚からとって発注をかけるわけです。
 ここでローラー発注管理のポイントを話したいと思います。ゴムローラーを
 
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使うのはいつでしょう。発注をかけまして、実際に納入されるのは1ヶ月半くらいでしょうか。1〜2ヶ月で入ってきます。実際に使うのはいつですか。一般的にはだいたいインキローラーの寿命は1年くらいです。
 そうすると10ヶ月以上寝ているわけです。寝ている間に変化してしまう可能性が高い。我が社の新台をお買い求めいただくと、新台に予備ローラーがついてきます。給水ローラーは巻いた状態で搬入されます。比較的早く交換するからです。ところが、インキローラーは鉄芯です。1年以上たってそのゴムローラーを着けるとトラブルが多いのです。うまくいかないのです。変なところに置いていたために変化している。楕円になってしまっている、傷がついているとか、こういうことが起こりやすいからです。

 
   
 
 
<ローラー交換健康カルテ>
  さらにローラー交換カルテ。すべてデジタルデータで管理しておりますが、それだけではだめだということで目に見える管理をしています。ここに赤い丸と青い丸があります。これはシールになっております。
 赤い丸は今年、青い丸は去年となります。丸の中に切り込みがありますが、時計の文字盤の様に1月、2月……と月を示しています。ですから「これは去年の5月に交換した」とわかるようになっています。こういうふうにして目で見える管理をして、自分たちのローラー状態はどうなっているか、ということを視覚的にわかるようにしているわけです。
 
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