印刷工程の基本
印刷とは広い意味で、原稿をレイアウト・編集し、印刷のための原版(組版・製版)・刷版を製作し、印刷を行い、さらには製本や光沢加工などに加工を施し、書籍や商業印刷物(チラシ、ポスター、パンフレットなど)の形にすることを言います。そして、印刷はその工程によりプリプレス(印刷前工程)〜プレス(印刷)〜ポストプレス(印刷後工程)に区分することができ、これらの工程の専業メーカーを含め、印刷産業が形成されています。
   

広がる印刷産業の技術
今、印刷産業は「情報価値創造産業」として大きく変貌しています。現代の多様化かつ高度化した顧客の要求に応えるため、製造業としての印刷技術の革新を積極的に推進し、情報サービス産業として新しい領域でのビジネスを創出しており、印刷産業の技術はますます進歩し、その世界を大きく広げています。
  印刷技術の革新
    印刷工程に最新のハードとソフトを積極的に取り入れ、従来とは違った新しい印刷技術へと革新し、より多くの顧客の幅広く高度な要求に応えています。
    ●オンデマンド印刷
    フィルム製版や刷版といった工程を経ずに、インクジェットやレーザープリンターなどを使用して、データから直接印刷します。
    ●少部数印刷
    少部数に対応できるようになった結果、書籍の無在庫化や復刻本の発行が容易になりました。
    ●CTP(コンピュータ・ツー・プレイト)
   

デジタルデータをフィルムに出力せずに直接刷版に焼き付けます。従来の印刷のクォリティを保ちつつ工程を省略できます。

    ●DDCP(ダイレクト・デジタル・カラー・ブルーフィング)
    データから直接色校正を出力することで、色校正の簡易化、スピード化を図ります。
    ●FMスクリーン
    微小な点の密度によって画像の濃淡を表す方式です。従来のものと異なり、モアレの発生を避けることができます。このため、5色以上の色分解版による多色印刷や、高解像度の印刷再現を可能にします。
    ●刷版自動替装置
    版の装着位置を正確にできるため、刷り始め時から見当精度が高く、印刷機械の準備時間が手作業の場合に比べて、1/3程度短縮されます。

  情報サービス分野での印刷技術
    インターネットやデータベース技術等のITを積極的に活用し、情報コミュニケーション分野へとビジネス領域を拡大しています。
    ●データベースマネジメント
   

データベースとリンクした情報誌。データベースを利用したチラシ制作・印刷。データベースを基に内容を一部差し替えて連続印刷するバリアブルデータ印刷など、新しいデータベースの利用方法が行われています。

    ●デジタルアーカイブ
    画像や書類などの情報をデジタル化し、蓄積、整備しデータベースとして利用しやすい形にします。
    ●デジタルメディア・ワンソースマルチユース
   

CD-ROMやDVDなどデジタルメディアはもちろん、インターネット上のWEBサイトなど、デジタルコンテンツと紙媒体のダイナミックな融合が行われています。

    ●コンテンツの2次・3次利用
   

印刷済みデータをデータベース化することにより、効率的なデータの再利用が可能です。

    ●ICタグ・ICカード
    セキュリティー、食の安全や生産・流通におけるトレーサビリティ(追跡履歴管理)が本格化しています。
    ●インターネット読書・電子本
   

インターネットから端末にダウンロードする形式のコンテンツです。

    ●デジタル送稿
    光ファイバーの普及により、インターネットによる原稿、回校のやり取りが容易になっています。

  ソフトビジネス・システムビジネスへの展開
    印刷分野以外へのアプローチを積極的に進め、顧客の要望に合わせた企画提案・システム構築など新しいビジネス領域に展開しています。
    ●企画・販促
   

商品やイベントの企画、編集・デザイン、マーケティングなど、プリプレス段階のビジネスも行っています。

    ●システムインテグレーション
    情報処理システム構築、顧客データ管理など、デジタル処理技術を利用してシステムを構築します。
    ●フルフィルメントサービス
   

商品の受発注から、発送、在庫管理、入金処理業務に至るまで、完全なアウトソーシングを実現します。

     
 

 【分野を越えて広がる印刷産業の一例】

    ●電子回路
    微細な回路を基板に定着させるのに印刷技術が応用されています。
    ●液晶用カラーフィルタ
    液晶スクリーンに使用されているカラーフィルタは、印刷技術の技術によって製造されています。
    ●毛細血管の再生
    今までは太い血管しか再生することは難しい状況でしたが、印刷技術を応用して微細な毛細血管を再生する技術を印刷会社が研究機関と合同で開発しました。